鳥取県東部医師会 在宅医療介護連携推進室

【 協議会 】令和4年度 第3回 東部地区在宅医療介護連携推進協議会の協議概要

◆ 令和5年2月1日(水)19時~20時20分 東部医師会館・オンライン(Zoom)

◎開 会

◎協議会長挨拶

皆様こんばんは。ご多忙の中、本年度第3回の協議会にご出席いただきまして有難うございます。新型コロナウイルス感染症の第8波により、多くのクラスターが発生し、病床が逼迫、高齢者を中心に多くの方々が亡くなりました。私の経験では、コロナ感染による肺炎よりもむしろ、老衰の進行や誤嚥性肺炎、心筋梗塞などで亡くなる方が多く、抗ウイルス薬の普及にもかかわらず、医療者だけではなく、介護者にとっても大きな負担となっています。5月8日以降は、感染症法での位置づけが2類から5類へ引き下げられますが、高齢者と接する私たちは、予防接種の徹底と自身の体調管理、そして感染者の方々へのより綿密な健康観察がより一層求められることとなりそうです。

本日は、業務報告と来年度の取り組みについて等の協議を行っていただきます。この協議会が発足して8年、その前の東部医師会在宅医療研究会から通算すると間もなく10年を迎えます。地域住民の皆様が人生の最後まで、住み慣れた地域で暮らすことが出来るような体制、いわゆる地域包括ケアの充実を目指して、様々な取り組みを行ってきました。私見ではありますが、少し時間をいただいて、これからの課題と考えられるものについて述べてみたいと思います。

一つは、私たちの計画する研修プログラムについて知る、あるいは参加する機会の少ない介護現場の人々が多いということです。その結果がもたらすものとして、在宅医療と連携することを知らないのでいざという時に必要な往診依頼ができない、認知症による問題行動に直面した時には精神科に入院するものだと思ってケアの見直しをしない、看取りが必要になるかもしれない場面に対応できず患者さんや家族の希望に関わらず入院させる、といった事象が起こり得ます。ただし、この背景には医療介護のマンパワー不足も考えられます。どうすれば研修の機会を増やせるのか、ご意見をいただければと思います。

もう一つ、前回の協議会挨拶の際に、警察などの行政組織とも幅広く連携、という話をいたしましたが、本日は、鳥取県警と消防局からそれぞれ2名の方にオブザーバーとして参加していただいております。私は先日、救急搬送の前後で心肺停止が起こった際に、医療介護者との間に信頼関係を持ってほしい、警察関与の必要性について検討してほしい、といった趣旨の申し入れを行いました。本日、この協議会において意見交換ができればと思い、来ていただけることとなりました。

この他にも様々な課題があると思いますが、忌憚のないご意見をいただきますよう、よろしくお願いいたします。

 ※ 今回は鳥取県警察と鳥取県東部広域行政管理組合消防局からお2人ずつ、オブザーバーとして参加。

 

◎報告事項

(1)在宅医療・介護連携「相談支援」の概要報告_

前回の報告から1件(04003)追加。居宅からの相談。脳性麻痺の利用者が通院できなくなり、往診可能な小児科を紹介してほしい。資源マップは確認済みで、居住圏内の小児科に相談したが断られたという内容。こちらでも資源マップを確認したが、小児科では困難だと思われる。小児科以外の対応可能な診療所を紹介いただけるかもしれないので、まずは主治医にご相談くださいと回答。

(2)令和4年度の活動の状況_

今年度の住民向け啓発は予定含め21件(3/2青谷町老人クラブ追加)。コロナ前の状況には及ばないが、6~7割まで回復している。環境大学や4町からも依頼があったり、香美町・新温泉町では独自で啓発活動されたり、大変充実した内容だったのではないか。その他、鳥取市と共催し認知症フォーラムを開催。地域共生社会推進研修会では会場から各公民館へYouTubeライブ配信を行った。NHKの番組では足立先生がご出演され、放送翌日は役所にACPノートの問合せが多数あったとのこと。

関係者向けは7件。昨年度に続き、ACPノート実践研修会を開催。職能団体向け研修としては鳥取県ソーシャルワーカー協会のACP研修会を2月6日開催。

事例検討会は年4回、第30回は2月3日開催。絆研修3回目は2月19日開催。

ワーキンググループはそれぞれ年2~4回開催。在宅療養支援WGで検討中の「急変時の情報共有シート」については、各市町で緊急時の情報共有キットを運用されており、地域差はあるが10年ほど前から運用され定着しているようなので、各地域の取組みを進めていただき、課題についてWG等で検討。また、市町の中でも力を入れておられる若桜町に、このあと取り組みを紹介いただきたい。

Zoomいろは研修については、初級者編に加えステップアップ編を開催。これによりオンライン会議の主催ができるようになり、昨年度より1歩進んだ研修になった。

地域共生社会を視野に入れた多施策・関係機関との連携強化については、地域共生社会推進研修会の運営協力や、3月には医療介護関係者・住民対象のYouTube動画配信を予定している。

皆さんにご協力いただいた資源マップデータ再調査が終了し、データ更新を行ったので、皆様ご活用ください。

 【 意見等 】

● 3月4日、香美町と合同で野の花診療所 徳永進先生をお招きし「ふつうの死にひと工夫」という演題で両町民に向けたフォーラムを開催。200名の参加者を予定しており、全員にACPノートを配布し、フォーラムの最後にノートについての説明と出前講座の案内を行いたい。当町も因幡・但馬麒麟のまち連携中枢都市圏の一員として在宅医療介護連携推進に努めたいと思います。(新温泉町包括)

● 若桜町では、高齢者・障がい者の方、健康に不安のある方が急病になった時や災害時など、速やかに対応が取れることを目的とした緊急情報カードを作成している。このカードは氏名や生年月日、血液型、緊急時の連絡先、かかりつけ医療機関、治療中の疾患、内服情報を書いたカードを専用ケースに入れ、すぐに情報が取り出せるよう自宅の冷蔵庫に貼って保管。情報は毎年更新している。外出時の万が一に備え、免許証サイズのカードも配布。集めた情報はまとめて登録者一覧表を作成し、消防、警察、社協、自治会、民生児童委員の皆さんと情報共有し、地域での見守り活動にも役立っている(同意いただけた方に限る)。配布対象は65歳以上で希望される方に作成。登録者数は1,290人中953人、74%。障がい者手帳所持者の方は59人中22人、37%。全体で72.3%。

工夫している点は①毎年情報確認を取り、新しい情報に更新していること、②若桜町役場職員が、毎年70歳以上の世帯の方に安否確認の目的で訪問している。安心して登録や情報更新していただけるよう、一方的な通知はせず、直接本人に手渡しでご案内し、説明や確認、回収作業を行っている。事業効果としては、緊急時スムーズに情報伝達できたり、独居者も多いため、その方の安否確認が必要な場合(長期間新聞が溜まっている・行方が分からない時など)に、緊急連絡先へ連絡を取ることができ役に立っている。これは平成26年度から開始した事業で、その間クレームなどもあったが、今では「何かあった時に役立てたいのでカードを登録しておきたい」という気持ちが定着していると感じている。(若桜泉町包括)

(3)その他報告事項_

前回の協議会で、環境大学での住民啓発活動について報告について、委員より「若いうちからの取組大切。教育委員会とも話をしてみてはどうか」というご意見をいただき、ACPの概要について鳥取市教育委員会と話した際の報告。

がん教育は始まっているが、子どもの親御さんががん患者の場合など慎重に対応されているとのこと。こちらも若年層にアプローチできる資料を持ち得ていないこともあり、まずは親世代、例えばPTA研修などでACP啓発を行い、家庭に持ち帰って話し合ってもらうのはどうか、という意見をいただいた。学校でも、小学校から高校まで利用するキャリアパスポートという自分らしい人生を考える取組みがあるそうで、将来なりたい自分のために学習活動や校外活動などを記録し行動を振り返り自己評価するもの。人生について考えることが大事という点についてはACPと共通しているのではと感じている。(事務局)

 【 意見等 】

● 教育委員会のお話は貴重な事だと感じた。キャリアパスポートについては初めて聞いたが、最近、医師教育にもポートフォリオ(教育技法)が加わり、省察しながら自己評価し次のプランを立て、学習課題を見つけていくということで、生き方の見直しにも繋がると思う。そこにリンクさせていけるような取り組みを、今後事務局と相談しながら進めていくことができればと感じている。(足立副会長)

 

会の様子

 

◎協議事項

(4)令和5年度事業の推進方針_

基本方針は4つ。①リモートワークに対応した事業を継続しつつ集合研修の開催を検討。②ACPの普及啓発を継続実施。③4場面(退院時、療養時、急変時、看取り)の情報共有仕組みづくりの検討。④地域共生社会を視野に入れた多施策・関係機関との連携強化。

事業実施計画の特徴的な項目を挙げると、②協議会・WGの開催についてはWGを一部再編。行政住民啓発WGを、共生社会を意識した住民啓発にシフトしたく、メンバー変更を検討。ACPノート企画WGはACPノートを作成する時のために期間限定で設置したもの。現在は普及啓発の段階であり、終了予定。いずれも次年度協議会でお伝えしたい。

⑤オンライン技能取得研修の開催については、絆研修のようなオンライン研修に参加いただくためのスキル習得のため、いろは研修を行っているが、参加が難しい方のために外部事業者に事業所へ出向いてもらい、研修してもらう計画。これから具体的に検討。研修に参加するだけでなく、サービス担当者会議やカンファレンスなど業務にも活用いただきたい。

⑥多職種連携ワールドカフェについては、対面研修を希望される声もあり、状況にもよるが開催できればと思い昨年度に続き計画に掲げている。

 

(5)医療・介護関係者に対する研修の周知について(意見交換)_

会長のご挨拶にもありましたが、我々は様々な研修会を実施している。固定の参加者の皆さんは勿論歓迎しているが、新しい方にも参加いただきたい。その一方で、研修会の開催を知らなかった、知っていたら参加したのに…といった声を聞くことがある。協議会やホームページ、メールで情報発信は行っているが、現場の皆さんになかなか届いていない現状もあるのかなと思っている。受講希望者への周知方法について、各団体の委員様にご意見いただきたい。

 【 意見等 】

● 研修案内は各居宅にメールでお知らせいただいており、私たちの事業所でも確認し参加を募っている。ケアマネ協の取組みとして、県全体のホームページに掲載すれば会員外の方も情報を知ることができるので、定期的に掲載し周知に努めたい。(介護支援専門員連絡協議会)

● 薬剤師会では各薬局にFAX等で周知しているが、研修はとても多く、医療関係は週に何回も開催されている。特にオンライン開催になってからは機会がありすぎてどれを選ぶか難しく、認定薬剤師の単位が取れるものを優先してしまう。FAXを流すだけでなく、どういった内容なのかもう少し分かるように周知していかなければ、知っている人は興味を持つが、知らない人にはさらっと通ってしまう。内容が分かるよう、工夫が必要だと感じた。(薬剤師会)

● 推進室からの研修会案内は確認しているが、介護福祉士会としては、会員向けに会報などを送ることがあるので、年間計画や研修会の開催時期が合えば一緒に送付できる。送付されたものをしっかり見るかというと個人差はあると思うので、その辺りをどう周知するか検討したい。(介護福祉士会)

● 目に触れる機会を多くするには、魅力ある発信かなと思う。(松浦会長)

● 老施協事務局に年間計画を送っていただき、そこから周知できる。我々の施設内でも回覧しているので、こまめに発信していけば計画が立てやすく参加も増えると思う。(老人福祉施設協議会)

● 我々もメールで情報提供しているが、そこからは各事業所にお任せしているので、より具体的に分かり易く周知しないといけないなと感じている。(小規模多機能型居宅介護事業所連絡会)

● 部署ごとにコピーしたものを配布し周知しているが、一部の人が見て興味がないためそのまま破棄している状況もあるようだ。可能であれば、時間が無くて参加できなかった人に対し、メールで研修会の概要を情報提供いただけるとより良いのではないかなと思う。(在宅療養支援診療所)

 

(6)急変時の対応について(松浦会長)_

救急搬送前後における心肺停止例への対応についてご意見をいただこうと考えております。

事件性が疑われたケースについては、特殊なケースではなく、どこでも誰でも起こり得ることではないかと、かなり切実な問題ではないかと私はいつも思っている。事件性が疑われるとは、心肺停止事例では警察に通報が入っているという事実があるので、これは心肺停止事例に置き換えても構わないかと思います。

医療者にとっての問題点としては、診療時間帯に聞き取りが行われることが多く、それにより診療を続けることができなくなること。私の例では、多かれ少なかれ関与した患者さんが年間 60 人程お亡くなりになっているので、いつどのような聞き取りがあるのか分からない状況。また例えば直接患者さんを診に行き、救急車に同乗し病院へ行く。そこに警察の方が来られ、一から聞かれると、夜中に無理して出かけているにも関わらず、翌日の診療を考えると憂鬱な気分になってしまう。酷いケースでは点滴の中身を調べられたり、医療者にミスがあったのではないかという嫌疑を掛けられるケースもあると聞いている。医療者に対する信頼関係が無くなってしまっているのではないかと暗然たる気分になってしまう。これは医療者にとってのことで、ウェイトは大きくないのかもしれないが、患者・家族にとってはもっと大きな問題が生じてくる。一つは、身内の方が亡くなり非常に大変な時に、3時間ほどの聞き取りを受け、負担になっているということ。それまで一生懸命介護をされてきたにも関わらず、貯金通帳や生命保険証書などを調べられ事件性を疑われるといったことや、施設でも一生懸命介護士の方が介護していたにも関わらず調査を受けなければいけないと、非常に心身の負担が大きいと思う。施設に入っておられ、家族はあまり面会が出来なかったケースでは、病院に駆けつけ、警察が待っているのを目にし、施設職員は何をやっていたのだろう?という家族の不審が生まれてくる。

心肺停止をキーワードにお話しているが、非常に具合の悪い方が亡くなる前に心肺停止することは当たり前のことであり、それがたまたま救急車を呼ぶタイミングが合わなかった、それは、いつ亡くなるか予測することはできないため、そういったことも起こり得る。その度に消防が警察出動を要請していたら、大変なことになってしまうのではないかという懸念がある。医療も救急隊も関与していない事例こそ、事件性があるという疑念が湧いてくる。最近問題になっている高齢者虐待については、市役所や地域包括支援センターが力を入れているので、今後どのように合理的方策を確立していくのかを話し合っていくべきではと思う。

異常死や検案については、死後時間が経過しており救急隊が不搬送の場合に警察へ引き継ぐと理解してきた。医師法20条にも24時間以内の診察で死亡診断可能と書いてある。同21条には異状死の届出義務、これは犯罪の可能性が否定しきれないため。平成6年、日本法医学会はガイドラインを制定し、検案の対象を医療過誤が疑われる例にも拡大した。しかし平成16年の広尾病院事件の最高裁判決をきっかけに、届出義務の範囲と検案の解釈が限定された。法医学会では外表上問題のある例が検案の対象となるという定義がなされた。平成24年には、死因身元調査法と死因究明等推進法が成立し、死因解明が必要な場合には、警察の判断により、解剖が行われるようになった。鳥取県では平成24年の変死体等措置要綱にて、異常死体については詳しく調べていくという流れもできている。

医療過誤という問題を取り上げると、外科学会などの反発もあり、平成16年に内科学会・外科学会・病理学会・法医学会の共同声明を発表。その影響を受けた医療法改正が平成26年にあり、医療事故調査・報告センターへの報告と調査義務が生ずることになった。平成27年度以降は、厚生労働省の死亡診断書記入マニュアルも改訂。法医学会ガイドライン準拠の文言は削除。令和2年からは死因究明等推進基本法が施行され、死因究明は調査センターが主になり行う流れとなった。これら2つの流れは相反するようだが、犯罪はもれなく警察が、医療過誤は医療事故調査・報告センターが、という流れになっていると思う。

これらを基に翻って考えれば、救急隊が搬送した例が、その前後で心肺停止になっても、必ずしも警察による検案は必要ないということになる。なぜこのような仕組みになったのか伺いたい。以前は警察への連絡は医師の判断で、という余地があったと思うが、先ほど申したように、医師の判断や医師との協力といったところが軽視されているのではないかという懸念がある。

医療と警察の関りは多方面においてありうるが、鳥取県で警察医は未だ組織化されておらず、どういった考えで検案に向かえば良いのか、統合する場がない。医師にとって捜査や死因究明への協力も重要な業務で、医師会を中心に研修会を行っている。この会を通じ、かかりつけ医に求められる在宅医療を多職種協働で推進していこうと議論しているが、こういったことを行いながら、行政との関わり、どのように医療と司法が関わって行けばよいのか、考える機会も必要なのではないかと思い、皆さんにご意見いただければと思う。

 【 意見等 】

● 医師が診察をして死因がはっきりしない、事件性があると考えたときに警察へ届けるのは当然のことだと思う。心肺停止したというだけで警察が介入するのは疑問が残る。私が総合病院にいた時には、蘇生中や蘇生直後に原因検索の過程で、明らかに死因がはっきりする場合、例えば脳出血や大動脈解離がある場合は死亡診断書にしていた。死亡診断をするまでの間に医師が診察をしていて、その結果死亡したと判断していたから。(在宅両要支援診療所)

● 当院に運ばれてきたCPAの方は、橋本先生が言われたように少しでも異常があれば当然警察へ連絡する。私も、前日に亡くなった方で、あれ?と思った方がおられたので、幹部で会議をし警察へ連絡した。ある程度は医師の裁量に任せていただきたい。鳥取県に検案医は組織されていないとうことは、例えば病院に警察が来られて検案してくださいとお願いされたら協力はするが義務ではないと思う。今後警察でも検案医を養成していただけると有難い。(中核病院)

● 検死を何のために行っているか、究極の目的は犯罪死の見逃しを出さないため。なぜこの方が亡くなられたのか、医学的に死因について考えざるを得ない。我々もできる限り関わらないほうがよい、関わりたくないというのが本音。ただ、病院に救急搬送されると、ドクターの裁量で異常死体と判断され警察検死をお願いします、というケースが多くある。心停止、社会死状態で時間経過がある場合、救急隊の判断で、救急搬送はなく警察に引き継ぐ。警察は事件性があるかどうか遺体を見ただけでは判断できないため、ご遺族や親族から話を聞いたり、亡くなられた場所の環境を見たり、独居の方であれば貴重品や鍵の有無、現金が取られていないか等を見て総合的に判断している。警察は死体検案書を作成できないため、検案医が必要。かかりつけ医がいれば、その方に病歴などお聞きし検案をお願いしている。しかし、検案は難しいという回答がほとんどであり、承諾いただける医師にお願いし、遺体を県警に持ち帰り検死をしている。

事情聴取に時間がかかる、といったご指摘については、2~3時間もかかってはいないが、総合的に最初から最後まで、ご遺族にしてみれば3時間くらいというのは確かにそうかもしれない。医療者に嫌疑をかけるというのはまずないと思う。

心肺停止事案に警察が関わることについては、通信指令課では警察と消防局、JRで協定のようなものが数年前に結ばれている。例えば交通事故や心肺停止事案を含めた傷病人事案やJR事故事案などが発生した際、お互いが最初の段階で通信で指令を飛ばし合い、早期の段階で立ち上がる。救急車が出動すれば県警本部の指令課にも情報が入ってきて、各警察署がそれをキャッチし動き出す。色々なことを調査していく過程で事件性がないことは見えてくる。ただ、最初の段階では判断できかねるので現場へ向かい情報収集している実態。(鳥取県警)

● 協定は鳥取県で結ばれたものか?医療者抜きで行っているもの?(松浦会長)

○ 鳥取県で、協定書のようなものはないが、指令部門では定期的に意見交換会を行っているようだ。医療者は入っていないと思う。(鳥取県警)

○ 指令業務の協定については把握していない。県警からCPA事案の場合は連絡が欲しいと伝えられており、救急隊はCPA事案なら指令課へ連絡している。救急業務の実施要項でも、事件性がある場合は警察に要請することになっている。明らかに死亡している場合も要請している。協定については帰ってから確認し回答する。(東部消防局)

● 3年前、当時の警防課長にも同じことをお伝えした時は、心肺停止というキーワードによって警察は活動します、と言われた。心肺停止にも色々あるのではないか?と話した。自動的に警察に連絡が行き、警察は消防から連絡が入ったので仕方なく動いているといったニュアンスが聞こえてきたような気がする。もう少しその辺り、融通を利かすことができないのか。中には犯罪を隠すために巧妙に仕組まれたものもあるのではといわれるかもしれないが、大多数は犯罪ではないので。今日結論が出る話ではないが、せっかくこの会に出席いただいたので、今後、良い方向に進めることができればと思う。(松浦会長)

● 私も警察の協力医をしているが、急死の場合は救急車で運ばれ病院の先生にご迷惑をかけていることが多いかと思う。明らかに亡くなっている方は、救急隊は搬送できないため警察からの依頼で検死協力している。松浦先生がお話されたように、外来時間中だと出にくいこともあり、警察の方に待ってもらうことになりご迷惑をおかけしているが、通院されている方が突然亡くなって家族から連絡があった場合、死因が分からないときがあるので、その時は警察へ連絡することもあり得る。亡くなってすぐの場合は確認するが、時間が経過している場合は悩ましいことも多い。(在宅両要支援診療所)

○ 医師の立場からは、医師がよくよく考えてお願いしていることなので、分かっていただきたいということだと思う。(松浦会長)

● 昔はドクターの方から異常があれば警察に連絡することが常態化していた。最近私は救急から離れていたので救急患者を診ることはなかったのだが、ひと月前くらいに外来で診ていた患者さんが救急搬送されてきて、しばらくしてから警察が来られ、こういったシステムになっているのかと初めて知った。システムについてのアナウンスはなかったと思う。私は松浦先生のように多くの方を看取っているわけではないので、なるべく警察には協力しているが、時間によってはこちらも人間ですのでいらつくときもある。コンパクトに質問事項をまとめ、なるべく短時間で聞き取りしていただきたい。(東部地域医療連携協議会)

○ アナウンスはなく、3年ほど前に気づいた。(松浦会長)

● 検案をお願いする場合は、日曜日にいろいろな先生を探してお願いしたり、夜の時間帯の変死、傷病人事案が多いのだが、夜にお願いすることはしていない。日曜の事案であれば週明け、開業時間帯にお願いしたり、自宅死を警察で扱っているが、診察券やご家族からの話で、病歴などを先生に確認することはあるが、お忙しいようであればそのように答えていただいたり文書紹介してほしいと遠慮なくお伝えいただければと思う。なぜ病歴情報が必要かというと、かかりつけの先生ではない先生が検案される場合、情報提供した上で最終的に死因を決めてもらう必要があるので、死因究明のため確認せざるを得ない。(鳥取県警)

○ 私個人の意見ですが、昼間はほとんど空きがない。何かあれば夜中でも連絡いただいて構いませんし、日曜でも良い。例えば土曜に亡くなった方について、月曜のお昼休みが終わる頃に検案のお願いがあったら、今まで何をしていたのかと言いたくなる。この問題については、いろいろな切り口で考えていかなければいけないと思いますが、地域包括ケアを考える上で、患者さんが、家族を含め、最後まで安らかな気持ちで人生を終えることができるよう、我々は目指しています。そのことを理解いただいたうえで協力関係を築いていき、主治医の意見も取り入れつつ、犯罪の有無も含め、亡くなられた理由について組み立てて行けると良いなと思っている。(松浦会長)

● 施設で看取りをしない、というところがいくつかあり、施設で亡くなると警察が来られるので施設で亡くなられると困る。少しでも悪くなったら入院していてほしい。と言われる。自宅で看取りをしよう、なるべく入院しない、という気持ちの足かせになると思う。松浦先生がお話されたのは、消防から警察に連絡の前に、医師の判断を挟んでから警察に連絡するかどうかを決めてほしい。という先生のご意見だと感じた。そのことについて、協議いただきたい。(在宅両要支援診療所)

 

会の様子

 

◎その他

(7)その他(足立副会長)_

この協議会では、在宅医療介護連携を重要視して進めているが、実際は在宅医療そのものを推進しているわけではない。以前にもお話したように在宅医療は実際のサービスであって、連携は強化になるので、車で言うと両輪がそろわなければうまくいかない仕組みになろうかと思う。第8次医療計画は、今年度ある程度案を作成し、2024年から施行される。今後の在宅医療のニーズは2040年にピークを迎える。あと15年後くらいにピークが来る状況。在宅医を育てようと思うと10年程度のキャリアが必要になるため、今の時点からある程度計画の中に在宅医療介護連携と在宅医療の体制を両方考えることができる場が必要ではないかと考え、提案させていただいた。

参考資料は厚生労働省で行われているワーキンググループの資料、お時間のある時に見ていただきたい(参考資料PDF)。主要なところは7ページ(5)、国の指針としては、在宅医療において積極的役割を担う医療機関、これの位置づけを決めるということ。その中には在宅医療に関する人材育成であったり、住民への普及啓発といったような推進事業と重なる項目もある。もう一点、8ページ(6)、在宅医療に必要な連携を担う拠点も、市町村等と地域の実情に応じ、位置づけしていくことを盛り込みなさいと示されている。在宅医療介護連携推進事業は推進室が中心になっているが、今後は在宅医療に必要な連携を担う拠点も必要。さらに、積極的に担う医療機関も、ある程度認定していきながら同時に協議していくことが必要ではないかと考えている。これはおそらく医療側での対応で、介護は介護分野となるが、同時に検討していく機会があった方が良いのではと感じている。

 【 意見等 】

● 在宅医療が管内でどういった状態にあるのか、足立先生のお話に2040年とありましたが、介護の需要は上がる一方で高齢者も増えていく中で、在宅医療のニーズは益々増えていく。担い手やどう進めていくかについては課題であろうと思っている。来年、県が医療計画を立てる中で、在宅医療も一つの領域になっているし、その辺りを県全体で、圏域を含めて認識を持ちながら、検討内容など皆様方にもお知らせできればと思っている。先般、診療所の在宅医療をどのようにされているのか、この先在宅医療をどのように担われるご意向でいらっしゃるかのアンケートを行った。理事会でも相談させていただき無記名回答で、回答率は50%程度。結果については必要に応じ報告させていただき、拠点をどこに据えるかも含めご協議いただきたい。(鳥取市保健所)

● 地域医療構想と、その中でも在宅医療の果たす役割は大きくなってくるので、アンケート結果も楽しみにしています。(松浦会長)

● 年度末の人事異動による委員交代があれば事務局へ連絡をお願いします。(事務局)

 

 ◎ 次回協議会は令和5年6月7日(水)19時~

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