研究会の場を通した医療・介護にまたがる様々な情報の共有、相互の連携を深めることを目的に、多職種事例検討会を開催しています。
■ 「事例を通した医療・介護連携の情報共有・知識向上」
■ 「研究会参加による、医療・介護関係者の顔の見える関係づくり」
◆ 第38回 東部在宅医療・介護連携研究会 事例検討会
◆ 令和7年2月7日 19時~20時30分 オンライン開催
◆ テーマ: ACP~アドバンス・ケア・プランニング~事例を通して考えてみませんか?
いつ、誰が音頭を取って、誰と一緒に始めるの?
◆ 講 師: 岩井あすなろ居宅介護支援センター 八尾 美智代 氏
東部医師会在宅医療介護連携推進 國本 あずさ
◆ 世話人: 乾医院 乾 俊彦 先生
東部医師会在宅医療介護連携推進
【 開会挨拶 】
今回はACPをテーマに開催します。ACPは医療介護を受ける本人にとっても家族にとっても大切なことで、より良い医療介護を行おうとする専門職にとっても必要とされることだと思います。誰もが考え残しておくべき大切なことなのに、まだまだ本人家族、専門職との意思疎通が不十分なケースが多いと思われます。ACPが普及するにはどのようなことが必要なのか、今日は皆さんとともに考えてみたいと思います。
【 概 要 】
はじめに、在宅医療介護連携推進室が行っているACP啓発について、またその取り組みから気付いた点(ACPの大切さは住民、専門職共に理解されているが、住民は先のことが具体的にわからないため想像することが難しい。専門職は、いつ誰がどのタイミングで行えば良いかが分からず切り出せない等)についてお話したあと、仮想事例をもとにグループワークを行いました。
住民さんの中にはネガティブな気持ちになる方もいらっしゃる。そういった方たちに配慮した啓発内容を心掛けている。また、人生の後半には必ず誰かの支えが必要であり、その度に多くのことを選択しながら生きている。先の人生をいかに自分らしく生きるのか。そのために、元気なときから自分の価値観について自問自答し、大切な人と共有し、もしもの時はお願いしておくことが大事、ということを今後も丁寧にお伝えしていきたい。そして今後も継続してこのような機会を作り、ほかの自治体でも作成されているようなACPについての事例集、目に見えるものが出来ればと思っている。
続いて、八尾さんに2つの実事例をお話いただき、再度グループワークを行いました。
ケアマネが支援の中で出会うACPについては、早い段階だとできないことも多く、かなりシビアな時期になってからということもある。そのような時、自分事として捉えてしまうこともある。
ACPについては学べば学ぶほど難しい。在宅でのACPについて、これまで多くのケースに出会ってきた。自分で決められなくなり家族が代弁することもある。そんな時、今までの生活や本人の人柄を思いながら、最期の医療ケアをどうしていくか家族と話し、最期の一緒の時を支えていくことになる。なにより、それまでの本人の意向を誰かが知っていないか聞くことも多くある。皆さんもいろんな立場があると思う。当事者である自分も、大切な人がいる自分も、いよいよの時に向かい合うのは辛いものだと思う。
前半の仮想事例でのディスカッションを踏まえ、いつのタイミングで、だれがどのように音頭をとって話すのか、その後どのように支えるか、専門職として本人・家族を支えていく上で必要なことをどう考えますか?
*皆さんからの意見(一部抜粋)
・意向の変化は当然のこと。一番音頭を取りやすいのはケアマネさんかな。ただ、一人で担うのは大変なので、関係職種が一緒に取り組めむことが理想。
・普段の会話の中で本人さんやご家族とのやり取りから何が大切かを感じ取ったり、普段の関わりから見落とさないことが大事。
・ACPで思いを話した後も終わりではなく、その時から支えが必要になる。連携は大切で、どのように進めればよいのか今後も考えていきたい。
大変興味深いお話でした。わたしも、家族さんの意見や介護力などそういったことにも考慮しつつ、出来る限り本人さんの意向をくみ取りながらACPを行っている。本日はありがとうございました。(乾先生)
【 終了後アンケートより 】
*本人の意向は変わる。変わるから悪いのではなく、かわった意向も本人の意向として私たち支援者は一緒に考えていく責任があることを痛感しました。
*ACPノートは単に死のみを意識するものではなくて、今後の暮らしをどのようにしたいかを確認するようなものである。あまりにも結果にこだわりすぎて、頭でっかちになってはうまくいかないと学んだ。
*介護者だけでなく、経験をしたことで自分の将来的なACPにも繋がっていく といった意見が参考になった。
*患者本人や家族に寄り添っていくことの大切さ、ACPを進めていく上での難しさを再認識した。
◆ 参加者:49名( 医師・看護師 各7名、介護支援専門員 12名、事務職 6名、薬剤師・社会福祉士・介護福祉士 各3名、
初期研修医・保健師 各2名、MSW・認知症地域支援推進員・鍼灸師 各1名)