仮想の事例を通して専門職の役割、多職種連携の重要性を学び、実践につなげていくことを目的に、多職種研修会の3回シリーズを今年も実施しています。今回4クール目、最初の研修を実施しました。
(東部地区在宅医療介護連携推進協議会:多職種研修WG企画)
◆研修の目的
・地域包括ケアシステムを理解する
・在宅療養を支援するための多職種の役割を理解する
・住民の利益を考えた効果的な多職種連携について学ぶ
◆各シリーズのテーマと実施日
①「病院から在宅へ(退院支援)」 令和元年 6月16日(日)
②「在宅療養中(生活支援)」 令和元年 9月29日(日)
③「看取りの時期(終末期の支援)」 令和元年12月15日(日)
◆対象者
在宅医療・介護に関わる仕事を初めておおむね5年以内と想定
“絆” 研修①「病院から在宅へ(退院支援)」を開催しました
■ 日時 令和元年6月16日(日)9:15~12:15
■ 場所 東部医師会館3階研修室
◆ 研修内容
本研修のディレクターである東部地区在宅医療介護連携推進協議会 副会長 足立医師から開会挨拶、本研修全体の目的・今回のシリーズ①のメッセージが伝えられ研修が開始されました。その後研修は3名のプレゼンターのもと進行が行われました。
1.地域包括ケアシステムなど
地域包括ケアシステム、特に在宅医療介護連携推進事業に関してプレゼンを行った後、本日のファシリテーターの紹介、アイスブレーキングが行われ、和やかな雰囲気の中、次へのステップに進みました。
担当:坂本一郎ファシリテーター(さとに田園クリニック)
2.退院前カンファレンスの準備
DVDの視聴を含め事例の提示を行い、退院前カンファレンスの準備をするために、
(課題1)誰が参加するのが良いか (課題2)どのようなことに配慮するのか
についてグループで意見交換を行い、全体でワークの意見をまとめ発表しました。そして退院前のカンファレンスにおける連携の重要性の説明と、介護保険に関するサービスなどの説明がされました。
担当:三橋由希子ファシリテーター(ガーデンハウスはまむら)
3.退院前カンファレスを体験
退院前カンファレンスをロールプレイングしました。提示された事例において、グループで参加が必要と感じた職種になりきり(自分の職種以外)実施しました。その後、課題1)違う職種を体験して感じた事 課題2)「退院前カンファレンスの流れ」(あらかじめ用意されていたもの)についてどのように感じたか、グループで話し合い、会場全体に発表しました。その後、退院前カンファレンスの難しさ、留意点窓の説明と参加者の役割、必要なスキルなどが説明されました。
担当:山本満ファシリテーター(鳥取青少年ピアサポート)
今回の研修では絆研修全3回の修了者が5名あり、2名の方に壇上で修了証と缶バッジをお渡しし、一言感想をいただきました。全員に今回「退院支援」の回の修了証をお渡しし、研修は終了となりました。
◆ グループワーク①の発表内容(一部抜粋)
◎課題1)退院前カンファレンスに誰が参加するのが良いでしょう
・病院側はMSW。病院での状況をよく知っている担当看護師、身体状況を把握しているリハ職。本人、妻、家族(長男、長女)、ケアマネ、サービス事業者(福祉用具、訪問看護、通所リハ)、民生委員、管理栄養士。
◎課題2)どんなことに配慮しますか
・在宅生活を送るのに、どれくらいの支援が必要かを考える
・入院前の生活を尊重する
・家族も自身の生活で大変なので家族の生活を守るための配慮(妻の腰痛、長女家族など)
・在宅支援に必要な金銭(予算)とそれに対する本人、家族の納得
・在宅生活で本人にも役割を持ってもらう。意欲向上に向け趣味ができる介入をする
・本人が傷つかないように配慮する(失禁という言葉、麻痺の事など)
◆ グループワーク②の発表内容(一部抜粋)
◎課題1)違う職種を体験してどのように感じましたか
・多職種それぞれの目線にたつことの難しさ。在宅側スタッフの前情報がほとんどない中でのケアプランを立てることの難しさ。本人役の意見として、どのように進んでいるのか分からないが自分の為に一生懸命に話してくれているのが伝わってきてとても良い場だと感じた。
・専門的な知識を理解しておかなければ患者へ説明できない。
・退院前訪問、自宅改修を行い物品を揃えたうえで、試験外泊をして問題点を更に絞ることで安心して帰っていただくことができると思う。
◎課題2)退院前カンファレンスの流れについてどのように感じましたか
・誰が何を言うのか決まっていたので分かり易かった。
・一定のルールとして流れがあると、それぞれの専門職の準備がしやすい。規模が大きくなると流れが必要。
・ある程度関係性が出来上がっていてお互いが把握されていれば、その流れを省略し自由な意見交換ができるのではないか。
・本人家族がアウェイになっている現状があるため、司会者が本人家族の意見を聞くよう心掛ける。
・本人役より、カンファレンスで周囲のスタッフと話をすることで、帰らされるイメージからいつでも帰れる、帰らせてもらえる。という気持ちが見えて嬉しかった。
◆ 全課程修了者の感想の一部
・地域包括ケアシステムは医療職、介護職、地域住民と連携する必要があると言われていますが、まだまだ連携が足りていません。特に住民側と専門職の敷居が高いなと感じており、それを繋げるコーディネーター役として、率先して活動できればと思っています。
・ケアマネ4年目でまだまだ勉強しなければいけませんので、とても良い内容で分かり易く、参加して良かったと感じています。兵庫県民ですが生活圏域はほぼ鳥取です。今後も研修があれば参加したいと思いますので、ぜひお声掛けをお願い致します。
◎ 研修参加者71名(ファシリテーター、多職種研修WG委員、事務局含む)
( 医師3名、薬剤師1名、MSW4名、保健師・看護師33名、PT3名、OT6名、相談員1名、ケアマネ10名、
介護福祉士1名、管理者1名、地域支え合い推進員3名、管理栄養士1名、その他4名 )
◎ ファシリテーター、多職種研修WG委員、協議会事務局 計16名