鳥取県東部医師会 在宅医療介護連携推進室

【 協議会 】令和4年度 第1回 東部地区在宅医療介護連携推進協議会の協議概要

◆ 令和4年6月1日(水)19時~20時25分 東部医師会館・オンライン(Zoom)

 

◎開 会

協議会委員の任期が令和4年3月31日までのため、各団体よりご推薦いただき、あらためて委嘱させていただいた。委嘱状は今回の資料と一緒に送付。任期は令和4年4月1日から令和7年3月31日までの3年間。

◎東部地区在宅医療介護連携推進協議会 会長、副会長の選任 (事務局進行)

協議会設置要綱の規定により、会長1名、副会長2名を委員の互選により定めることとなっている。立候補またはご推薦があれば挙手をお願いします。

 (挙手なし)

事務局案として、会長を、協議会設立以来、在宅医療介護の連携推進にご尽力いただいている東部医師会顧問 松浦委員に、副会長を、ACP普及啓発を推進いただいている鳥取市福祉部参与 足立委員と、当協議会の研修会プレゼンターで参加いただくなど多職種連携にご協力いただいている鳥取県看護協会 村上委員にお願いしたい。この案にご賛同いただける方は挙手をお願いします。

 (挙手多数)

挙手多数により、会長に松浦委員、副会長に足立委員と村上委員が選任されました。

◎協議会長挨拶

協議会の会長に選任していただきました松浦です。皆様、大変ご多忙のところ、ご出席いただきまして有難うございます。この協議会は、平茂27年に東部医師会の在宅医療介護連携推進室が1市4町の委託を受けて設立されたのと、ほぼ時を同じくして始まりました。その2年前の平成25年には、協議会の前身である、東部医師会在宅医療検討委員会や基金の在宅医療連携拠点事業としての在宅医療介護連携検討委員会が発足しております。委員の皆様方には長年にわたり、日々の業務の傍ら、多職種連携の推進のために大変お世話になって参りました。また、この度鳥取市の長寿社会課に課長として転任された橋本さんには、8年間にわたり真摯に取り組んでいただきました。皆様のおかげで多職種の多くの方々が熱心に取り組まれた研修をはじめとして、実りある活動を行うことができました。

この度多くの委員の方々に、引き続き協議に参加していただけることになり、有難うございます。また、6名の新委員を迎え、私もこれから3年間、在宅医療と介護の連携がさらに充実したものとなるよう、ひいては住民の皆様がいつまでも住み慣れたこの地域で、必要とされる医療介護を受けられることを目指して、新たな気持ちで努力してゆきたいと思いますので、よろしくご指導ご鞭撻をお願い申し上げます。

会の様子

 

 

◎報告事項

(1)令和3年度事業報告_

全体的にコロナウイルス感染症の影響はあったものの、制限がある中で皆様にご協力いただきながら、リモートやハイブリッド形式での研修会等を開催した。前年度よりも活動ができたのではないかと思う。

事業の概要報告。東部1市4町委託事業から。医療介護資源マップの情報更新や相談支援を継続。相談件数は5件、後ほど説明。協議会は3回開催。5つのWGを計15 回開催。

医療介護関係者の情報共有支援については、鳥取市保健所と共催し、入退院時の連携状況についてケアマネと病院連携室を対象にアンケート調査を行った。ファシリテーター養成研修も保健所と共催でオンライン開催。また、認知症施策との連携として、令和2年度に作成した研修動画を引き続き配信中。鳥取市と共催で認知症フォーラムを開催した。

住民啓発活動については後ほど説明。

ACPノートを独自で作成、配布し啓発活動を行っている。最終段階での運用方法を検討し、実践研修会をオンラインで開催した。

広域連携は、香美町と新温泉町を加えた麒麟のまち連携中枢都市圏で、住民啓発活動の推進や多職種研修会に相互参加している。その他、研修に関するものとして、オンライン開催が増える中、Zoomの使い方について学ぶ初心者研修を3回シリーズで開催した。

鳥取県地域医療介護総合確保基金事業について。多職種研修会は、地域包括ケアや多職種連携の大切さなどについて研修を通じて理解を深めていただくことができる内容。

(2)在宅医療・介護連携「相談支援」の概要報告_

前回の協議会で報告後、相談1件。僻地、中山間地への往診が可能かどうかというケアマネからの質問。補足資料のとおり、半径16kmを超えても、往診を必要とする絶対的理由や特殊な事情がある場合は往診を行うことができる。今回の相談はエリア内の診療所が往診をされていないとのことで、それに該当するのであれば対応可能な医療機関へお願いいただくようお伝えした。(事務局)

(3)地域包括支援センターの再編・拡充について_

鳥取市は、より地域に密着した地域包括支援センターを目指して地域包括支援センターの担当区域や運営形態の見直しによる再編、拡充を進めている。基盤型1か所、地域密着型10か所を運営。資料のとおり直営は中央と湖東、残りは社会福祉法人等に委託しているが、湖東については今年度公募し委託開始予定。(鳥取市中央包括)

 

◎協議事項

(1)令和4年度事業計画_

基本方針は、リモートワークに対応した事業の継続、地域共生社会を視野に入れた他施策との連携強化、ACPの更なる普及啓発、急変時にポイントを置いた情報共有仕組みづくりの検討。

実施計画は、①推進室の継続運営 ②協議会・WG の開催 ③事例検討会の開催、次回は8月19日予定④多職種研修“絆”研修の開催、1回目は7月24日開催 ⑤オンライン技能取得研修を初心者向けとステップアップ編に分けて開催 ⑥ワールドカフェ研修はコロナ終息後、ワーキンググループ内での開催、内容は状況を見ながら検討 ⑦ファシリテーター、プレゼンター養成研修を保健所と共催で開催 ⑧関係者への周知・学習機会の創出、地域包括ケアやACPの啓発と新しい試みとして関係者向けのYouTube 動画の作成配信 ⑨地域住民への講演・学習会は、これまでの活動に加え、なるべく色々な分野と協働実施したい。住民向けYouTube 動画も作成予定 ⑩医療介護資源マップWebシステムの運用継続。(事務局)

コロナ禍で研修会等のオンライン開催が増える中、使い方が分からない方もいらっしゃる。そういった方を対象に、オンライン会議ツールZoomの基礎的使用方法の研修会を開催する。また、ステップアップ編として、主催者を要請するための研修も開催予定。スタッフとしてご協力いただける方を募集中。忙しくて研修に参加できない方向けのYouTube ショート動画の作成。内容は地域包括ケアシステムや地域共生社会、ACPなど。見るだけでは身に付きづらいので、Googleフォームを利用した小テストも実施したい。住民啓発向けのショート動画も作成する。(事務局)

(2)ACPノートの活用状況について_

令和3年度の住民啓発活動は前年度より増え17件。もしバナゲームの貸し出しも2 件あり。関係者向けは、事業所内だけでなく圏域を超えた研修も開催された。今年度の予定の中では、環境大学の学生からも依頼があった。若い世代でもACPの大切さを知っていただきたい。

ノートの活用状況について。平成30年度にACPノートを作成したが、葬儀関係などの広告付きであったため、施設や病院では使いづらいという声があった。そこで、ACPノート企画WGを立ち上げ広告なし、独自でノートを作成。5千部の在庫がほぼなくなり、増刷。配布先の施設や行政では、どのような活用をされているのか状況を伺ったところ、200部配布した医療センターでは、入院患者さんやご家族だけでなく、興味を示された外来患者さんへも月に10部程度配布。鳥取赤十字病院では、出前講座で住民さん向けにACP啓発を行っていきたいとのこと。講演会参加者や患者さんへも配布されている。(事務局)

昨年開催した講演会で、橋本さんにACPの総論的な内容をお話いただいた。その後、学論的なことを学ぶ機会や少人数ワークショップの開催を検討していたが、まだ実施できていない。このACPノートは非常によくできており、引き続き使っていきたい。(鳥取赤十字病院)

昨年度は地域の方を対象に4回、職域向け1回開催。参加された方からはとても好評で家族にも話したいという声もあった。その反面、もしもの時の話のため、怖いと捉えてしまったり、うつむき加減で聞かれている方もおられた。皆さんに聞いていただくために、どのような話し方をするかが大事だなと感じた。(智頭社協)

このノートが地域の中で配布されていることは有難い。ステップ1と2は、元気な人でも何らかの病気を抱えた時どうしたいか、きっかけとして考えていただきたいが、人生の最終段階になった時は恐怖感や不安を持たれる方は多い。医療介護者が(この人に)必要と思って進めるのではなく、本人が話し合いたいと思っているかきちんと確認してから、侵襲的でない状況で活用いただきたい。限定的な運用ということで対応いただければと思うが、そのためにどういった話し方をすれば良いかの型式がなく、実践形式の中で皆さんと学ぶ機会を今後も持ちたい。今年度も実践研修を1 回開催したいと考えている。ご関心のある方は参加いただきたい。

先般、広島県で在宅ケアセミナー講師を務めさせていただいた。介護の現場の方々は、その人たちが老いて弱っていく状況の中で、関わる時間が長い。病院の場合は救急で運ばれ、考えがまとまらない状態が多くある。介護に関わる方々が、その人達の人生の価値や生き方や思いを医療に繋げていく仕組みを考えていきたいと思っているので、引き続きご協力をお願いします。(足立副委員長)

 

 【 意見等 】

● 8050問題が放置されると10年後9060問題となる。今年2月に医師が殺害された事件のような親の年金で生活している人が、親が亡くなると困るといった状況になったとき、医療者と家族は深刻な利害関係になる。地域共生社会を進める中で、この協議会が鳥取市の計画の中でどういった位置づけになっているか、どのような期待をされているのか。反対に協議会としては、地域共生社会で何ができるのか、関与するような計画や活動…、以前もお話したが、そのようなことを啓発するような動画を作ることはできないかと考えている。(権利擁護・成年後見制度関係機関)

● 医療者と患者さんや家族との関係作りは大変重要なテーマ。この協議会では大変有益で有意義な研修会が行われているので、そういったものを広く世の中に出して行く取組みは、今後ますます重要なのではないでしょうか。(松浦会長)

 

◎その他

(1)地域共生社会について_

平成24年度から国が地域包括ケアを進める取組みを開始し、我々は平成27 年4 月から協議会や推進室を設置し活動を続けている。高齢者だけでなく子供や障がい者の方々を含めての、全ての住民に対しての地域包括ケア、全世代型の地域包括ケアシステム、いわゆる「我が事まるごと」の地域共生社会の実現に向けた国の方針が出された。

地域共生社会はどういうことか。高齢者、子ども・子育て家庭や障がい者、そしてそれぞれに生活困窮も複合的に抱えているのが現状。寺垣委員からもお話があったように、各現場で高齢者の支援や相談を見聞きする中で、高齢者だけ支援しても解決し ない課題が増えてきている。今までは高齢者の医療や介護の部分を支援すれば収まっていたが、収まり切れなくなってきた。

複合化の事例としては8050問題、高齢者と同居で無職独身の子がいる。そして10年もたたないうちに9060問題に発展する。その子供に障がいがあったり発達特性で社会から孤立し引きこもってしまうパターンは行政へ寄せられる相談に多い。子供の頃から分かっていれば良いが、大人になり就職してから人間関係やコミュニケーションが取れず生きづらさを感じ離職、引き籠ってしまう話もよく聞く。高齢者の相談や支援に入った時、こんな子供さんが同居されているのかというケースがあり、概ねその子供さんは支援につながっていないのが現状のようだ。そういった状況でも受診拒否や親の年金で生活するため、世帯全体での生活困窮がある。その他高齢者で多いのは、受診歴や介護認定はないが、認知機能低下により家族や近隣トラブルで問題が発覚するケース、高齢者世帯が多い地域や子が県外在住などで虚弱に対して周りが気づくのが遅いのかなと感じている。良かれと思って子が金銭管理をすると虐待に当たることもある。人の世話になるのは嫌だとか恥ずかしい、といった話もよく聞く。そういった複合的状況が多い中、それぞれの施策が縦割りで動いていてもうまくいかない。連携しながらしっかりと、世帯や地域といった大きな括りで取り組んでいく、地域共生社会、住みやすい地域を作っていこうとなっている。

前回協議会でもお話した、重層的支援体制整備事業が始まった。高齢者、障がい者、子供について、それぞれに相談窓口はあるものの、横のつながりができていなかった。今後は相談窓口のネットワーク作りや、そういった方々の地域の集まりへの参加支援など、既存制度の縦割りをなくすきっかけ作りになるような事業が重層的支援体制整備事業。これが全てをやってくれるのではない。それぞれの施策を行いながら横のつながりもというところでこういう事業が増えた。

我々が取り組んでいる地域包括ケアシステムの多職種連携の事業、これはあくまでも手段で、目的ではない。健康づくりや障がい者・子供の支援、生活困窮、重層的支援体制も全て事業であり手段である。目的は地域共生社会を実現していこうということ。制度分野ごとの縦割りや、「支え手」「受け手」という関係を超え、地域住民や地域の多様な主体が「我が事」として参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えて丸ごとつながる事で、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域を共に作っていく社会が地域共生社会である。全世代型の地域包括ケアシステムで、法的な部分だけでは社会は持たない。自分のこと、地域の事をしっかり考える。課題があるから支援してもらう、ではなく、支援される側も何かしら地域の活動に参加していけば支え手にもなり得る。そういう意味合い。

医療介護連携のところで地域共生社会について取り組みましょう、ということではなく、こういうことを目的にした中での活動のひとつだと捉えてほしい。現場で出てくる気づきや相談を他分野へつなげたり、そういったところの啓発や、その辺りを頭に入れながら活動していけると良いのかなと感じている。(鳥取市)

 

 【 意見等 】

● 社会福祉協議会も地域共生社会に向けた取り組みの模索をしている。地域住民さんにも協力いただきながら行う事業も多々ある。自分たちの地域をどうしていきたいか、どうすれば皆が安心できるか、知恵の出しどころを皆さんと協議していくようなことを進めている。しかし、担い手不足など、地域も様々な課題を持っており、そこをいかに解決していくか、関係者と話をしながら進めていければと思っている。一口に地域共生社会を作っていくというのは難しく、地道にコツコツと進めたい。(鳥取市社協)

● 私は成年後見制度に深く関わっている。成年後見は一つの権利擁護で、それ以外にもたくさんの権利擁護がある。子供や障がい者、高齢者の関係、いろいろなところが支援している。アドサポセンターでは法人後見で76件、私個人でも事務員の社会福祉士と一緒に20件の成年後見・保佐・補助をしている。

成年後見制度利用促進計画は5カ年計画の第2期に入っている。鳥取東部の地域連携ネットワークでは、「見つけて つなげて 支援する」ということを目標にし、流れを作ろうと考えている。医療介護の中で在宅に関わっている方は、そこに遭遇することが多いと思う。家庭状況はとても大きな情報。日本では家庭主義がかなり浸透している。2000年以降、それを個人主義に置き換えていく作業として、児童や高齢者の虐待対応から始めてきた。家族から個人の支援に向かっていくわけだが、なかなか定着できていない。守秘義務もあり、見てきたことを何でもというわけにはいかないが、医師、看護職、介護職の皆さんは、見つけるということに関してはチャンスが多いのではないか。「つなげる」のところに意識を持っていただいて、受ける側もきちんと受け止める、そういう体制を作っていくのが重層的支援体制なり共生社会なのではないか。その辺りの事を協議会に参加されている方、今お話しした成年後見関係での会合でも共通する方も多いので、上手な働きかけができないかと考えている。(権利擁護・成年後見制度関係機関)

● 委員の皆様におかれましては、地域のリーダーとして、本日の協議で出されたいろいろな意見について関係各所へ広げていくということを日々心にとめていただければと思います。(松浦会長)

 

会の様子

 

(2)その他_

・後方支援病院について

鳥取赤十字病院では、東部地域にお住まいの在宅医療を受けておられる方が安心できるよう、2つの試みを進めている。ひとつは後方支援。在宅医療を受けられている方が、急に入院が必要になったとき速やかに受け入れられるよう、かかりつけ医と連絡を取り合っている。これには患者様と当院との契約書が必要。かかりつけの先生が契約したほうが良いと思われる症例があればご相談いただきたい。もう1つはレスパイト入院。介護される方が体調不良になったとき、患者さんの引き受けを行っている。(鳥取赤十字病院)

・市立病院の現状について

市立病院での取り組みを、院内資料をもとにお伝えしたい。

平成27年から「絆ノート」という名称で、かかりつけ医の先生と手紙のやり取りをして契約することを約6年半進めてきた。合計1,198件、月平均約2.6件の契約をいただいている。患者背景については、がん患者が15%、非がん患者が85%。平均年齢は87歳、男女比は1:1。居住区は市内も多いが、それ以外の地域の方もご利用いただいている。在宅を特化されている先生からは少し多めに契約いただいているが、地元におられるかかりつけの先生など44医院の先生方にご協力いただいている。診療報酬改定により、かかりつけ医と一緒に診療することができる共同診療が可能になったが、最近ではあまり行っていない。看取り率は、ご自宅で亡くなった方は44%。高いとみるか低いとみるかいろいろな考えがあると思うが、多くの方が自宅で最期を迎えられている。注目すべきは再入院率が6割、在宅で療養されていても急な入院は出てくる。そこが安心材料になるような仕組みがこの圏域では必要である。(足立副会長)

 今日は話題が盛沢山で、皆さんからのご意見も多くいただきありがとうございました。(松浦会長)

 

 ◎ 次回協議会は令和4年10月5日(水)19時~

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