仮想の事例を通して専門職の役割、多職種連携の重要性を学び、実践につなげていくことを目的に、多職種研修会の3回シリーズの5クール目、最初のテーマ①「病院から在宅へ(退院支援)」を実施しました。
今回は、初めてウェブでの参加募集を行い、ウェブ参加者を含めてのグループワークをするなど、感染症対策を講じた上での開催としました。
(東部地区在宅医療介護連携推進協議会:研修支援WG企画)
◆研修の目的
・地域包括ケアシステムを理解する
・在宅療養を支援するための多職種の役割を理解する
・住民の利益を考えた効果的な多職種連携について学ぶ
◆各シリーズのテーマと実施日
①「病院から在宅へ(退院支援)」 令和2年9月27日(日)
②「在宅療養中(生活支援)」 令和2年12月13日(日)
③「看取りの時期(終末期の支援)」 令和3年2月28日(日)
◆対象者
地域包括ケアシステム構築を目指す医療介護福祉関係者
第5回“絆”研修①「病院から在宅へ(退院支援)」を開催しました
■ 日時 令和2年9月27日(日)9:15~12:15
■ 場所 東部医師会館
◆研修内容
本研修のディレクターである東部地区在宅医療介護連携推進協議会 副会長足立医師から開会挨拶、本研修全体の目的、今回のシリーズ①のメッセージが伝えられ、研修が開始されました。
1.地域包括ケアシステムなど
地域包括ケアシステム、特に在宅医療介護連携推進事業に関してプレゼンを行った後、各グループのファシリテーター紹介、アイスブレーキングが行われ、和やかな雰囲気のなか次へのステップに進みました。
担当:足立誠司医師(鳥取市立病院)
2.退院前カンファレンスの準備
DVDの視聴を含め事例が提示され、退院前カンファレンスの準備をするために、課題1)誰が参加するのが良いか 課題2)どのようなことに配慮するのか についてグループで意見交換を行い、全体で各グループの意見を発表しました。
そして退院前のカンファレンスにおける連携の重要性と、介護保険に関するサービスなどについて全体で学びました。
担当:廣山恵ファシリテーター(学識経験者)
3.退院前カンファレスを体験
退院前カンファレンスのロールプレイングでは、提示された事例を想定し、グループで参加が必要と感じた「自分以外の職種」になりきって実施しました。その後、課題1)違う職種を体験して感じた事 課題2)「退院前カンファレンスの流れ」(あらかじめ用意されていたもの)についてどのように感じたか、グループで話し合い、全体で共有しました。
その上で、退院前カンファレンスの難しさや留意点、参加者の役割、必要なスキルなどについて、さらに学びを深めました。
担当:曽田淳ファシリテーター(デイサービスあらいぶ)
今回の研修では絆研修全3回の修了者が2名ありました。そのうち1名は、ウェブ参加の方でしたので、リモートで一言感想をいただきました。全員に、今回の絆研修「退院支援」の修了証をお渡しし、研修は終了となりました。
◆グループワーク①の発表内容(一部抜粋)
◎課題1)退院前カンファレンスに誰が参加するのが良いでしょう
・本人、家族、医師、看護師、リハビリスタッフ、MSW、管理栄養士、福祉用具、訪問看護、訪問リハ、通所リハ、ケアマネ、在宅薬剤師、有償ボランティア。
◎課題2)どんなことに配慮しますか
・本人と家族が納得した上で、不安なく帰っていただくには何をしていかなければいけないのかを検討する。
・入院中にできる具体的なリハビリの目標を設定し、必要なサービス、役割分担をする。
・実際の生活をイメージし、通院しやすい方法を考えていく。
・本人の希望に近い支援。妻のサポート。本人と家族のギャップを埋めるベストな提案。
・退院後も相談できるということを踏まえた退院前カンファレンスの実施。
・本人と家族の意向を聞き、退院前カンファレンスでは分かりやすい説明や退院後の生活がイメージができるような話をする。専門用語を分かりやすい言葉で。
・本人の意向とADLのすり合わせ。退院前カンファレンスで自宅訪問を調整できれば。
・本人が自宅でどの程度できるのか、ADLの把握が必要。
・あらかじめ妻やキーパーソン(娘)の気持ちを聞いておく。
◆グループワーク②の発表内容(一部抜粋)
◎課題1)違う職種を体験してどのように感じましたか
・本人、家族が参加しているため、簡単な言葉を意識する。
・本人ができなくなった点を話さなければいけないので、それに対して支援をするための言葉選び、匙加減に気を遣った。
・初対面で入浴介助など任せてもらえるか、信頼関係を築けるか意識しながら話をした。
・分かっているけれど難しい言葉になる。
・専門職ばかりで本人や家族が混乱してしまうかもしれないし、たくさんの人が参加するのかと思われるので、そういったことにも気をつけないといけない。
・本人や家族役、大勢に囲まれると自分の意見が出しにくい。在宅主治医が退院前カンファレンスに参加されるが、家族や外から参加する職種はアウェイなので、家族の思いを聞いて理解できたか留意しなければいけない。
・本人は帰りたいという思いが強く、実際の生活をイメージできていない。
・社会生活を最終目標とし、それをケアマネに伝えることで、帰ってからの生活が上向くのではないか。
・本人はもっと悩みながら会に参加するのだと実感した。
・医師が自分のことを話されるので恥ずかしさがあった。
・できるようになったこと、良いところを想像しながら医師は話をしてほしい。
・家族は思いを聞いてもらうだけで安心だが、いろいろな思いが出てくる、それをどう話すのか難しい。
・ケアプランを出してもらうとどのように進むか視覚的に分かるので安心する。
・都度相談できるということが分かると安心。
◎課題2)退院前カンファレンスの流れについてどのように感じましたか
・自分の職種しか知らなかったので進め方が難しい。あらためて多職種への理解が必要だと分かった。
・ケアマネ役がいなかったが、事前に本人や家族の意向をくんでカンファレンスに参加するケアマネの参加の重要性を再認識した。
・現状発表するときと在宅療養を発表することがごちゃごちゃになっており、流れに沿っていなかったと思う。
・多職種を経験することは難しかった。
・ケアマネは病院から情報をもらえると出た甲斐がある。退院前カンファレンスは重要だと感じた。
◆ウェブ参加者を交えたグループワークの様子です(Zoomを利用しました)
◆全課程修了者の感想
こういった形式(ウェブ研修を含む形式)での研修会が増えていくと思うので積極的に参加したい。管理栄養士の立場から、多職種でつながる大切さを感じている。本日参加された保健所の管理栄養士さん2名が中心となり、54施設の食形態一覧表が完成した。現在は多職種で共通でみていただける栄養管理情報提供書の作成も行っている。
これからも皆さんと地域で携わっていけるように頑張りたい。
◎ 研修参加者71名(ファシリテーター、研修支援WG委員、事務局含む)
( 医師4名、歯科医師1名、薬剤師4名、保健師・看護師24名、介護支援専門員13名、管理栄養士3名、MSW5名、
PT5名、OT4名、社会福祉士・相談員・福祉用具専門相談員・訪問介護員・認知症地域支援推進員 各1名、その他3名 )
◎ファシリテーター、研修支援WG委員、協議会事務局 計18名