鳥取県東部医師会 在宅医療介護連携推進室

【 協議会 】令和3年度 第2回 東部地区在宅医療介護連携推進協議会の協議概要

◆ 令和3年10月6日(水)19時~20時 東部医師会館・オンライン(Zoom)

 

◎協議会長挨拶

みなさんこんばんは。ご多忙のところご出席いただきありがとうございます。この協議会は4か月ぶりの開催となりますが、その間に新型コロナウィルス感染症の第5波が到来し、医療介護現場は厳しい対応を迫られました。また、ワクチン接種でも多忙な日々だったことと思います。自粛が求められる中でWEBを活用し、研修会などは可能な限り進められてまいりました。

私は6月26日で東部医師会長を退任しましたが、診療所の立場で協議会に参加させていただきます。よろしくお願いいたします。おかげさまで在宅医療分野の仕事が増えてまいりまして、多くの方々のご協力を得ながら、患者さんと向き合う時間も増えております。一方でいつまで頑張れるのか、という不安もあります。今後の在宅医療のマンパワーについて考え、病院も含めた多くの医療機関および介護に携わる方々が協力して関わって行ける体制作りがますます重要となってくると思われます。本日は忌憚のないご意見を頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。

会の様子

 

 

◎報告事項

(1)在宅医療・介護連携「相談支援」の概要報告_

今回の報告内容は2件。1つ目は、介護施設を代わられた患者家族より引き続き主治医のお願いをされたが、コロナ禍で面会禁止の施設からは投薬のみをお願いされ戸惑っているという相談。厚労省のQ&Aには、介護施設等への訪問診療等は面会と異なるため、適切な受け入れをお願いしたい。といった回答が出されている。

もう一件は、入院初期の心身が安定していない状態での介護保険申請が散見され、ケースバイケースと承知しているが、困っているという相談。これについて東部地域医療連携協議会で議題にしたところ、明らかに要介護が見込まれる場合や、退院先が介護施設の場合は介護保険申請をお願いすることがある。病院ワーカーも事情は分かっており、悩みながらの申請となるときもある、という回答。このような事例は都度情報共有していく必要がある。

 【 意見等 】

● 要介護状態で施設入所が見込まれる方が入院された場合の平均在院日数は11日~12日。要介護度の高い人でも20日前後で退院を目指すケースが多い。病気になるとADLが1段階下がることが多く、入院時にある程度全身の状態を診た上で治療プランを立てる。例えば肺炎であれば1週間程度治療し、その後リハビリ、といったような計画。介護申請をして申請日から1か月先でないと要介護度が出ないという状況だと、最初に介護申請いただくよう家族へご説明することもある。施設側はみなしで受け入れてくださることがほとんどなく、介護申請の結果がでないと受け入れられないとコメントされる。私たち医療側はそういった視点で申請していることも多く、悩みどころ。今後どのようにさせていただくのが良いのでしょうか? (足立副会長)

○ どの現場でも連携調整に苦労されていらっしゃることはよく理解しております。申請日から調査まで保険者には介護給付の適正化が求められており、入院時にADLが下がる方などは認定調査の段階を調整することが多い。申請日からサービス調整は可能であるが、施設入所の場合はどういった介護認定が出るか見込みがないと申込が難しい、といった問題は確かにある。その辺りは地域包括支援センターが間に立ち、施設へ説明することもあるので、入院早期から申請されるのではなく、ある程度見込みが立ち落ち着かれてからの認定調査、申請でお願いしたい。

 また、要介護状態で施設を望まれる方以外にも、独居の方や高齢の方に「申請されたほうが安全ですよ」と病院から勧められ、サービス利用の見込みがないのに申請される方も多くある。本人さんとの面接を5分で終えてくださいと言われる病院もあり、状態把握に苦労している。ご多忙の中、要望ばかり言ってはいけないと分かってはいますが、ご家族や本人さんへもう一歩踏み込んで説明なりお話を聞いていただけると、家族さんも納得され申請に来られるのではないかと思っております。(八頭町包括)

● 申請の結果が出なければ現場は動けない。みなしで動くとお話されましたが、施設側が受け入れて下さらなければ申請の仕方は変わらないのかなと。こちらも状況を見極めながら対応しているつもりだが、結果的にニーズに合っておらず、判定は1か月先という予定で病院側は動いている。ある程度の急性期治療を行い点滴が外れるような時期に、例えば2週間後に決まるといった見込みを伝えて頂かないと、そこが申請日でそれから1か月となると医療現場は困る。介護側のご意見はどうでしょうか。みなしで入所を決めることができますか? (足立副会長)

○ 特養施設では、みなし入所の受付はできない。急性期で今後の見通しがつかない中、独居者の退院後の心配で、申請を足早に行うことは多々あると思う。病院側の立場では、退院見込みはあるのに家族の気持ちや受け入れ態勢が整っていない等の問題で、入院が無駄に延長してしまう懸念もある。在宅、施設にしても、ケアマネや包括、ソーシャルワーカーと相談し進めていくのがベストかなと思う。有料老人ホームはみなしでも受け入れされるところもある。(老施協)

● 有料老人ホームでもみなし入所は難しいと私は思っていますが…。老健や特養以外でも判定が出ないと無理というのが現場の意見。行政的に、みなしでの受け入れをお願いして実際に受け入れてくださるのが現場としてOKなのか、もともとみなしという言葉が、言葉だけで実行力がないのであれば改善していただかないと困るのかなと。 (足立副会長)

○ みなしには介護度が出ていない新規のみなしと、介護度がでており重度変更のみなしがある。介護保健施設であれば受け入れの問題が出てくると思うが、有料老人ホーム、サ高住であれば介護度に関係なく入居でき、その日からサービス調整、介護保険サービスも利用できる。ご家族がその辺りを理解されないまま相談されているケースもあるのではないか。ケアマネがついているならケアマネと病院のワーカーさんに相談していただくのが良いと思う。(ケアマネ協)

● 在院日数が短い中、後方支援をしっかりしていただきたい。(東部地域医療連携協議会)

 

(2)住民啓発活動の状況_

昨年度の住民啓発活動は年間4件と非常に少なかった。今年度は予定含め7件。配布資料作成後に1件追加、本決まりではないが更に1件依頼あり。コロナの状況が徐々に落ち着いてきたこと、高齢者の多くがワクチン接種をしたり、地域活動が再開してきているのかなと。できる範囲で感染に気を付けながら、住民啓発を進めていこうと考えている。

関係者向け研修は予定含め5件。ACPについては後ほど協議事項で説明。10/5には市立病院さんがACPの研修を行った。ACP以外ではZoom初期研修を企画している。

 

(3)新型コロナワクチンの接種状況について_

鳥取市の10/3現在の接種実績数。対象者12歳以上の1回目接種率は79.2%、10/5時点では79.8%で今週中に80%を超える。65歳以上では88.4%とほぼ9割の方が接種済みという状況。年齢別接種実績は、先行開始した高齢者60代~70代については90%を超えているが、10代の接種率は低く、5日までで61.1%。全体で8割を超えており、希望者は少なくなっている。鳥取市の集団接種は10月いっぱいで予約受付終了だが、開けてみようかという話もある。新しい情報は各種メディアで出てくると思う。近隣の方で未接種の方がおられたら、早めの接種をお願いいただきたい。

 【 意見等 】

● 第5波においては若年者の感染が増えていましたが、接種率は高いと言えない状況かと思われます。10月いっぱいどこまで増えるか、11月以降どうなっていくのかについて、情報を早めに教えていただければと思います。第5波の終息がみられていますが、ワクチンの効果がそこまで高かったのか、或いは行動変容があったのか、検証は非常に難しいというのが私の率直な感想です。(松浦会長)

○ 第5波は急速に終息を迎えており、全国的にも原因がよく分からないというコメントや、間違いなく第6波は来るというコメントもある。ワクチンに関しては想像以上に接種スピードが早かったなと感じている。ワクチン接種は3回目の話も出てきており、早ければ12月くらいから始まると思う。国の接種体制はまだ決まっていないが、各市町村で準備は始めると思うので、各医療関係者のご協力をお願いしたい。(事務局)

● 個別医療機関、職域、県営接種会場、私ども市の集団接種など、接種希望者へ場を提供するということでここまでやってきて、ここにいらっしゃる医療機関の皆様にはとりわけご協力いただきあらためてお礼申し上げます。今後ともどうぞよろしくお願いします。(鳥取市保健所)

会の様子

 

◎協議事項

(4)各種研修会について_

事例検討会、絆研修はコロナ禍のため完全オンラインで開催している。今年度中はオンラインとなる予定。参加者については少しずつ増えているが、操作への不安、環境設定の難しさなどハードルは高いと感じている。そういった状況への対応策として、「オンラインはじめの一歩 Zoomのいろは」と題し、研修参加やサービス調整会議などの実践にお役立ていただければと企画している。11日に第1回目を開催。2回目、3回目は募集中のためお声かけいただきたい。これらの研修会は、医療・介護・福祉・保健関係者それぞれの立場の価値観を共有し、多職種の協働、連携につながるよう様々な立場の方にご参加いただくことが大切であると感じている。参加職種が増えていくための対策など、皆様のご意見をお伺いしたい。

 【 意見等 】

● 社会福祉士会でもオンラインで研修開催している。各委員会がコアになりそれぞれの研修会を開催している。参加すること、ホスト役になり会を運営していくことは自信につながると思っており、そういったことが参加につながるのではないかと思う。(社会福祉士会)

● 介護福祉士会もオンライン開催が主である。ただ、扱いが難しいという方もおられるので、講師をする人を対象にオンラインツールの研修を行っているが、今後は参加者向けの研修にも着手しなければと感じているので、こういった初心者向け研修はありがたいと感じている。(介護福祉士会)

 

(5)ACPノートの活用について_

新ACPノートは前回協議会で皆さんへお配りした。これまでと異なり、自主財源で広告なし、医療現場で最終段階を迎える方々にも使用できるよう工夫した。しかし、デリケートな内容であるため、本人やご家族と話し合う際、医療介護従事者側のコミュニケーションの取り方が大切であり、スキルアップが必要。マニュアル通りに進めればよい、ということでもない。そこで、ノートの使い方、コミュニケーションの取り方を含めた関係者向け研修を10/21オンライン開催する。研修ではグループワークでロールプレイも行う。皆さんにご参加いただきたい。

・足立副会長より補足

話し合いについて、本人の心の準備ができていないまま始めてしまうと害になるといわれている。また、話し合うことを望む人が目の前にいても、私たち自身に抵抗感がある場合もある。

話し合いの基本的な所作について、国内では決まったものが特にない。絆研修でも使っている「我が家に帰りたい」のシナリオで、絆研修のステップアップのような、ロールプレイしながら非侵襲的なコミュニケーションを心掛けた内容。昨日は市立病院で行い、その反省点も活かしたい。歯科医師会でも12/5に3回のロールプレイで行う。近くなりましたら案内します。皆さんご参加下さい。

 【 意見等 】

● 地域医療懇話会でACPを取り上げ、鈴木副会長、橋本さんにお話いただいた。ありがとうございました。当院でも院内研修を行っているが、急性期病院にとって、こちら側からACPに関する話を投げることは非常に難しい。こういった活動を通し、ACPを考える、話し合いのできる土壌を作っていただけることを期待している。(東部地域医療連携協議会)

● 短時間では伝えきれず難しい。普段から話せる状況をどう作っていくか、いかに広めていくか、我々も出前講座等で地道に行っている。日本海新聞のアンケートで、新聞のどの記事を読むかという質問に対し、おくやみ欄が第1位とのこと。私たちも職業柄読んでいるし、例えばそういうところから…40代、60代で亡くなった方、あぁ…あの人はあんな感じだったなぁとか、大きな家族会議ではなく、普段の生活の中で話ができればよいなと。勿論こういったきちっとした研修も必要ですし、両方の側面から進めていく必要があると思う。(鈴木副会長)

● 住民啓発でもACPの話をしているが、参加者は元気な高齢者。そういった方々が終末期を迎えるのは10年20年先。その時期にはACPが普及しているといいなという希望もあるが、現実的には現場では困っている問題だと思う。今週、認知症家族の集まりで話す機会があり、当事者に対して話をすることが初めてのため、どのような反応をされるのかこちら側も勉強しながら検討していきたい。(事務局)

 

(6)医療介護連携に係るアンケート調査の実施_

医療介護連携に係るアンケート調査は2年に1度行っている。今回は、前回調査後に完成した入退院時の地域ルールである連携情報共有の手引きの活用状況や改善点等もお聞きしたい。保健所と調整中。居宅、小規模多機能、包括のケアマネさん、病院連携室の皆さんご協力よろしくお願いします。

● 非常に有意義かつ興味深い調査です。よろしくお願いします。(松浦会長)

 

(7)その他_

先日、松江地区で話をする機会があり、そのための資料作成で松江の外来医療・在宅医療についてのデータを県ホームページから収集した。5年、10年先に開業医が高齢化していくとき、どのくらい公共医療に取り組めるのかというデータや、後継者がいるか、続ける予定があるか、等。当該圏域での在宅医療は増加していくが、今後の訪問看護、訪問リハビリ、訪問薬剤や栄養士、地域でどのような動きをしていくかの見通しがたたなければ、連携の仕方は難しくなる。そのようなことをこの協議会でも検討いただくのが良いのかなと感じている。

また、それぞれの病院の立ち位置を理解し病院の機能分化を図る目的で、中央病院長が音頭をとられ、4病院の病院長会議が非公開で定期開催されている。おそらく在宅医療の機能分化もゆくゆくは考えていかなければいけないと思うので、並行して合わせていくことも必要かなと。

島根のアンケート調査結果では、60歳以上の医師が半数を占めており、8割は後継者がいない、未記入となっている。医療過疎が出てきたときにその地域をどのように支えるのか、いまのところ具体的なデータはない。5年10年先を見据え、どう連携をとっていくのか具体的な話ができなければ、現状だけでは少し物足りないのかなと感じている。また、各介護施設が5年先どういう姿を描いているのか、鳥取県の場合、自宅で亡くなられる方は多少増えているが、老健施設や老人ホームで亡くなる方は全国より多い。今後、施設での看取りをどう支えていくか。ということも含めて在宅という意味で検討いただくのが良いのではないかと個人的に思っている。皆様のご意見はどうでしょうか。(足立副会長)

 【 意見等 】

● なかなか素直に話し合えない気もします。正面を切って先を見ることは難しい。(松浦会長)

● コロナの影響もあってか、在宅の方が増えてきたと思う。一人だと難しいので連携しながら、私の診療所では鹿野温泉病院のバックアップでやっていけているところもある。現状、若い先生が増えていない感じもするので、医師会で調査いただければと思います。施設での看取りは、施設の取り組みによってかなり差があると感じている。慣れていないところは病院に運んでしまったり…。(在宅療養支援診療所)

● 開業される医師の数も少なくなっていると感じている。これから地域医療を担って下さる方に、積極的に在宅へ出向いていただけるような体制作りのためにはバックアップ体制も重要である。(松浦会長)

● 当院でも5年先を考えることは課題。全体に医師が高齢化しており、どこまで急性期でやれるか、4病院の中での当院のポジションをどうするかは課題。松江圏域の資料はかなり先を行っている感じがする。地域の一定のデータを集めていく必要があると足立先生のお話を聞きながら感じた。(中核病院)

● 県でも在宅医療に関してまとめておられ、県医療計画の中に少し数字が出されているようだ。医師会にも協力いただきいろいろな調査を進めていかないといけないのかなと考えている。(松浦会長)

● 病院の役割、急性期やワンクッションおけるような介護認定を待っている病院というようなスタイルで区分けをしていく必要があるのかなと感じた。(在宅療養支援診療所)

 

● 11月から鳥取中央地域包括支援センターが再編される。新設2か所、南中校区が鳥取南地域包括支援センター、桜ケ丘中学校区が鳥取桜ケ丘地域包括支援センター。ご迷惑をおかけすることもあるかと思いますが今後ともご支援ご指導のほどよろしくお願いいたします。(鳥取中央包括)

研修会等を通して在宅医療の推進、医療介護の連携について、いっそう推進していきたいと思っております。本日は委員の皆さんより活発なご意見をたくさんいただき、またZoomからもご参加いただきありがとうございました。(松浦会長)

 

 ◎ 次回協議会は令和4年2月2日(水)19時~

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