鳥取県東部医師会 在宅医療介護連携推進室

【 協議会 】令和3年度 第1回 東部地区在宅医療介護連携推進協議会の協議概要

◆ 令和3年6月2日(水)19時~19時45分

 

◎協議会長挨拶

みなさんこんばんは。ご多忙のところお集まりいただきありがとうございます。コロナウイルス感染症が猛威を振るっており、1万数千人の方がお亡くなりになっています。第4派も少しずつ改善の傾向に向かっているものの、まだ収束は見えていません。西日本では変異株の割合が多く油断できませんし、全国では緊急事態宣言の出されている地域もあります。その中で、1千万人以上の方にワクチン1回目が接種されています。全国民の1割にも満たないですが、高齢者の接種は加速して進んでいます。鳥取県については全国で3番目、2回目の接種も全国2番目に進んでいます。高齢者入所施設の方にもワクチンが接種されている状況です。

このような制限された中ではありますが、東部地区の在宅医療介護連携推進協議会は活動を続けています。Zoomなどのリモートツールを併用し、会議や研修会も行ってきました。これからワクチン接種が進み、研修会や会議が対面化していくのかはまだはっきり分かりませんが、情報技術をいかに活用していくか、医療介護連携において非常に重要な課題になるのではと思います。そのようなことも含め、本日は現在の課題について、忌憚のないご意見をいただくことができれば幸いであります。どうぞよろしくお願いいたします。

会の様子

 

 

◎報告事項

(1)令和2年度事業報告_

全体的にはコロナウイルス感染症の影響、特に年度前半については会議・研修等で人が集まることを避けようということでほぼ活動を中止としたが、年度後半に向けてはZoom等リモートツールやYouTubeを活用しながら、徐々に活動を広げていった。

鳥取市委託事業として、令和2年度は、これまでより活動しやすくするためにワーキンググループを再編。情報共有WGは在宅療養支援WGへ、他職種研修WGは研修支援WGへ、行政WGと住民啓発WGを一緒にして行政・住民啓発WG、配布資料の新ACPノートを企画するためのACPノート企画WGに再編し活動を行った。

認知症本人視点での研修動画の作成、配信について、コロナ禍で何ができるかということで、動画配信にチャレンジした。鳥取市在住の認知症本人大使希望大使のとの対談形式。5本立てと続編1本を配信中。住民啓発活動については、地域住民側の集まる機会が止まっており、日中でほぼ高齢者のためリモートツールも使えず、前年度40回近く行っていたが、今回は4回という状況であった。簡単な啓発動画を作成し配信を行っている。

ACPノート企画WGでは、これまでの広告付きノートではなく病院や介護事業所でも活用できるよう、広告なし自主財源で作成した。これについては後ほど紹介。

関係市町との連携については、コロナの状況で難しかったが、新温泉町と香美町を加えた因幡・但馬麒麟のまち連携中枢都市圏での新ACPノートの活用、倉吉市にも講師として出向いた。講師等で地域包括ケア、医療介護連携についても何度か外部へ出向いている。

県基金事業では、年3回の協議会、初学者向け多職種研修(絆研修)3回シリーズを初回はハイブリッドで、2回目と3回目はZoomで開催した。事例検討会は2回中止、2回はZoom開催。Zoomについては徐々に関係者へ浸透してきていると思う。今回の協議会もZoom参加の委員が前回より多い。メリット、デメリット両方あるが、このようなツールを使う関係者が増えてきていると感じている。

 

(2)在宅医療・介護連携「相談支援」の概要報告_

令和3年4月~5月の相談報告。昨年度、この協議会で協議した医療系サービスの利用確認票について。ケアマネジャーが主治の医師等に判断を仰ぐための様式。医師の押印が必要かどうかという内容。保険者に確認し、押印は必要ないとのこと。

★詳細はこちらから(内部リンク)

 

 【 意見等 】

● 施設のワクチン接種に関する相談があったのではないでしょうか。

○ 連休明けから本格的な接種が始まっている。医師・看護師を初め関係者の皆様にはご協力をいただき、この場を借りて感謝申し上げます。現在、65歳以上のワクチン接種が行われており、併せて入所系高齢者施設の入所者および従事者についても医師が訪問接種を行っている。7月末完了は難しい面もあるが、鳥取市では計画通り進んでいると思う。4町については進行も早いようなので一般接種に向けて各市町が一生懸命に検討している段階。引き続き皆様のご協力をよろしくお願いします。

 

◎協議事項

(3)令和3年度事業計画_

*研修支援WG

6回目の開催となる地域包括ケア専門職“絆”研修を引き続き3回シリーズで開催する。昨年から完全リモートで開催しており、今年度もリモート開催の予定。シリーズ1については既に関係各所へお知らせしている。多くの方にご参加いただきたい。

事例検討会は4回開催の予定。5月7日には訪問看護ステーションかけはしさんに事例提供いただき、完全リモートで開催した。

認知症動画配信については、さきほど報告したとおり本人視点を重視した認知症についての内容。引き続き配信を行い、より多くの方にご視聴いただけるようPRして行きたい。

新しい取り組みとして、初心者向けリモート体験を考えている。対象者は医療介護福祉関係者。皆さんが慣れてきているとは思うが、リモートを活用した研修や会議、サービス調整会議などで活用いただきたいと思い、利用方法等の体験型簡易学習会に取り組むことにした。修了者には研修会参加だけでなく、地域の集いなどもサポートいただきたいと思っている。

ファシリテーター、プレゼンター養成研修は鳥取市保健所と共催で開催を検討中。

認知症に関する講演会を鳥取市と共催で開催を行う予定。

*在宅療養支援WG

在宅療養の各場面での課題を整理し、特に日常の在宅療養について、急変時の対応における情報共有の方法とそれに活用できるツールについてWGメンバーで検討していく。

*行政・住民啓発WG

新ACPノートや寸劇動画などを活用し住民への啓発推進。行政の国保部局、保険分野とも連携を進める。コロナ禍で地域に出向いての活動が難しくなったため、リモートツールを活用した新しい啓発方法の検討も行う。リモート体験については前述どおり。また、リモート形式でのワールドカフェを計画中。

*行政・住民啓発WG

新ACPノートや寸劇動画などを活用し住民への啓発推進。行政の国保部局、保険分野とも連携を進める。コロナ禍で地域に出向いての活動が難しくなったため、リモートツールを活用した新しい啓発方法の検討も行う。リモート体験については前述どおり。また、リモート形式でのワールドカフェを計画中。

*ACPノート企画WG

医療機関、介護施設でのノート利活用の検討、関係者のコミュニケーション能力向上を含めた研修会の開催を検討するため引き続き活動を継続する。

 

(4)ACPノートの活用方法について_

ACPノート企画WGで検討・作成した改訂版ACPノートは、ステップ1~3と段階的に書いていく内容になっている。ステップ1,2は従来どおり元気なうちから信頼できる人と一緒に話し合っていく、医療介護関係者と一緒に話し合う内容。専門職向けの資料には話し合いの進め方が記載されている。作成に当たり、予備調査にご協力いただいた関係者の皆様にはお礼を申し上げます。そして、既に利用されている2事業所での事例を紹介したい。

鳥取市立病院:院内で興味関心のある関係者へノートの紹介、使用方法について説明会を開催する。定期的に振り返りを行い良かった点、改善点について情報収集を行う。

智頭病院・智頭社協:当室と連携し、関係者向けの研修や、住民向けイベントでの啓発活動を行ってきた。また、町広報誌へACPに関する内容を掲載。徐々に住民さんのACPに対する理解が深まり、新しいノートも活用されつつある。今後は入院時、入所時に記載済みノートを持参いただけることを目標としている。

・足立副会長より補足

ACPという言葉はだいぶ普及してきたが、人生の最終段階に限定したツールではないということをあらためて理解していただきたい。このノートの表紙と裏表紙のように10歳から人生が進んでいく中で、例えば健康であるために関係者は健康教室や介護予防教室を開いたりされていると思う。では何のために行っているのかというと、その人の生き方に応じて介護が必要とならないために、或いは健康であるために、といった価値観を大切にすることを目的としてされていると思う。

重層的支援体制整備事業、横連携の強化が求められていく中で、この地域の中で何のためにそういった教室を開くのか、そこで価値を拾いながら人生に寄り添えるような健康教室や介護予防を目指していただくためにステップ1,2を活用いただくのが良いのではないかと考えている。

ステップ3について、東部圏域ではまだ人生の最終段階の話し合いを行うような文化は十分に成熟していないと思う。しかし、少なからず人生の最終段階の話し合いをしたいと思っている住民さんはいると思う。その人が、医療介護現場の人に自ら話し合いを切り出したとき、関係者がその話題を避けないよう、なるべく侵襲的でないコミュニケーションガイド、ツールを使って話し合いを円滑に進めていただきたい。そのためにステップ3を活用いただければと考えているので、全ての方にしなければいけないということではない。必要とする住民さんに医療介護関係者がなるべく侵襲的でないコミュニケーションを用いて運用していただきたい。という意図になる。

まだ十分に周知が進んでいないため、今後ステップ3については研修会等を開催しながら普及を図っていきたい。

・ノート利用施設より(智頭社協)

智頭病院と協力してACPの啓発活動に取り組んでいる。ここ数年、啓発活動をしてきたので住民さんにはACPという言葉自体は広まりつつあるのかなという認識。私は特養に関わる仕事をしており、現在、特養でACPノートを活用している。ただ、特養に入る段階ですでに自分の意思を伝えることができない方が多いため、そういった方へステップ3をどのようにアプローチしていくのかが課題。

 

(5)対面での会議、研修会の再開について_

対面での会議、研修会の再開について、委員からのご意見をお聞きしたい。コロナ禍で病院や高齢者の入所施設では面会禁止がまだ続いていると思う。そういった中でようやくワクチン接種が始まり、冒頭の会長挨拶にもありましたが、接種者が一千万人を超え、でもまだ10人に1人という割合。

医療従事者について県東部では2回ともほぼ接種が完了したと思っている。現在は65歳以上の方の接種が行われており、入所系高齢者施設および従事者へも医師の訪問で接種も進んでいる。この医療介護連携事業の関係者への接種が進んでいる状況で、どのタイミングで対面を行うのか難しい問題ではあるが、対面でディスカッションしたいという方も数多くいらっしゃる。各機関や職能団体で開催される会議や研修会について、方針転換など今の段階でお話できる中身があればお聞きし、我々の活動の参考にもしたい。

 

 【 意見等 】

● 当協会では多くの研修を行っているが、基本は集合研修。1人1つの机、1~2メートル離れる、3密を避けるなど環境を整え研修を行っている。ただ、それぞれの所属機関の方針もあり、リモート参加せざるを得ない人もいる。オンラインはどこからでも参加できるのがメリットではあるが、意見は出しにくい、協議にはなりにくいかもしれない。(看護協会)

● 基本的に研修、会議に関してはリモート開催。必要に応じてハイブリッドでも開催している(講師陣が会場に集まり、関係者はZoomを活用)。実務研修に関してはワクチン接種が進んだとしても今年度は難しいという認識。実務的な研修は各法人で行っていただくことがメインになるかと思う。意見交換では言葉が難しいということもあるが、オンラインをうまく活用した例では、チャット機能や投票機能で意見を集約したり、オンラインだからこそ意見を出しやすい環境でもあったかと思う。今後もそういった機能を活用していきたい。(リハビリテーション専門職連絡協議会)

● ケアマネ協でも今年度はほぼオンラインでの研修会を予定している。ケアマネの更新や新規取得者が行う一定期間の研修なども、今年度、県ではオンライン対応が決まっている。会員に対してどのように周知し参加いただくか検討している状況で、対面で開催するという計画には至っていない。更新研修でのグループ討論をどうするかという問題もあり、接種後の対応は変わっていくと考えている。(介護支援専門員連絡協議会)

● 町内の関係者との勉強会については、感染対策をしたうえで対面開催を行っている。鳥取市内などで開催されるものについては、若桜からは距離もあるためオンラインだと参加しやすい。(若桜町包括)

● 若桜町ではリモートでのカンファレンスは行われていますか?

○ 若桜町についてはそこまでは実施していません。

● 各機関で工夫を凝らして議論を進めていらっしゃることが分かりました。今後もリモートと対面の長所を取り入れながら、もう暫くはいろいろなツールを併用されていくのかなと思います。

会の様子

 

(6)その他_

● 前回、高齢者のワクチン摂取について、認知症の方の対応に関する質問が出ていたが、もう一度お話いただけますか?

○ ワクチン接種についてはあくまでも本人に説明の上、同意をいただいた方に接種を行うことが基本。厚労省からも追加で、他の医療行為やインフルエンザ等のワクチン接種と同様に基本は本人同意を得てほしいこと、得難い場合は家族や担当医の同意を得ても構わないという通知が出ている。日頃の医療行為の延長線上にコロナワクチン接種もある、という認識で接種を進めていただきたいこと、そこで同意が得られず接種できないことの不利益も考え、このような通知が出されたと認識している。

○ 厚労省の通達によると、あらゆる努力をして医療関係者なり周囲の方が本人の意思を確認するということと、意思がはっきりしない場合はご家族が本人の意思を推測して接種することも可能だということだと思います。

 

 ◎ 次回協議会は令和3年10月6日(水)19時~

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