◆ 令和6年6月5日(水)19時~20時30分 東部医師会館・オンライン(Zoom)
◎開 会
◎協議会長挨拶
皆様こんばんは、ご多忙のところ、今年度第1回の在宅医療介護連携推進協議会にご出席いただきまして、誠にありがとうございます。
この6月1日から6年ぶりの診療報酬・介護報酬同時改定が施行されたばかりで、私自身、不慣れなことが多い毎日ですが、理念としては医療介護の連携推進が強化される方向に進んでいますので、これを体現できるような努力を続けてゆきたいと考えているところです。
この協議会と連携室がスタートして、今年で10年目を迎えます。この間、委員の皆様や連携室職員のご努力によって、医療介護連携の仕組み作りが進められてきました。戦後生まれのいわゆる団塊の世代が全員後期高齢者となる2025年問題を見据え、地域包括ケアの確立を目指して参りました。当地域では、10年前の当時の高齢化率が、現在の全国平均レベルとなっていました。一方で、医師会をキーステーションとして、フロントランナーとしての取り組みが行われてきたと思います。最近は2040年問題といって、団塊ジュニア世代が高齢者となり、人口減少と高齢化が一層進行して、これも地域差がありますが高齢者人口がピークを迎え、1人の高齢者を1.5人の現役世代で支える時代になるということが取り上げられるようになりました。医療介護のマンパワーも不足してゆきます。このような時代を迎えるにあたり、近未来の地域の医療介護の抱える問題について考えるのに、早すぎるということはないと思います。
私たちは、これからも様々な研修の機会を設けるとともに、問題点の抽出や、現実的な課題の解決に向けて協議して参りたいと思います。この度は、アンケートをお願い致しましたところ、急な依頼にも関わりませず、たくさんのご意見をお寄せいただきまして誠にありがとうございました。引き続き、忌憚のないご意見をいただければ幸いです。本日はよろしくお願いいたします。
◎報告事項
(1)令和5年度事業報告_
・行政2名、医師会2名で業務執行。協議会、ワーキンググループの開催状況は資料の通り。
・コロナ5類移行後、対面開催を徐々に再開。映画上映会、ワールドカフェの開催。
(2)在宅医療・介護連携「相談支援」の概要報告_
・カテーテル抜去歴のある在宅療養患者に対しての身体拘束についての相談。切迫性、非代替性、一時性について検討いただき、本人・家族・関係職種の同意を得て手順に沿って進めていただいてはどうかと回答。
・知人の入っている施設職員の介護力レベルが低いという内容。具体的な施設名等は言われなかったためこの場での共有とさせていただく。
・県立図書館司書よりACPノートを図書館内で紹介して良いかという内容。現在、管内での閲覧が可能。
・訪問歯科を紹介してほしいというケアマネからの相談。東部歯科医師会を案内。
【 意見等 】
● 鳥取市地域包括ケアシステム推進連絡会に参加されているということだが、どのような課題や成果が出ているのか。
○ 鳥取市が生活支援コーディネーターを市社協に委託しており、その連絡会が発端。さまざまな地域の話をする中で、高齢者だけでなく全世代の共生社会に向ける取組みと混ざってきたため、令和5年度は共生の取組み強化の準備会という位置づけで開催された。医療福祉だけでなく、人権(孤独孤立、生活困窮など)とも交わりながら地域の困りごとについてどうアプローチすべきかを検討している。
● 中山間地域等における在宅医療介護連携に関する調査研究事業の詳細について。
○ 厚労省の老健事業の研究事業。委託を受けた富士通総研と中四国厚生局が取り組んでいる。中国5県から1名ずつ。中山間地域で医療介護資源が減少していく中でどう進めいくのか話し合いを行った。医療介護だけでなく生活の面も含めて考える必要があるというまとめで終了。
◎協議事項
(1)2040年の人口動態について_
・今と2040年では人口動態が大きく変化する。皆さんとイメージを共有し、今後の取組みに向かいたい。将来人口推計は2020年を100とし、2040年は81.5。75歳以上は121.6でどちらも2割の増減。生産年齢人口が減少するため、死亡・看取り件数増による対応と医療介護従事者の確保が大きな課題である。
高齢者独居、高齢者夫婦、男女未婚率増。今以上に身寄りのない人の増加や家族介護が難しくなる。消滅可能自治体は鳥取市以外全てという報道もあった。
認知症患者数は健康志向により減少すると言われているものの14.9%(65歳以上の6.7人に1人)。
死亡場所については病院が多く横ばい。老健、老人ホーム、自宅が増えている。今後病床数は増えないため、良くて横ばいであろうと感じているので、介護施設や自宅で対応しなければならない。労働可能人口が減少するため、医療介護従事者をなるべく減らさない方策を検討しなければならない。限られた人口、資源で2040年を迎えるため人口推計の状況を共有した。
新たな地域医療構想の議論としては、病院のみならず、かかりつけ医機能や在宅医療、医療介護連携等を含めた地域の医療提供体制全体を検討していくという方向となっている。
(2)令和6年度事業計画_
*総合企画WG
・推進事業に対してロジックモデルで現状と課題を頭に入れて進めたい。途中段階のため、整理しながら取り組みたい。
・2025年度は当協議会10年目となる。何かを企画したいと考えている。
*研修支援WG
・絆研修は9回目。昨年度の全課程修了者は30名以上。7月21日は案内済み。開催案内(内部リンク)
・事例検討会はハイブリッド開催。38回(2/7)推進室も世話人として参加。事例検討会について(内部リンク)
・認知症施策との連携として、YouTubeで動画配信中。鳥取市と共催でフォーラム開催。鳥取市認知症施策推進計画策定ワーキングに参画。鳥取県東部認知症本人ミーティング実行委員として参画中。
・映画上映会は今年度も開催。6/23「ケアニン~あなたでよかった~」。研修会と違い、気軽に参加いただける。委員の皆様や職場の皆様にも参加いただきたい。開催案内(内部リンク)
・関係者・事業所向け研修も行っている。ご要望があればぜひ連絡いただきたい。
・ACP実践研修は足立先生を講師に1/26集合開催。
・出張オンライン操作研修については初級、ステップアップの2種類。Zoom操作について関心のある事業所の皆様はぜひお申込みください。詳細はこちら(内部リンク)
・ファシリテーター、プレゼンター養成研修は鳥取市保健所と共催。フォローアップを10/5、養成研修を12/15に開催。受講者の中には絆研修でファシリテーターとして活躍いただいている方も多くいらっしゃる。
*研修Reニューアル部会
・2040年を見据え研修全体を見直すための部会。必要な研修を必要とする人へ届けられるよう議論したい。
・絆研修全課程修了者を対象に集まる会を企画。カフェ形式で日頃感じている事について、皆さんといろいろな話をしたい。
*とみやすベース
・多職種の気軽なつどい場「とみやすベース」を開設。1回目は6/28。集まった皆さんと少しずつ会を作っていきたい。テーマは決まっていないので、日ごろ感じていることや相談など気軽に話ができる場所にしたい。口コミで広がっていくようになれば良いなと感じている。詳細はこちら(内部リンク)
*住民啓発WG
・今年度も引き続き、ACP、地域共生、地域包括ケア等をテーマに住民向けの研修・講演を行政や社協と連携しながら行う。
・昨年度、地域共生社会について委員の皆さんと共有した。2040年に向け、専門職から地域住民に向けて伝えるべきことをテーマとして進めたい。
・昨年度の意見を踏まえ、先行的に取り組んでいる自治体のものを参考に地域共生社会のパンフレットを作成する。
・ACPの啓発を進めつつ2040年を意識した内容(在宅での医療介護という選択肢、最終段階の医療と看取りなど)を住民に伝える必要がある。
・YouTube、SNSを活用し、高齢者の家族世代へも啓発したい。
・ACPノート再編集は延命治療や最終段階の医療と看取りについての内容を追加。
・多施策との連携強化について、各施策が横断的で効率的な住民啓発活動を目指したい。
*ACPノート再編集計画
・在庫数がわずかのため、再印刷前に内容を再検討。2040年に向け、在宅医療の選択肢、延命治療など、もう少し踏み込んだ内容を追加したい。
*在宅療養支援WG
・R2から在宅療養での課題について協議しているが、一番困るのは急変時の対応。今年度は看取りが近い人の急変時に絞り課題を整理する。
*多職種ディスカッション「2040年に向けて必要な多職種研修と住民啓発」
・若桜町は高齢化率50.6%(5/1時点)で、数値的には国の2040年推計を超越しているため、現状で上記のような課題が既に発生している。独居ケースや身寄りのないケース、老々介護、8050問題などの困難ケースが日々発生しており、現場では対応に追われているが、町内では限られた資源の中、医療機関、介護事業者、ケアマネ等々が、日々コミュニケーションを密に取りながら臨機応変に対応している。また、町内には入院できる病院がなく、市内の医療機関とも連携を取りながら入退院調整を行っている。このような困難ケースが増大しており、病院(MSW,退院調整Ns等)を在宅(ケアマネ、包括等)の連携が一層重要になると思うため、その辺りの研修・啓発が必要かと思う。(若桜町包括支援センター)
・ICT活用推進のための研修は特に進めて頂きたい。西部地域では「バイタルリンク」「おしどりネット」を利用していると聞いている。職種間の連携が円滑となるようなルール作りの研修も必要ではないかと思う。訪問看護師やステーションの数も増えている為、在宅診療をされている医師のお手伝いや、24時間体制のバックアップが出来ると良い。マンパワーとしては足りているのではないか。医師が訪問看護師に望まれる事等を踏まえた研修が出来ればと思う。
住民啓発では、学校やPTAの場所に出向く方法が良いのではないか。看護フェアでは学生が親と一緒に来られて、そこでおじいちゃんおばあちゃんの話をされるような機会もある。そのような場も啓発の場として利用できればと思う。(看護協会)
・若桜町が話された内容は大変重要だと思う。地域包括ケアシステムは超高齢化社会を迎えるにあたり、単身高齢者の増加や認知症高齢者の増加についてどのように対応していくのかということであったが、特に2040年を意識した時に顕在化する問題としては「身寄りのない高齢者」だと思っている。これまでの施策や考え方では、家族が身近に存在しているという前提で、高齢者を取り巻く周囲の対応についてアドバイスをすることが考えられていたり、病院や施設でも、家族がいる前提での身元保証人や緊急連絡先があることを条件に、入院や入所が出来るという事態が当たり前だった。しかし現在は、特に家族モデル像が変わっていることを意識したルール作りが必須。それが本来の地域包括ケアだと思う。今後は発想の転換が必要。例えば、単身世帯あるいは子供が都会で暮らし、すぐに対応できない場合、また8050問題のような子供がいて親に従属しているような場合は特に、高齢になることを不安に思っていると思う。そのような場合に不安が無いよう提案できる何かがあれば良いと思う。在宅推進室で作成している動画「うちげぇに帰りたい」も家族がいる前提で作成されている。単身高齢者世帯や、身寄りがない人のパターンの動画を作成して啓発が出来ればと思う。(権利擁護・成年後見制度関係機関)
・病院や介護保険関係とは連携が図れているように感じるが、対象者周辺を取り巻く家族等に支援が必要、または複雑化しているケースが多くなり、行政や障害等の窓口に繋げなければならない事が多くなった。多職種研修が医療と介護だけではなく、枠を広げて他の職種との研修も必要になるように感じる。
また、2040年に向かって亡くなる人も増える一方、働き手も不足すると思う。在宅での看取りが増えれば、今以上に病院や訪問看護等とは顔の見える関係や気軽に相談できる関係がより求められ、24時間対応できる訪問看護や迅速に対応できる居宅等の情報共有が必要になると思う。(介護支援専門員連絡協議会)
・絆研修について、単体の職能団体でここまでの研修は難しく、質が高く内容も充実しており、またこれだけ回数を重ねても参加者が減らないので、それだけ大切な研修だろうと思う。引き続き継続していく必要があるとともに、その時代にあった内容にしていく必要もあるのではないかと思う。家族がいることが当たり前ではなく、家族の役割を社会で担っていく、制度で補っていくことが必要になると思う。その辺りを含めてバージョンアップできれば、地域の中で更に良い研修になっていくのではないか。
ソーシャルワーカーも地域の課題の中で、身寄りのない方、または家族が居ても関係性が良くない場合の支援に難渋している。そのような方こそ制度の狭間にいらっしゃることが多く、対応に困る事例が増えている。そのような方が入院されて初めて環境の問題に気づくことが多いと感じる為、そのような方が地域の中でもう少し早い段階で支援につながるようなシステム作りが出来ればよいと感じている。ソーシャルワーカー協会でも同じように感じている。弁護士会とも一緒に勉強会をさせてもらっているが、成年後見のあり方や、第三者後見等必要な方が増えてきている中で、手続きにも時間がかかる等の課題もある。(医療ソーシャルワーカー協会)
▸7月5日(金)成年後見の方向性のような話をさせていただく予定。平成31年度に改正された成年後見の診断書の見方の変更点などを説明したいと考えている。医療関係だけではなく、本人情報シートを書かれている方にも参加していただきたい。(権利擁護・成年後見制度関係機関)
▸7月5日(金)19:00~「かかりつけ医認知症対応力向上研修会」東部医師会館にて開催予定。対象者は医師としているが、他の職種の方にも是非ご参加頂きたい。(東部医師会理事)開催案内(内部リンク)
・政府では医師数の削減を厚労省が担当している。医学部の卒業生もG7の中で一番少なく、OECD諸国の平均の医師数よりも日本は13万人近く少ない現状がある。その中で更に削減するという動きがあるということを皆さんにも知ってもらいたい。病院では働き方改革が4月から始まっており、医師の増員なしに診療を行うことが非常に困難な状況になっている。鳥取市の保健所の調査でも、在宅を担う医師数が減少するという数値が出ており、また郡部の方の医師の高齢化についても問題になっている。そのような状況の中で、看取りを施設や在宅で行うという方針に対して、それに応える医師数の減少という問題もあり、実際はそれも困難になるのではないかと私自身は思う。全国知事会の中でも東北の知事を中心に反対をしていると聞いているが、皆様にとってはご存知ないことかもしれないが、私にとっては非常に大きな問題であると感じている。(中核病院)
・主治医に連絡がつかないため救急車を要請し警察沙汰になった、蘇生や延命は希望していないが急変時に慌てて救急車を呼んだ、というようなケースの場合、一旦救急車で病院に運ばれると、何を言われようが必ず挿管、人工呼吸、心臓マッサージをされてしまう現状がある。一旦その処置を施すと、勝手に抜管する行為は殺人になるため、非常に判断が難しく、ご本人にとっても辛い最期を迎えることになってしまう場合もある。それらを在宅医療で支えていくのは、病院の医師ではなく在宅医であり、それを意識して対応していただけると大変嬉しく思う。在宅医による訪問診療を推進していただきたい。(中核病院)
・郡部の医療機関は民間が多く、継承問題もある。医師会としても継承のサポートをしていくと聞いているが、例えば自治医科大を卒業し公立病院で勤務している方達が、地域の医療を守るという立場でクリニックや診療所で働けるようにする等すれば、そのエリアの医療を守ることに繋がるのではと思っている。(中核病院)
▸医療をいかにして継承していくかという問題は、地域医療を守るために非常に大事な問題だと思う。(松浦会長)
・社会福祉士会としては「つなぐ」という部分を大切に考えている。繋がりをもっと密に出来るような言葉や、文化が分かるような機会をこれまで以上に作って頂ければと思う。医療介護だけではなく生活もみていかなければならないという部分について、社会福祉士としてどのような提案ができるのかについて考えさせていただいた。
住民啓発については理想論かもしれないが、「新たなつながり」を地域の中で考えて行くことを何かきっかけとして行えればいいなと思っている。住民さんにどのように働きかけることが効果的なのかも話ができるといいのではと思っている。(鳥取県社会福祉士会)
・皆さんから多くの意見を頂き、イメージが膨らんできたように思う。基本は多職種が連携して住民と共に今後の地域の医療と介護について考えて行くというところではないかと思う。今後ともよろしくご鞭撻を頂ければと思う。(松浦会長)
(3)医療介護連携にかかる報酬改定について_
・国から様式が示されているものから居宅向け退院時診療情報提供書と入院時情報提供書を新旧で資料添付した。ともに認知機能、栄養口腔、ACPに関する情報が大きく占められている。今回の改訂は全体的に看取り強化、認知症の対応について加算が多くついている印象。
・人生会議を進めることは国策として進んでいるが、書類形式でチェックするパターンが増えると、どうしても機械的なACPを強要するようなことが現場で起こりかねない。心の準備状態が出来ていない方に強引に行うと、害のほうが強いと言われている。書類にあるから行う、という安易なやり方ではなく、相手の状態を見極め、丁寧にコミュニケーションを図ることが更に求められていると思う。
もう一点、ACPがある程度啓発されると、利用者(住民)から人生の最終段階の話し合いをしたいという依頼が増えてくる可能性がある。そのため、現場の医療介護従事者も、その話し合いに対応できるスキルを身に付けなければならない。その辺りに配慮をしながら啓発を進めていただきたい。(足立副会長)
◎その他
・皆様からいただいた多職種研修に関する意見は、研修リニューアル部会で参考にし議論を進めたい。住民啓発については住民啓発WGで、医療介護だけでなく地域資源についても進めていかなければいけない。たくさんのご意見ありがとうございました。
【 意見等 】
● 令和8年度に向けての地域医療構想について、これから準備していく時期。この協議会で精力的に検討、準備していることも視野に入れながら、地域医療構想の調整会議をお預かりしているこちらとしては考えていかなければならない。そのため、各ワーキンググループの活動報告を、都度共有いただきたい。
また、ICTをもっと活用できないか。リアルタイムでの情報共有は課題だと思う。ワーキンググループで扱っていただければと感じている。(鳥取市保健所)
○ 各委員の皆様にはワーキングの情報を細かく発信していけるようにしたい。よろしくお願い致します。(松浦会長)
○ 推進室からの情報発信はまだ足りていない。推進室の認知度や医師会館に来られたことのない関係者も多いと思う。ワーキングの活動についてもホームページで逐一公開したいが追い付いていない状況、今後取り組んでいきたいと考える。
◎ 次回協議会は令和6年10月2日(水)19時~