仮想の事例を通して専門職の役割、多職種連携の重要性を学び、実践につなげていくことを目的に、3回シリーズの多職種研修会を開催しました。
(東部地区在宅医療介護連携推進協議会:多職種研修WG企画)
◆研修のねらい
・在宅療養を支援する多職種がつながり、研修の成果を住民に還元する
・医療介護福祉関係者が顔を突き合わせ、在宅療養の基礎、互いの職種の特徴などを学び、 話し合い、連携を深めていく
◆各シリーズのテーマと実施日
①「病院から在宅へ(退院支援)」 4月23日(日)
②「在宅療養中(生活支援)」 7月 2日(日)
③「看取りの時期(終末期の支援)」 10月15日(日)
“ 絆 ” 研修 ③「看取りの時期(終末期支援)」を開催しました
■ 日時 平成29年10月15日(日)13:15~16:25
■ 場所 東部医師会館3階研修室
松浦会長が研修サブテーマでもある「仲間同士、知る、つながる、高め合う」にもふれられた開会挨拶で、研修は始まります。
ファシリテーター10名の紹介後、いつものようにアイスブレーキングでスタート。「最近楽しかったこと」をテーマに自己紹介、グループ内で他己紹介です。
(中瀬香里ファシリテーター:ウェルフェア北園渡辺病院)
今回の研修メッセージとワーク①の症例経過が説明されます。“絆”研修も最後回、在宅療養の主人公は、食事がほとんど取れなくなったり、動けなくなったりします。
◆ グループワーク①
「点滴や胃瘻などの栄養管理(行わないとも含めて)についてどのように考えますか。」
(医療スタッフ、介護スタッフそれぞれの立場で考えてみましょう)
(発表内容の一部)
・今後どういう経過をたどっていくのか、かかりつけ医や訪問看護師から妻、長男、長女に説明する。
・本人の意思を尊重していくが、家族がどうしたいのかも確認する。
・胃瘻についてのメリット、デメリットの説明が必要。
・良く食べる時はどんな時か姿勢や環境を確認し、食べられるような工夫をする。
・点滴についての種類、経路、管理などに関し情報提供を行う。
・家族が決めたことに後悔がないような支援をしていく。
発表後、足立医師より、人工的水分・栄養補給(AHN)について、AHN導入に関する意思決定、いのちについてどう考えるかなど、倫理的側面も含めレクチャーがありました。
休憩中には、寸劇による住民啓発「我が家(うちげぇ)に帰りたい」のPR用ダイジェストDVDが放映されました。
ワーク②は、ファシリテーターによる始めてのレクチャーです。山根綾香ファシリテーター(鳥取市立病院看護師)により、その後の経過、予後が説明されます。
◆ グループワーク②
「死が近づいた時に医療介護チームとして、どのような対応や配慮をしたらよいでしょうか」
(本人に対する医療・介護それぞれのケア)・(家族に対する医療・介護それぞれのケア)
(発表内容の一部)
◇本人に対するケア
・本人の安楽を考え、ベッド・マットレスの工夫、合併症、新たな傷をつくらない
・伝えたい人に伝えたいことが伝えられる口腔ケアをおこなう。
・限られた時間の中で各職種が関わっているので情報の共有は重要。
・美しい姿で棺に入るためのROM(range of motion)やポジショニングをおこなう。
◇家族に対するケア
・疲れているであろう妻のファオローとして、夜間のヘルパーなどを考慮する。
・いざという時、夜間の対応などをどうするか話し合っておく。
・今後予測されることを説明し、手を握るなど今できることを進め、死に対する心の準備も支援していく。
・亡くなられた後、家族が良かったと思えるような声掛けをおこなう。
・終末期に関わったスタッフもストレスがあるので、後日のカンファレンスなどでフォローが必要。
◆在宅医(寺岡医院:寺岡均院長)からの一言◆
積極的に治療する足し算の医療とは異なり、看取りは悪さをしているものを引いていく医療となる。在宅医療では家族も一緒にみるということ。
いつからが看取りか難しい。自分は、寝たきりに近くなり、本人の意欲がなくなってきたときが看取りと思う。なのでその期間は長い人もあり、がんのように短い人もある。
亡くなられた後、医師は訪問することはないので、介護側で家族をフォローしてほしい。老老介護の果て、一人になっていつの間にか鬱になる人もある。
全体発表後、死が近づいたときの患者さんの状況や、私たちが理解し、行動すべきことについてレクチャーがあり、“絆”研修③は終了です。
■■■ 全3回シリーズの“絆”研修が終了しました。
全ての研修を受講された35名には、修了証と缶バッジが渡されました。
受講生を代表した4名には、ステージ上で松浦会長より手渡していただきました。
◎ 研修参加者87名(ファシリテーター、多職種研修WG委員、事務局含む)
( 医師7名、薬剤師1名、保健師・看護師29名、PT2名、OT7名、ST2名、歯科衛生士1名、管理栄養士1名、
社会福祉士・MSW・PSW・相談員14名、ケアマネ12名、福祉用具専門相談員2名、介護福祉士・その他介護関係7名、
その他2名 )
◎ ファシリテーター、多職種研修WG委員、協議会事務局 計17名