鳥取県東部医師会 在宅医療介護連携推進室

【 協議会 】令和3年度 第3回 東部地区在宅医療介護連携推進協議会の協議概要

◆ 令和4年2月2日(水)19時~20時 東部医師会館・オンライン(Zoom)

 

◎協議会長挨拶

みなさんこんばんは。皆さまにおかれましては、寒い中、また新型コロナ第6波流行の最中、在宅医療をはじめ、日々地域住民のために活動されていらっしゃることと存じます。また本日はご多忙の中、本協議会にご出席いただきありがとうございます。昨今の情勢を考え、委員の皆様にはウェブ参加をお願いしております。いつもとは違う雰囲気ではありますが、忌憚のないご意見をいただければ幸いです。

先週には埼玉県で、在宅医療に熱心に取り組んでいた医師が患者家族に殺されるという悲惨な事件が起きました。訪問看護協会の調査によれば、訪問看護師の約半数が暴力や精神への攻撃、ハラスメントを受けているという実態が明らかになっております。このような中で、多職種連携やACPを進めていくことは重要ではあるものの、更に踏み込んだ対策が求められています。大変難しい問題ではありますが、皆様のお気持ちをお聞かせいただければ幸いです。

本協議会は発足して6年が経過しました。今日の議題にもございますが、私たちは困難な状況の中で着実に歩みを進めてきております。年度末で3年の任期が終わり、一区切りとなりますが、引き続きよろしくお願いしたく存じます。また、交代される委員の方々におかれましては大変お世話になりましたことを厚く御礼申し上げます。

会の様子

 

 

◎報告事項

(1)在宅医療・介護連携「相談支援」の概要報告_

前回協議会以降の相談は資料1の2ページ目、小規模多機能居宅介護職員から診療報酬関連についての相談1件。

 

(2)令和3年度活動状況_

住民啓発の状況について。昨年度から今年度前半は地域での集まりが非常に少なかった。10月終わりから年末にかけては感染が落ち着いていたため、地域の方々からお声がけいただき活動を行った。今年1月時点で17回、320人程度の啓発。昨年度と比べ活動が復活してきたが、再び感染拡大しており、年度内の活動は厳しい状況。

関係者向けの活動状況は予定含め8件。新ACPノートの研修会を2回、医師会と歯科医師会で行った。三朝町包括からの依頼で東部地域でのACPの取組みについて話をした。その他、鳥取市と共催で認知症フォーラム、また、今回皆さんにオンライン参加いただいているようにオンライン会議が根付いてきたと感じているが、個人レベルではまだ難しい方もいらっしゃる。そういった方向けにZoomいろは研修会を開催。今週日曜は足立副会長を講師にファシリテーター養成研修を予定している。

事例検討会はオンライン開催。3回シリーズの絆研修は第6回を迎え、初回から5年が経過した。全課程修了者は153名。 ワーキンググループの活動については、在宅療養支援ワーキングを年度内に開催予定。今後の活動方針について協議する。ACPノートについては、昨年3月に作成したノートの在庫が少なくなったため増刷予定。(事務局)

 

(3)令和3年度医療・介護連携に係るアンケート調査結果について_

質問事項、詳細については資料3を参照ください。アンケート回収率は48.7%、回答者数186名。情報共有の手引きの活用率は68.3%。「手引きが作成されたことで連絡先が明確になった」は約3割、「連絡や情報共有ができる機会が増えた」は2割。新人研修で使用しているという意見もあり、今後も皆様には手引きを活用いただきたい。また、手引きの存在を知らないという回答は26%、4人に1人。

手引きの改善箇所の有無については、88%がなし。改善点として、看護連絡票に希望有りを足してほしい、包括支援センター連絡先の追加、入院時の栄養管理情報の作成、主治医への医療系サービス利用確認方法の記載、といった意見。

他機関との連携状況については、「変化を感じている」が8割。カンファレンスや面会の制限、家屋調査や外出外泊の制限により本人の希望の確認が難しい、身体状況の把握やサービス調整が難しくなったという声。そういった制限の中、皆さん様々な工夫をされている。例えば、リモートを用いた面談やカンファレンス、屋内の写真を情報提供、入院時情報提供書を活用いただくよう詳細を伝える、今までより密に連絡を取る、病院から連絡をもらう回数が増えた、等。病院側からは、今まで以上にご本人の意向を正確に代弁する必要性が高まった、患者さまの意向を簡潔に的確に伝える技術が必要である、という意見。

ICTの活用について、現在オンラインを活用している方は約4割。項目としては、オンライン研修の受講が5割と一番多く、カンファレンスや面談は2割程度とまだ十分に浸透していない現状が分かった。メリットとして、移動時間がなく時間を有効活用できる、感染リスクがなく受講できスキルアップにつながる、本人と面談でき的確なケアプランが作成できる、主治医の意見を直接聞くことができた、等。反対にオンラインが難しい主な理由は、機械操作が不安、主催者としてのスキルがない。ICTを活用した連携については、今後も推進が期待される分野であると思われる。この結果をZoomいろは研修のような、来年度以降の研修計画に活かしていただきたい。

退院調整率は91%と高い数値であった。給付区分では介護で97%と高い結果。入院時情報提供書の送付率は82.7%で前回より1.9ポイント上昇したが、予防では7ポイント減少。送付しなかったケースとして、従来より連携しているため改めて送付しなかった、予め決まっていた入院であり提出しなかったという意見。皆さまの様々な取り組みが、退院調整率の向上につながったのではないか。皆さまからいただいたご意見は資料をご覧ください。コロナ禍で対応に追われる中、アンケートにご協力いただきましたことに感謝いたします。(鳥取市保健所)

 【 意見等 】

● ケアマネージャーさんの面会は非常に重要であり許されて然るべきなのではないかなという思いがある。各施設や病院でケアマネージャーさんとウェブで対話できるシステムをもう少しそろえていただければという思いもある。(松浦会長)

○ 本人だけでなく家族との面談も含めオンラインの活用に取り組んでいただきたい。移動時間も短縮され、普段面会に行けなかった人も参加でき、コロナが明けても活用できるのではないか。(事務局)

会の様子

 

◎協議事項

(4)令和4年度事業の推進方針_

リモートワークに対応した事業の継続。会議、研修会はリモート中心。技術的なところを駆使しながら継続する。オンライン活用が4割程度というアンケート結果からも分かるように、未活用の事業所は多くあると思う。オンラインの利用について分からない事があれば推進室へご相談下さい。研修会というかたちではなくても随時対応できるようにしたい。

ACPの更なる普及啓発。資料は厚労省が示している在宅医療の体制について、4つの場面を想定し、それぞれで医療介護の連携について各地域での課題を押さえながら医療介護連携を進めていくことを示した図。①退院支援については東部地域の入退院時におけるケアマネージャーと医療機関 連携情報共有の手引きを作成し活用いただいている。④看取りについては病院や介護施設で、人生の最終段階を迎える方々に対してのACPの取組みを行っている。改訂版ACPノートは広告なしで、ステップ3は最終段階を迎える方に使ってもらうような内容となっている。関係者向けの周知は今後も必要。今年度はロールプレイを含めたACP研修会を実施した。概要については足立先生より説明いただく。(事務局)

実際に人生の最終段階を対応するとなったとき、抵抗感がある方も多いでしょうし、どんな話し方で利用者に接したら良いか、国も一定の見解は示していない。ACPノート企画WGでは、なるべく侵襲的なコミュニケーションにならないことを心がけた話し方ガイドと、話し合うための9つの項目を準備し、それに沿って話し合いを進める事でACPの導入がうまくいくのではないかということで、ノートを使ったロールプレイを行っている。この話し合いにおいては、利用者が話し合いを希望していることを確認した上で、話し合うための9つの項目を事前にお渡しし、次回、この項目について一緒にお話するということを示し合わせ、医療介護関係者と話し合いを進めていく。

研修会を通し、どのように導入して良いかわからない、使い方に慣れない、といった印象も受けたので、少しずつ普及啓発して行きたい。最終的に、その人の人生の最終段階において、本人の満足、家族の満足、ACPがスムーズに導入できる地域、文化が作れたら良いなと考えている。(足立副会長)

日常の療養支援について。多職種が協同して療養中の生活を支え、質の高いサービスを提供できるよう、地域包括ケア専門職の皆さんと絆研修で深め合い、また、連携情報共有の手引きの作成にも取り組んできた。今後は在宅療養中の情報連携についてワーキングなどで課題を整理し、委員の皆様のご意見を頂戴しながら、効果的な仕組みづくりの検討を進めていくこととしている。

日常の療養支援は、ご存じのとおり生活支援や地域支援の用途が非常に大きいため、認知症総合支援事業、生活支援体制整備事業、介護保険の総合事業、健康づくり事業など本事業と連動させ、重なり合いの部分を皆さんとともに意識し合いながら、地域全体の地域包括ケアの推進に向けて皆様とともに連携した取り組みを進めていきたいと思っている。平成29年には地域包括ケアシステム強化のため、介護保険法が一部改正、社会福祉法が改正された。地域共生社会の実現に向け、重層的支援体制整備事業の取り組みが各自治体で今後本格的に取り組まれると聞いている。

本人だけでなく世帯を包括的に受け止め継続的に支えていく支援、本人の力を引き出す支援、地域との繋がりや関係作りを行う支援が可能になるよう、本事業においてもその役割を認識し、これまで以上に皆さんと連携、協同しながら進めていきたい。

資料(課題の複合化)は、重層的支援体制を整備することでどのような変化が期待できるかを表した図。これまでは8050問題などの複合的な課題を持った事例に当たっても、なかなか分野をまたいで対応する余裕がなかったり、それぞれの分野ごとに地域づくりを進めていたと思う。しかし、地域づくりについて重層的支援会議が各自治体で構築され、全世代型の地域包括ケアを目指した地域づくりが進められることにより、多機関が協同し、複合的な問題を持つご家庭の包括支援の実施に繋がっていくことを目指しているというもの。

このような大きな考えのもと、国全体の方針もあるため、今後さらに住民の皆さんや関係者の皆さん、関係機関の方々と地域の目指す姿を一緒に共有し、地域課題の対応策を検討、実行できるよう意識しながら事業を進めていく流れに変わってきていると認識している。(事務局)

基本方針をまとめた事業実施計画の中から1つ説明。コロナが治まったらという希望的観測を含めて、対面でのワールドカフェ研修会を追加した。コロナ渦でうまくいかなかったこと、ICTの活用でうまくいったこと、今後も活用できることなど皆さん思いが多々あると思う。そういったことを話し合うような研修会ができる状況になればという希望で計画に入れている。できるかどうかは分からないが、いずれはこういったことも行いたい。(事務局)

 【 意見等 】

● 事業計画の課題の複合化について。コロナ禍でさらに浮き彫りになっている世帯、ヤングケアラー問題もあるため、包括的支援の実施について重点的に考えていただけるとありがたい。相談の場、窓口があれば良いかなと思う。(ケアマネ協)

● コロナ禍で何をやってきたのか、何をやっていけるのか、そしてアフターコロナに向けていかに連携していくのか、そういった視点でご提案があればお聞きしたい。(松浦会長)

○ 重層的支援体制について。1つの家庭でいろいろな問題を抱えている事例については、私ども法律の面からの支援と医療介護からの支援との連携が必要になってくると思う。難しい課題ではあるが、社協や市役所も含めて、東部全体で進めていきたい。成年後見という面で、中核機関を中心に地域連携ネットワークを作っており、その辺りともうまく連携させるようなことができればと思っている。具体的構想はまだであるが、検討していきたい。(権利擁護・成年後見制度関係機関)

● 在宅医療における安全性の担保にはどういったことが必要でしょうか。(松浦会長)

○ (埼玉の在宅医殺害事件について)事実関係は把握できていないが、犯人は弔問と称して呼び出しており、問題性のある人物のようだ。事件が防げるかというと私には答えることはできない。色々な意味で皆が注意事項を考えながら接していかなければいけない。そういったことしか今は言えない。(権利擁護・成年後見制度関係機関)

○ 訪問看護では、利用者や家族からのハラスメントが多くなってきている感覚がある。連絡協議会や訪問看護支援センターの研修会で、職員をどう守っていくか、どう対応していくかを学んでいる。できないことはきちんと断る、本人やご家族から何となく危ない信号を感じたときのために、スタッフは窓際やいつでも逃げられるような体制で訪問する、セクハラなどの行為があった場合は契約を解除、休止するといった内容を契約書に盛り込む等を研修で学ぶ。しかし、訪問看護師は真面目なところがあって、行かなければならないという正義感もあるので、研修を受けながら対応している。アンケートでは、半数以上のスタッフが身の危険を感じたことがあると回答しており、密室でもあるので事業所として守る術を身に着けるよう研修している。

連携について、コロナ禍は災害のような感じになっており、地震や豪雨災害なども身近に感じている。コロナ陽性者がスタッフに出たときの体制づくり、事業所でのBCP対策、ステーション同士の連携、東部地域での連携を考えていかなければいけない。大きな問題ではあるが身近に迫っているので、1歩ずつ進めていく必要はあるが、どう進めていくか、皆さんにお伺いしたい。(看護協会)

○ コロナに関しては院内感染しないよう非常に気を使っている。救急に関しては、コロナ陽性者が普通に来られるので必ず検査しているが、実際在宅に行ったときは無症状の方もかなりいらっしゃるのでなかなか分からない。ある程度の感染予防対策が必要。

在宅医が打たれて亡くなった事件については、可能であれば一人ではなく複数で対応するということが必要ではないか。(中核病院)

○ 個人でさまざまな問題を抱えている方に対し、重層的に関わっていきましょうという支援体制については、具体的にどういったシステムで動くのかが見えず、今後の協議となるのかなと考えていた。

ハラスメントや医師の自己防衛については、医療者、介護者の倫理観というか、利用者や患者さんに対しての思いを持っていらっしゃる方は多いと思う。報道では亡くなった医師も思いが強かったと聞いている。看護協会さんが話されたように、許されること許されないこと、自分の身を守るということについては学ばなければいけないと思っている。この事例でいくと、母親と息子が一定の年齢まで一緒に暮らし、親子関係が構築されている。母親の年金で生活が成り立っていたのではと推察され、母親が亡くなることで生活困窮者になり、それだけではない要因もありそうだが、そういうケースの場合は配慮しておかなければいけないのではないかと。私たちも学んでいかなければいけない。(中核病院)

会の様子

 

(5)その他_

設置要綱第3条にあるように当協議会委員の任期は3年、今年3月末までとなっている。3月中旬から下旬に各団体へ推薦依頼文書を送付するので、委員の推薦をお願いしたい。次の任期は令和4年4月から令和7年3月まで。引き続きよろしくお願いします。(事務局)

 

 ◎ 次回協議会は令和4年6月1日(水)19時~

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