鳥取県東部医師会 在宅医療介護連携推進室

【 協議会 】令和5年度 第2回 東部地区在宅医療介護連携推進協議会の協議概要

◆ 令和5年10月4日(水)19時~20時30分 東部医師会館・オンライン(Zoom)

◎開 会

◎協議会長挨拶

皆様、こんばんは。先月は第9波といってよい程に新型コロナ患者が増加し、加えて季節外れのインフルエンザ等も流行して、大変ご多忙であったことと思います。新型コロナ流行のピークは越えた様子が見られますが、これから冬に備えてご多忙の日々が続くと思います。そのような中で、本日は協議会へのご出席有難うございます。

来年春には新たな保健医療計画と介護保険事業計画が策定されます。これらに関連して、本日の協議会では外来・在宅医療提供体制に係る調査や、住民ニーズ調査の結果が示されることと思います。これから、住民の皆様が医療介護に対して求めるものは何か、それを実現するためには何が必要かを考えてゆく必要があります。

特に、この協議会のテーマは医療介護の連携ですので、ウイズコロナの時代にあって、いかに個々のスキルアップと、お互いに顔が見え信頼を深めることのできる関係造りを進めてゆくのか、さらには住民の皆様に働きかけてゆくのか、皆様の忌憚のないご意見をいただければと思います。さらに、日々医療介護を実践しながら、問題点や悩みを抱える多くの方々が、気軽に質問や提言をしていただけるような場所を造ってゆけることを目指したいと思います。

10月に入って急に涼しくなりました。今まさにスポーツの秋、芸術の秋ですので、皆様が健康に留意され、心に潤いを持ちながら日々のお仕事に当たって行かれることを祈ります。本日は有難うございます。

 

会の様子

 

◎報告事項

(1)在宅医療・介護連携「相談支援」の概要報告_

居宅介護支援事業所より。往診可能な眼科を教えて欲しいとの相談。在宅療養中の利用者が、病院で検査をしてもらった上で眼鏡を作り変えたいと希望しているが、身体が不自由で長時間の待合が耐えられないため、往診を希望されているとのこと。利用者の居住地に近い病院2か所に確認し、1か所は往診の実績があったため、直接病院に事情を話しご相談頂きたいとお伝えした。

(2)住民啓発活動の状況_

・9月末時点での住民向け啓発状況は11件(248名)。うち、松保地区小地域座談会では、人権学習として地区内を分けて6回行い、延べ人数133名の方に参加して頂いた。

・映画上映会を8月6日に開催した。これをきっかけに、これまで関係性のなかった事業所や職種の方の新しいつながりを持つことができ、その後の研修への参加等に繋がっている。在宅療養生活を支える一員として改めて原点を振り返るきっかけとなった等の感想も頂き、参加者の満足度も高いイベントになった。もっと多くの方に観て頂きたい。今後も機会があればこのようなイベントの企画をしていきたい。

 

(3)第9 期介護事業計画策定に向けた住民ニーズ調査について_

介護保険事業計画策定に向けて、65歳以上の方で要介護認定を受けておられない方から無作為に抽出し鳥取市が3年に1回実施するアンケート。その中から在宅医療介護連携に関するもの、主にACPに関するものをピックアップし令和元年の結果を比較して報告。(1)かかりつけ医の有無は変化なし。(2)人生の最期を迎えたい場所については、病院の割合は低下し、自宅や老人ホームが増加している。(3)延命については、延命目的の治療はせず自然にという考えが多く、傾向に変化はなし。問題はいざというときにこの思いが家族へ伝わっているのかということ。(4)人生の最期についての話し合いについては、終活等の言葉の認知度が高まるとともに話し合ったことがある、の割合は増加しているが、それを記録している方は増えていない。依然話し合ったことがないという割合が半数以上。(5)ACP を知っているかについては、知っている、聞いたことがあるという割合が低下。背景には、コロナ禍で啓発活動にブレーキがかかったことも考えられる。啓発活動を更に推進していく必要がある。

以降、調査の概要の中から多職種連携やACP に関するものをピックアップして報告。家族構成については夫婦2人暮らしの割合が最も多く、一人暮らしは14.2%。85歳以上に限定すると、息子や娘との同居世帯が増加してくる一方で、一人暮らしの方も20.5%、女性に限定すると4 人に1 人が一人暮らしという結果。意思決定できなくなった時に備え、誰に自分の医療・療養に関する方針を決めてほしいかは、配偶者の割合が最も多い。傾向を分析すると男女差がある。男性は配偶者の割合が最も多い一方で、女性は子供の割合が多い。女性の方が長生きのためだと推測できる。地域づくりにお世話役として参加したい割合は、女性より男性の方が、参加してもよいという割合が高い。鳥取市のホームページにて全データを掲載している。

 【 意見等 】

● 令和4年度厚労省の人生の最終段階における医療ケアに関する意識調査では、ACPを知っている人の割合は5.9%(平成29年度は3.3%)と伸びていない。医療者では、45%(平成29年度2割程度)と、医療介護従事者にはある程度は普及しているが、一般の方まで落とし込めていないのが現状。人生会議を進めることに関してどう思うのかという設問に対して賛成するという方の割合は平成29年度63%に対して、今年度は57%と減少している。受け入れがたい現状もあるのかもしれない。厚労省のホームページで全項目を確認することが出来る。(足立副会長)

● 人生会議を進めることについて賛成する人の割合が減少している結果を受けて、この地域としてはどのように受け止めたら良いのか。危機と捉えるべきなのか。(鳥取市保健所)

○ これだけ人生会議について啓発が進んでいるにもかかわらず、実際に行っている人の割合は変わらない現状がある。なぜ話し合わないのかの設問についても、話し合いたくないから、話し合う必要性を感じないから、タイミングがない等の回答もあり、自分事として捉えることが難しい状況があるのではと思う。将来的に人生会議を行う必要性については理解できるが、今実際に行うことについては蓋をしてしまうようなバイアスがかかっていると感じている。啓発の方法についても悩むところではあると思う。(足立副会長)

● 元気な方が増えたために割合が減ったということではないですね?(鳥取市保健所)

○ コロナ禍になったから医療者は人生の最終段階について以前より考えるようになったというデータもある。(足立副会長)

 

(4)第8次鳥取県保健医療計画(東部保健医療圏地域保健医療計画)について_

令和6年度~令和11年度を計画期間とする、第8次鳥取県保健医療計画を策定する。鳥取市保健所は東部保健医療圏地域保健医療計画を策定中。7 月24日に地域保健医療協議会で計画の案を出させて頂いた。調査中のデータもあるが今後まとめていく予定。この会の中でも多方面からのご意見を頂きたい。11月中旬までに意見を計画案に反映させまとめていく。11月下旬から12月には県に東部版を提出するスケジュール。

外来・在宅医療提供体制に係る調査結果について、第8次医療計画策定にあたり、在宅医療や外来医療の現状と将来動向を把握するために調査を実施した。東部医師会員149機関、回答率62.4%。結果の概要について注目すべき点は、2030年時点での存続見込みで、無床診療所の閉院及び親族以外への継承が18.3%。在宅医療を行っていない機関が47.3%と約半数を占める。今後新規に在宅医療を行うかについては、ほとんど行わないが77.4%。現在在宅医療を実施している医療機関の2030年時点での実施見込で、行っていないとの回答が半数以上の53.8%。行っていない理由としては、医師自身の体力や年齢の問題、後継者や医師不足が上位を占めた。アンケート結果を今後の医療計画の策定に反映させていく。(鳥取市保健所)

 【 意見等 】

● 歯科や訪問リハビリに関する質問の項目がない。在宅医療体制には歯科、栄養士、訪問リハビリも大変重要だと考えるが、計画の中には現時点では入っていないのか。(東部歯科医師会)

○ 現時点からでも意見を頂ければ計画に反映させることはできる為、意見を頂きたい。改めて委員へ照会をさせて頂き、回答していただく方法をとる。(鳥取市保健所)

 

会の様子

 

◎協議事項

(1)在宅医療の支援の取り組みについて_

鳥取生協病院が地域包括ケア病棟の病床数を増床。在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院・在宅療養後方支援病院による在宅医療の支援や取組についてお話を伺い、この場で情報共有することでお互いの連携に繋げていきたい。

・生協病院は今までも47床と地域包括ケア病床を持っていた。コロナ対応の急性期1病棟を、8月から地域包括ケア病棟に転換し91床に増加。当院ではマンパワーもあり、少し急性期からサブアキュート・ポストアキュートにシフトした。在宅療養後方支援病院も取らせていただき、地域連携でレスパイト等の受け入れもしたいと思っている。在宅療養後方支援病院では70件~80件ほどの連携を取らせていただいている。引き続きご利用、ご活用いただければと思う。(鳥取生協病院)

・当院も地域包括ケア病棟が48床ある。これまでは、急性期後のポストアキュートで地域の方々に開放がなかったが、昨年から地域で在宅療養されている方の直接入院で、開業医の先生方のご紹介や一般のレスパイト入院の方々の受け入れを開始。在宅療養後方支援の受け入れに関して現在申請登録されている方が120名程。在宅療養中に亡くなられている方もいらっしゃる。ご希望の方はいるが、上手く支援に繋がらない方もいる。特にレスパイト入院に関しては、地域の介護と上手く連携がとれていないためレスパイト入院にならない方々もある。その方々は、病状が厳しいが支援の方に繋がらず受け入れできなかった。その点については、かかりつけ医やケアマネに相談し、受け入れできない場合でも相談内容の方を聞き取り代替案を提示させていただく。今の現状を聞くと介護に繋がっていない方々の方が問題と実感している。(鳥取赤十字病院)

・当院は高齢化社会に向け、県東部地域の包括ケアや在宅医療支援等様々な取り組みを行ってきた。例えば2010年に地域医療総合支援センターを設立。総合診療科や地域ケア病棟もこの頃から開始。2015年東部医師会在宅医療介護連携推進室と共に、当院では生活支援室や地域包括ケア病棟、在宅医療後方支援となる絆ノートの運用を開始。絆ノートは在宅医療・介護を希望される患者様やご家族さんが少しでも安心して在宅療養をできるための取り組み。入院中は病気の治療だけではなく生活を支える医療、多職種専門チームにおけるケア、ACPを含めた意思決定支援を行う。回復期では包括ケア病棟にてリハビリや意思決定支援の継続、在宅への環境調整等を行い、最後に退院前カンファレンスを経て安心して退院できるようにしている。退院後も在宅支援の先生方と連携し、レスパイトも含め何かあれば24時間365日いつでも対応できることで在宅生活を少しでも安心して過ごしていただけるよう日々取り組んでいる。絆ノートの運用状況は、2015年から7年5か月で、届け出件数は222件で月平均2.5件。患者背景は、がん35名、非がん187名。平均年齢88.2歳。男女差なし。住所地は、鳥取119名、その他東部地区圏域とは連携を取っている。かかりつけ医とは45医院と連携。絆ノートの再入院率は59.5%。222例中132例が再入院を繰り返し包括ケア病棟を利用。看取りは222例中152例。在宅74名、病院78名。在宅看取り率は約50%。直接支援として、訪問看護、訪問リハビリ、退院前・後訪問、在宅療養指導、訪問診療も行う。今年度から鳥取市の中央包括支援センターと連携し地域の複雑困難事例に対して検討していく取り組みも開始。当院はこれからも皆様と共に超高齢化社会の地域医療を支えるべく様々な取り組みも続けていきたいと思う。(鳥取市立病院)

・昨年から在宅療養支援病院を経験させていただいている。智頭町の場合、開業医の先生が1件あるが訪問診療を行っていない状況で、療養支援と後方支援の両方を病院が担う。智頭は山間地のため、訪問は谷ごとに曜日を分け週5回訪問しながら必要時後方支援として入院を24時間受けている。急性期、回復期、療養、老健・特別養護老人ホームの施設を持ちつつ、在宅と緊急時の入院を智頭町としてある程度担っている状況。今後も開業医の先生での訪問は現実的ではない。病院自体が訪問、在宅も行いながら支援病院としての機能も行っていくことが見えてきていると感じる。(足立副会長)

・私達の地域では、診療所2つと鹿野温泉病院で24時間の態勢を取っている。月1回の在宅カンファレンスをしながら、問題のある患者さんの報告とレスパイトや入院時の経過、行先、退院時のお知らせを月1回集まり話をする。レスパイトにしても電話1本で何とか対応していただいており非常に助かっている。半分ほどは施設の方もおられるが、20名ほど在宅の方を診ている。訪問診療をしていない方でも状態の悪化した方については入院をお願いしている。(在宅療養支援診療所)

・各委員の発言をお聞きし、在宅の取り組みについてきちんと行っていることが素晴らしいと感じた。大阪の事例で在宅に伺い刺されたという話があったと思うが、委員の先生の中でそのような事例はないか。無いとは思うがその辺りも気を付けて行っていただければと思う。当院はなかなか在宅、訪問診療ということを手が回らないというのが本当のところなのですが、ぜひ鳥取のためにも在宅をさらに推進していただくととても嬉しく思う。(中核病院)

・各病院・診療所において積極的に取り組んでいらっしゃることをお聞きし、頼もしくまたありがたく感じている。(松浦会長)

・私たちの今回行った結果を見ると、先々、訪問診療についてどこまで続けられるか、先ほどお伝えした結果からも厳しい見込みも見えてくる。今続けてくださっている皆様については感謝なのですが、一方でこの診療所の先生の訪問診療機能というものを、これからどこまでできるのかという事を一緒になって考えていく必要がある問題と感じる。幸い在支病や地域包括ケア病床を持っている病院の様々な取り組みでカバーしてくださっている。病院から在宅というところへの働きかけ、機能強化なども含めて今後充実が求められていくのかと思いながら、将来へのアンケート結果で厳しいものが出ているので今後とも皆さんと一緒に検討していきたいと感じた。(鳥取市保健所)

・診療所だけではどうにもならないところがある。介護の力が大きいため連携を図っていかなければならないのと、介護をやっている方々に医療的なことについてお伝えしていく。このような時にはこうしてほしいなどしっかり伝えておくことも重要。もちろん、病院の方のバックアップがないとやっていけないというところもあるため、これから連携というものが益々重要になるかと思う。(松浦会長)

 

(2)“人生の最終段階における意思決定支援”の現状・課題について_

今回、在宅療養者の場面において医療と介護の連携した対応が求められる4場面のうち看取りに関して今回の議題として取り上げた。本人の意志確認や本人・ご家族との話し合い、また関係者間の情報共有についてどのような対応をされているかの現状や見えている課題があればお聞かせいただきたい。いただいたご意見は、今後の検討材料としたい。

・各医療機関で診療報酬上のガイドラインをベースとしたマニュアル整備が始まってから、療養病床や地域包括ケア病棟を持つ医療機関を中心に整備が進んでいるように感じている。それぞれの職種が色々なガイドラインを策定し、研修を受けたりと意識が高まっているのは感じる。急性期に入院され、その後療養で終末期の状態に入っられた場合、このガイドラインに沿い繰り返し何度も話し合ったり、その方の元々の人生観や価値観を大事にといった、この辺りの話し合いができることが必須である。しかし、現場の中ではまだ自分事として受け止めていなかったり、今の病状の説明や今後たどる経過、これからフルコードで行くのか、DNAR、どこまでの医療を希望するか、点滴の種類、胃ろうするしないなどの話になってしまう。ガイドラインに沿った形でできているかというと、医療現場では病状の説明、その後の受け止め、治療をどうするか、どこに転院していくかということが患者さん・ご家族さんも必死になるのが現状。

ガイドラインに対し各医療現場の職種や病院の種類・機能によっても受け止めや活用状況が違うと感じている。市立病院が紹介された絆ノートのようなものが地域全体に浸透していくことが必要だと思う。療養の看取りで、在宅だったり急性期から転院されてくる患者さんが、自分の意志を記したものを持って転院されてくることは難しいのが現状。実際こういう場面になって相談する際、ご本人の意志が確認できない、家族に確認しても話し合いをしたことがないという声が多い。ソーシャルワーカー協会としても、ご家族がおられる方はまだ良いが、身寄りのない方や家族と疎遠な方が増えているため、そういった方に対しての支援、いち早い段階でのアプローチ、地域で在宅医療の先生、在宅部門の包括やケアマネと連携して最終段階の確認の仕組みづくりが一歩行えたら良いなと感じる。(鳥取県医療ソーシャルワーカー協会)

 【 意見等 】

● 家族と患者間のことで、コロナの影響はなかったか?

○ それはかなりあった。県外から戻って来れない、面会ができない、今の病状が分からないために益々受け止めができない。説明を一生懸命したつもりでいても内容が入っていなかったり受け止めが違っていたりということはかなりあった。

 

・智頭町社協では特別養護老人ホームも持っており、そちらの現場での現状と課題についてお話させていただく。ご家族、関係者、職員一同で最善の方針というのを考えるが、家族の意向が大きく反映。智頭町は独居の世帯が多く、家族によっては長い間県外におられる方が多く、そういった方の場合は今の現状が分からないだけでなく、そもそもの生活歴が分からない。自分の親であっても何時に起きて何を食べたかが分からないという方が多いので、何度も話をしたとしてもなかなか前に進まない。課題は、医療的なところで延命するか、心臓マッサージをどうするかというのは案外比較的早く決めることはできるが、介護に関するケア面、生活に沿った内容というのがなかなか決めにくい。そもそも何時に起きて何時に寝ているか分からない中でどうやって生活リズムを組むのかに苦悩している。また生活に関してどこまで反映できるか、聞き取りできるのかが課題。(智頭町社会福祉協議会)

・私が所属している特別養護老人ホームでは入所契約時に意向確認、延命についての確認を家族に行っている。何故家族に確認するかというと、要介護4、5の方がほとんどで年代についても90歳代の方が新規入所で入ってくるような状態。先日も101歳の方が新規入所されるなど、ほぼ100%で本人さんへ意思確認ができないため。先ほどの報告事項にもあったが、延命治療に関する考え方の部分で家族に確認させていただいている事は、食事が口から取れなくなった場合に経管栄養や胃瘻の造設をするしないといった部分や、終末期になった際に救急搬送または入院治療かといった簡単なところの希望するしないを最初にお伺いしている。そういった状況になられた時に気持ちの変化もあるため、その時には再度嘱託医の見解も含め、現在の状況を施設の看護師、相談員が説明し再確認する。本人の意志かどうかは分からないが、看取りの対応に進める。入所時の契約で確認を行っているが、9割の方が看取りを希望されている。しかし、実際に施設の方で看取りの対応となった方は、年間6割~7割となっている。その差の2割~3割の方については、施設生活の過程で持病等を持っておられるため、増悪により尿路感染等から熱が出るなど、軽度な症状から受診され入院となる。入院にはなるが治療、リハビリ等が予想に反して長期となってしまい、施設側も3か月という契約もあるため施設に帰る事が出来ず、そのまま病院で過ごされてお亡くなりになるという現状。今後の課題としては、2割~3割の方がいかにして施設の方に戻られるのか、もう一度ご希望を確認していくかをどの段階で誰が行うのかがある。今後の在宅医療を支えていく中で、施設も在宅の中に考えた時、施設に対する嘱託医さんがおられない。何かあった時に診ていただける方がおられない。岩美町の医療機関は開業医が2院と町立の岩美病院。もし開業医のお二人がおられなくなった場合、我々の大きな施設でも先が見えなくなってくるという大きな問題も感じる。(鳥取県老人福祉施設協議会)

・意向確認については、プラン更新やアセスメント、体調悪化時、退院時のタイミングでご本人さんご家族さんに確認している。通常であれば、生活の意向が中心で、ガイドラインに沿った話し合いはできていない状況。最終段階の確認は非常に大切な事と認識はしているが、サービスを利用しこれから生活していこうという中で、最終段階の意向を確認することはデリケートな内容であり、踏み込めていない。本来なら看取りの時期になるまでにご本人の意向を確認しご家族や関係者で共有すべきところだが、その場を設けることもできていない。いざ看取りになってからご家族も本人ならこう思っているはずというような生活歴等を含めた憶測と、ご家族の介護力やご希望で延命するかしないか、看取りの場所も決めておられることが多いと思う。実際、看取り期になった場合、最初は在宅の看取りを希望されていても、状態によって入院を希望される等随時意向が変わり、ご本人ご家族の間でも意向が異なる場合があり方向性を決めることに難しさを感じている。看取りの時期になってからご本人を交えてネガティブなイメージの看取りの話を行うことが非常にしにくいと感じている人が多い。余命、予後等のご家族への説明や情報が少ない場合があり、どのように受け止めているかの確認がしづらく、ケアマネジャーやサービス提供者側との温度差があり必要なケアマネジメントが難しい場合がある。(鳥取県介護支援専門員連絡協議会)

・施設に入所される方は認知機能等の低下により人生の最終段階におけるご本人の意志というのは分からないことが多い。ご家族の意向に沿った対応になっている。それがご本人の望んでおられた最終段階なのかということは分からずもどかしく感じる。ご本人が意思表明できたとしてもご本人とご家族の意志が異なる場合、ご本人の意志を尊重することが本意だと思うが、そこをご家族に説明したところで意見が合致しない場合、家族の意向を受け入れざるを得ないことが悩ましく感じる。気持ちは変わるものなので、機会を捉えて伺うべきとは思うが、日常的に介護職が関わる中でご本人の意志をしっかり聞き取れていない、ゆっくり関われず十分でない部分やケアに関わる介護職自身がその辺りを意識していない、聞き取りスキルが十分でないことも問題だと思う。仮に聞き取れたとしても、それが記録として残っていない、共有できていないこともある。(鳥取県介護福祉士会)

・ご本人が意思決定できない状況の方で、今後どういう医療・ケアが必要なのか推定する際、家族の気持ちが全面に出ていて、それが本当に本人の意志なのか悩ましいというのが現実的に起こっている。できうるならば、それよりも前から本人の価値・思いを話し合っておくプロセスを重要視していくというのが大きなテーマ。病状説明は本人にまたは家族にACPしたからという言葉がよく出るが、それはACPではない。本人が信頼できる人と共に、いかに自分の価値を医療従事者や信頼できる人と話し合い、その上で管を入れる入れない、何故それを入れないのか、それはこの人がこういう考えで生きていたから多分希望しないだろう。というところまで落とし込めるかどうかがプロセスガイドラインの中で求められていることではないかと思う。意思決定ができない方においては、推定意志が何故そう思うのかを家族に推定いただけるよう、医療・ケアチームで最善について考え倫理的な問題を取り扱うことが求められていると感じている。また、厚生労働省が、本人の意向を尊重した意思決定のための研修会「E-FIELD」を全国でスポット的に開催している。数年後には各県におろされてくるようだ。県内で意思決定支援の教育プログラムで養成を行っていくことになる。研修を通したスキルアップも同時に重要ではないかと感じている。(足立副会長)

 

(3)医療・介護連携に係るアンケート調査の実施について_

保健所と共催し2年ごとに入退院時の連携状況について病院の地域医療連携室と居宅介護支援事業所に調査を行っている。内容については保健所と詰め、11月頃お願いをさせていただく。令和6年度に診療報酬・介護報酬が同時改訂されるが、入退院時のケアマネジャーと医療機関の連携情報共有の手引きに報酬点数が載っているため変更が必要。手引きの活用状況と共に改善点についても今後お伺いさせていただく。

 

◎その他

(1)地域共生社会推進会議の設置について_

在宅医療介護連携推進協議会では地域包括ケアシステムの一環である医療と介護の連携ということで東部圏域全体の会議を開催している。高齢者の問題も高齢者だけではなく世帯丸ごとで課題を見る必要がある。8050問題や生活困窮等、複合的な課題が関わる世帯も増えている。全世代的な地域包括ケアシステムで地域共生社会を目指すことが国全体の流れとなっている。鳥取市でも地域共生社会について、市全体で様々な関係者を交えて情報共有や新たな施策の検討などを行う会議をこの度の9月補正で予算計上。名称は“鳥取市地域共生社会推進会議”。障がいの関係機関としても東部医師会の協力をお願いしたいという意向。また担当課よりお知らせがある。(鳥取市)

 

(2)地域包括支援センターの再編・拡充について_

鳥取市では地域密着型の地域包括支援センターの拡充を図っている。令和2年から順次法人様へ委託し、地域包括ケアシステム推進のため動いていただいている。この度10月1日より直営で運営していた鳥取湖東地域包括支援センターが社会福祉法人こうほうえんの委託になった。10の地域包括支援センターの委託機関と鳥取市長寿社会課にある中央包括支援センターの基幹型で実施する態勢が整った。(鳥取市中央包括支援センター)

 

 ◎ 次回協議会は令和6年2月7日(水)19時~

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