鳥取県東部医師会 在宅医療介護連携推進室

2/26 第20回 東部在宅医療・介護連携研究会(多職種事例検討会)を開催しました

研究会の場を通した医療・介護にまたがる様々な情報の共有、相互の連携を深めることを目的に、多職種事例検討会を開催しています。

■ 「事例を通した医療・介護連携の情報共有・知識向上」

■ 「研究会参加による、医療・介護関係者の顔の見える関係づくり」

 

◆ 第20回(令和2年2月26日)19時~20時30分

 

◎ 松浦会長挨拶

みなさんこんばんは。お忙しいところお集まりいただきありがとうございます。

もしバナゲームは亀田総合病院の先生方がACPの法人を設立され広めておられるゲームで、ACPについて気軽に取り組めるのではないでしょうか。何が大切なのか、なぜ必要なのかといったことを引き出せるようなカードが配られるのではと思っています。人によっていろいろと違うでしょうし、人の持っている多様な価値観を分かっていただけると良いなと思いながら話し合いに臨みたいと思います。

 

◆ 演題: 人生の最終段階における医療・ケアを考える ~「もしバナゲーム」での価値観コミュニケーション ~

◆ 講師: 鳥取市立病院 地域医療総合支援センター長 足立 誠司 氏(医師・世話人)

( 講演概要 )

厚労省が定めた「人生の最終段階における医療ケアの決定プロセスに関するガイドライン」は、今までのような医師、看護師からの説明だけでなく、介護従事者を含む多職種で、医療とケアがチームとなって人生の最終段階を話し合って進めないといけないといったことが書かれている。本人の価値観を十分引き出せているか、医療ケアチームがその人の人生に沿った話し合いをできるかがポイント。また、家族(血族)だけでなく、独居や身寄りのない人にとっては友人なども第一決定者になり得る。

意思決定できない時期が7割くらいの方に訪れるため、ACPや代理意思決定など一存で決めず、医療ケアチームで十分に話し合うこと、結論を出すというよりは価値観を中心に話し合うプロセスが大事。話し合うときは本人の心の準備も考慮するなどタイミングも重要。また、日本人に有効かということも証明されていない。医療ケアチームで話し合う文化がない状況で、いきなり利用者と話し合うことができるかどうか。そこで、東部地区では話し合う文化を醸成した方が良いのではということで、推進室が中心となり住民や関係者に啓発を行っている。

このような背景の中で、もしバナゲームを体験いただきたいというのが狙い。

講演の様子

( ゲームについて )

4人1グループで行う。どのようにケアして欲しいか、誰にそばにいて欲しいか、自分にとって何が大事か等が書いてある35枚のカードから、ルールに従い5枚を選択、その中から更に3枚を選ぶ。選んだカードをメンバーに披露し、それぞれの思考過程を説明する。聞き役は具体的な理由を聴き、4人の価値観を聞いたり自分の価値観を考えてみたりする時間を作る。

 

■ グループワーク意見まとめ(PDF・100KB)

 

ゲームではあえて時間を区切りました。人生の大切な決定で、私たちは一方的に相手に意思決定を求め、締め切りを提示していないでしょうか。そして、相手の決定を確認するが、その理由までは聞かない。カードの裏に込められた思い、なぜそれを選んだのかを聞くと価値観に出会えるかもしれません。

また、親身になって話を聞いていたのに、違う人に大事な話をされていて自分には話してくれなかった経験はありませんか。4人のグループで、この人には話していいと思った、あるいはこの場でこんな話はしたくない、ここでは話せるけど近しい人には話せないな、というように相手によって情報の出し方が違うということを感じていただけたのではないでしょうか。相手の意思を再確認しない、気持ちの変化に配慮できていないことも経験することが多いと思います。

今日のタイトルで、価値観コミュニケーションという造語をつくりました。なぜ価値観を全面に出したかというと、コミュニケーションは相手の存在があってこそ成り立つものだからです。

相手は自分とは違う価値観を持っているのが条件で、相手の気持ちは変化するし、相手は私に話したくないかもしれない。話したいタイミングもあります。自分が話し合いたくても相手にとっては違うかもしれないので、相手に対する配慮も必要です。ですが、自分自信の価値観に気づく事をしない限り、相手に配慮することは難しいでしょう。

誰かの支えになるためには、自分自身がケアされていないと相手をケアすることはできません。自分自身のあり方が相手に影響していたり、その逆もよくあることです。利用者に対する「私」がどういう存在であるかによって、相手とのコミュニケーションも違ってくる可能性があり、そこを意識しつつ自分のあり方をみなおすことが重要です。

 

講演の様子 講演の様子

 

◇ 参加者:36名

( 医師 8名、看護師 11名、介護支援専門員 5名、理学療法士・作業療法士 各2名、事務職 4名、

歯科医師・薬剤師・社会福祉士・言語聴覚士 各1名 )

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