鳥取県東部医師会 在宅医療介護連携推進室

【 協議会 】平成29年度第3回 東部地区在宅医療介護連携推進協議会の協議概要

◆ 平成30年2月7日(水)19時~

◎協議会長挨拶

本日はお足下の悪い中お集まりいただきありがとうございます。29年度最後の第3回協議会となります。日頃、皆さんが積極的に取り組んでいただいているお陰で、地域包括ケアシステムのかたちも見えてきたように思います。平成30年度は診療報酬と介護報酬の同時改定、県の保健医療計画と介護保険の事業支援計画、各市町も計画を作成中です。

診療報酬、介護報酬の同時改定の大きな目玉は3点あり、まずは看取り。これはリビングウィルを早期に求めるといった方向で今後動いていくようです。もうひとつは予防。これは重症化予防、自立支援を進めて行くということであり、例えば利用者に対して管理栄養士が栄養指導したり歯科衛生士が口腔ケアで関わることになります。3番目がICTの活用。例えば遠隔医療やICTを活用したカンファレンスなどです。

平成30年からは、地域包括ケアの取り組みが全ての自治体で開始されることになります。我々は3年早くスタートしておりますので、足立先生や橋本参事があちこちから引っ張りだこになっているようですし、他の自治体から情報提供依頼もあるようです。我々も更に頑張り、実のある地域包括ケアを進めて行きたいと思います。どうぞ皆さんも引き続きご協力いただきますようよろしくお願いします。

会の様子

◎報告・議事

(1)住民啓発(ACP)の推進について

・前回協議会の時には未完成であったACPパンフレットが完成した。これは住民向けであるものの、私達関係者もしっかりと内容を理解しておく必要がある。厚労省の行う「人生の最終段階における医療に関する意識調査」にACPについての設問が出たり、ガイドラインにもACPを盛り込む検討がされている。また、日本医師会、広島県医師会からはパンフレットについての問い合わせがあり、情報提供を行った。4月以降は更にACPについて注目されてくると思う。

・住民啓発については、寸劇やパンフレットを活用したもので進めて行きたい。先月、若桜町で独自の寸劇が行われた際や、智頭町では地域周りの時にこのパンフレットを説明いただいている。来週は用瀬町で1時間お時間をいただき啓発をする予定。その他、社会福祉専門学校(ファシリテーターが教員)では終末期の講義でとりあげていただいた。今月15日にはファシリテーター向け研修を開催予定。初年度に作成したパンフレットも併せ、誰でも説明できるようシナリオも作成中。

・地域住民向けのPR用として、当室広報チラシを作成。社協や行政保健師に配布してもらうよう、お願いしている。

(2)訪問看護ステーションの状況について

この会が始まった当初は14だったステーションは現在24事業所と徐々に増え、空白地域はなくなった。しかし、24時間対応や人材不足等の問題があり、まだまだこれからである。

 【 意見等 】

● 小規模事業所が多く、24時間連絡体制はとれているが24時間対応体制はとれていない。訪問看護未経験者も多く、研修を受けていただくなど、数だけでなく質を高めて行けるよう多職種のみなさんの協力を得ながら努力して行きたい。

● 気高町、佐治町は事業所がないようだが、この地域はどこが対応しているのか?

○ 気高は、すずらん鹿野出張所。看護協会は全エリアに対応している。佐治は智頭病院、看護協会用瀬サテライトでも対応しているが、ニーズがあまりないようだ。佐治診療所の看護師も対応していただいている。

(3)情報共有支援の取り組みについて

●救急連絡シートについて

1月22日付で小規模の事業所、サ高住、有料老人ホーム各事業所へ通知し運用を開始した。老健と特養は独自書式を利用中とのことで混乱を避けるため通知はしていない。

○ 運用開始から約2週間経ち、現場職員に確認したところ、まだこのシートは見ていないとのこと。 施設独自の書式を利用されているようだ。また、新しく作り直す必要があるか?などの問合せが何件かあった。今後は現場での運用状況をみながら、施設職員さんと我々救急隊がスムーズな連携がとれるようにしたい。引き続きご協力をお願いします。

 【 意見等 】

● 小規模施設等へ駆け付けた際、名前や生年月日、かかりつけ医が分からない事が本当にあるのか疑問に思う。サ高住、経費老人ホームへ訪問診療しているが、入居者の最低限の情報は保有されている。サ高住や軽費はかかりつけドクターと連携されているはずで、状態が悪くなると職員がそのドクターへまず連絡をする。24時間対応ドクターだと必ず本人が対応し、適切な指導をする。それ以外で電話しても繋がらない場合、保有情報を見て救急隊が判断しているので、信じられないなと思う。しかし、このような連絡シートがあれば、さっと提出できるため便利だとは感じる。

  もう1点。施設から救急要請の患者は多々あると思うが、今後増々増えるであろう独居老人や高齢者夫婦2人暮らしからの連絡があった場合、どのような対応をされているのか?そういった世帯にこそ、このシートを事前に渡しておけば救急隊員さんもだいぶ楽になるのでは。

  それに関連して、救急要請件数が年間1万件を超えたとのことだが、独居、高齢者2人世帯、施設から、それぞれどれくらいかの内訳を皆さんに紹介いただきたい。医療介護連携を進めるにあたって今後の検討材料になると思う。救急要請の内訳があれば出してほしい。

○ 情報については、昨年10,271名を搬送し、うち6,436人が65歳以上で63%。さらにその中で施設からは913件で、日中夜間合せて一日3件程度発生している。

  施設からの救急搬送データはとれる。小規模施設だと、夜間は少人数体制で職員2人だったりする。1人はかかりつけ医や家族へ連絡し、もう1人は救急隊と対応するが、重症患者だったりすると、カルテや資料をとってきたりで時間をとられ、すぐに搬送できないことが多い。

  独居の方は、社協が作成した命のバトンを活用いただいている。本人が通報する場合もあるが、大抵誰か近所の方や包括職員さんなどが見つけて通報するため、情報が得られないということはあまりない。独り暮らしの要請件数は国への報告があるためデータはとっている。老夫婦等2人暮らし要請件数は取りにくい。しかし今後はそういったデータもとっていく必要があるので、柔軟に対応したい。

●情報共有支援WGについて

1月末にWG委員が決まり、3月から開始予定。まずは、現状分析(利用している様式、言葉(専門用語)など)から始めたい。

(4)医療・介護連携に係るアンケート再調査(ケアマネアンケート)結果について ■資料(PDF・483KB)

平成27年度に行ったケアマネ対象のアンケート結果より、入院時の情報提供書を運用することとなった。その後、連携がどのようになっているか再調査を行った。11月退院数は204件。うち退院時に連絡があったものは(介護・支援)全体として78%で前回と横ばいである。入院時の情報提供書の運用については約半分。退院調整率は病院によってかなりの幅がある。

今回と前回の調査回答比較をした。情報提供書送付率は微増している。東中西部で比較すると、中西部は高い。理由として考えられるのは、中西部は退院調整ルールを決めているからではないか。入院時の情報提供書送付率は上がってはいるものの、中西部にもう少し追いつかなければいけないと感じている。病院からの連絡から退院までの平均日数は短くなっている。当日連絡や事後連絡もあるようなので、これを評価するのは難しいところ。連携上の問題については「問題あり」の回答数が前回より減少しており、東部地域全体をあげての取組みの成果だと感じている。改善してきているとはいえ、多い内容の傾向は変わらない。連携シートは半分くらいの使用状況で、また、シートを知らないという人もいるので、周知させていくことが課題。

まとめとしては、①退院調調整率が前回と横ばいでほぼ改善していない。②情報提供書送付率は5割に増えたものの、中西部と20ポイントの差がある。③連携シートが不便だという意見が多数あり。

今後の取り組み案としては、①窓口が分からないという意見があったため、連絡先一覧を作成し周知を行う。②病院訪問を実施し、情報提供書について検討したい。病院には丁寧にお返ししないといけない。③退院調整率が変化していないため、明確な数値ではないものの90%は目指したい。④連携シートについて意見が多数あったため、様式の再検討も行いたい。

 【 意見等 】

● 病院毎の退院調整率について、各病院はどれになるのか把握しているのか?

○ まだ結果をお返ししていないので、これから病院訪問をする際にお伝えしたい。

● 病院によってかなり開きがある事が気になった。最初に申しました診療報酬改定に触れますと、今までは退院支援に重きを置かれていたが、これからは入退院支援ということで、入院時から、しかも多職種で関わっていくことが方向性として出されている。

(5)平成27年~29年度、3年間の活動について(報告)

推進室での取組みを始めて約3年、そのまとめとして作成したもの。2月25日の講演会でお話させていただく。この資料にコメントをつけたものを、推進室ホームページに掲載する。

(6)次年度以降の取り組みについて

厚労省の手引きに沿って、取り組みを我々は行っているが、昨年10月に改定された手引きを資料としてつけている。8つの内容については特に変更はない。30年度は全自治体で始めなければいけないが、通知文に書いてある通り、ただ実施するだけでなく内容を充実させる、実のある事を行うように、とのこと。目標値や評価指標を課題ごとに定め、PCDAサイクルで回し、地域の為に頑張らなければいけない。

 ●来年度の重点取組み ■資料(PDF・105KB)

①30年度に向けて、まずは住民啓発の推進。地域包括ケアの植木鉢のイラストでいうお皿の部分。終末期ガイドラインにもあるように、本人家族がどうしたいかを決める、寸劇DVDやパンフレットを活用し、啓発活動を行いたい。

②情報共有WGは始めたばかりのため、しっかり取り組みたい。まずは現状把握から。

③入退院時の連携強化については、病院とケアマネとの連携を強化すること。退院調整率もまだまだであり、中西部に比べると見劣りする。病院やケアマネと協議していきたい。

④研修については、絆研修、事例検討会、他団体の研修会など多々開催されている。しかし、絆研修は始めたばかりでもあるし、PCDAサイクルで評価再検討をしながら、よりよい研修を目指して行きたい。新しい人材も出てくるので粛々と進めて行きたい。

※鳥取市の介護保険事業計画へも同様に、重点的に取り組む内容を盛り込んでいる。

 【 意見等 】

● 3番目の「入退院時の医療と介護の連携強化」に、我々の活動内容を加えていただきたい。

  平成28年に成年後見制度利用促進法という法律が出来た。その法律が必要になる案件として、特に入院された方が退院されたとき。その人に家族がいなかったり、家族がいても虐待ケースなどがある場合や、独居老人、老々夫婦などの場合。そういったときに我々は入っていこうと考え、法人を作って活動しており、全国的にも進んでいるようである。社会保障としての成年後見というイメージ。

  医療にしても介護にしてもお金が絡むことがある。費用を払ってもらえないこともあり、私たちがそういうときにお金をきちんと管理して払って行く。例えばこのような地域包括ケアの中でそういう方を発見したとき、きちんと伝えていただく仕組みがあれば全体の社会福祉もうまくいくのではという気持ちがある。

○ 現場におられる方の中には、対象にあてはまることもあるのではないか。まずは、このような制度や窓口があるという周知ができていないので、こういうパターンは相談対象になる、といったフローチャートがあれば分かり易いと思うし、そういうところも含めて東部福祉保健事務所や病院等と検討し、一緒になって進めて行きたい。

(7)意見交換 ■資料(PDF・103KB)

事前アンケートした、各団体・事業所の独自の在宅医療・介護連携の取り組み、それぞれの課題について発表。

 【 意見等 】

● 会長から診療報酬改定で看取りというキーワードをあげていただいたり、他の委員より看取りの状況についてお話もありましたが、2月の県議会を前に自民党要望として、東部地域の在宅看取りの医師はどうなっているのか。その医師の確保について大事な課題として考えていただきたい。と挙がっていると県庁から連絡があった。在宅療養支援診療所、支援病院はあると思うが、在宅看取りしていただく先生について充実させていく事を今後の課題として、東部でご検討いただければと。県議会議員は県民の代表でもあるので、県民の声として挙がっているということをお伝えする。

○ 看取りについては温度差がありますし、実際、全ての在宅療養支援診療所で看取りをしているわけではない。全国でみても、年間で全く看取らないという数は半分以上あったりする。東部でみると、比較的市内は少なく、郡部のほうが多いのではないか。診療報酬から拾い上げれば確実なデータが出ると思う。

● ファシリテーターとして研修へ協力参加してもらうだけでなく、ファシリテーションWGに出席いただいたり、研修の事前打合せ実施の中でフォローアップ、スキルアップも行っている。

● ACPの補足として。今回作ったパンフレットは住民に向けたものではあるが、関わる医療介護関係者も十分に分かっていない。ACPは欧米の概念であり、それを日本で取り入れ、日本の中でどのように使って行くかようやく議論が始まり、国として取り組み始めた段階。今後、我々もどのように説明し活用していくのか、皆さんと考えていったり、モデルのようなマニュアルを作って取り組んで行ければと思う。

  また、できたものをどのように保存し情報を開示するのかという問題もある。今のところ、自分自身の人生を考えるという機会も十分に熟成されていないことが問題であり、まず今そこに光を当て始めたというところをご理解いただいて、その話し合いができる地域を作って行きたいのが取っ掛かりだとご理解ください。

 ◎ 次回協議会は、平成30年6月7日(木)19時~

戻る

▲トップへ