鳥取県東部医師会 在宅医療介護連携推進室

第32回 東部在宅医療・介護連携研究会(多職種事例検討会)を開催しました

研究会の場を通した医療・介護にまたがる様々な情報の共有、相互の連携を深めることを目的に、多職種事例検討会を開催しています。

■ 「事例を通した医療・介護連携の情報共有・知識向上」

■ 「研究会参加による、医療・介護関係者の顔の見える関係づくり」

 

◆ 第32回(令和5年8月18日)19時~20時20分

◎ 松浦会長挨拶

皆様こんばんは。3日前の台風7号により、道路の崩落や断水の被害が起こり、病人の搬送にも支障を来たしたことが報道されております。皆様お住いの地域、あるいは仕事への影響は如何だったでしょうか?このような折、事例検討会へのご参加有難うございます。

この会は、多職種協働による地域包括ケアの構築を目的として実施しており、今回で32回目となります。コロナの影響で、オンライン主体で開催してきたのですが、本日はハイブリッド形式ですが3年半ぶりに会場でも参加していただく会となりました。堀内先生にお世話をいただき、徳吉薬局の徳吉淳一さんから講演をいただきます。熱心に在宅患者さんの服薬指導等に取り組んでいらっしゃる徳吉さんに、活動の実態と課題についてお話しいただきまして、私たちの日ごろの活動に生かしてゆきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

◎ 世話人挨拶(堀内 正人 先生)

本日は徳吉薬局の徳吉淳一さんに「在宅医療における多職種連携と薬剤師の業務について」という演題で講演いただきます。

 

◆ 演 題: 在宅医療における多職種連携と薬剤師の業務について

◆ 講 師: 一般社団法人鳥取県薬剤師会 理事 徳吉 淳一 氏(薬剤師)

【 概 要 】

薬局、薬剤師を取り巻く状況についての説明。薬局数は増加しており、現在コンビニと同程度の薬局がある。薬剤師の数も増加しているが、地方の薬剤師不足は深刻で、半数は県外で就職。薬局が存在しても配置の関係で在宅訪問までいけない現状もある。鳥取県東部地区では24時間対応薬局(地域連携薬局)が8か所ある。後発医薬品が増加しているため、薬局で管理する薬剤数も増加している。

国はかかりつけの薬剤師・薬局を決めるよう働きかけている。医療機関と連携し有益なサービスが出来るようにすることが必要。日本は薬剤師資格独占の仕事が多く仕事量が単純に多い。そのような中、対物業務から対人業務へ向けて法改正や評価する仕組みが整えられつつある。薬剤師が患者様の自宅を訪問した際、残薬等問題点の発見につながることもある。薬剤師は月4回までは訪問することが出来る。訪問薬剤管理指導は医師からの依頼(44%)が一番多く、医師の訪問に同行することもある。次にケアマネ(28%)患者本人からの希望(10%)となっている。現在は2週間に1回訪問する割合が一番多い。退院時共同指導料の見直しがあったが、退院時カンファレンスには医療機関からの声がかからずまだまだ参加できていない現状もある。医療用麻薬の管理も複雑化している。

連携に関する事例4つ紹介。①服薬管理の事例(ケアマネ・訪問看護師との連携) ②処方提案の事例 ③医師の往診動向と処方提案の2事例

地域に貢献する薬局薬剤師のビジョンとしては、患者に健康不安があった時受診することも方法としてはあるが、かかりつけ薬局へ相談していただく方法もある。これまでの患者情報を蓄積し、一般薬の提案も可能。必要時は医療へと繋げることもできる。地域・患者への適切な医療提供体制を支え、国民皆保険・地域包括ケアシステムに貢献する薬局・薬剤師の実現に向けて動いている。薬剤師の役割としては、患者へ個別的にケアしていくことが必要だと考えている。誕生から終末期に至るライフステージ全てを通じた薬剤師による健康サポート・服用薬の一元化・継続的全人的な管理指導を役割として果たしていかなければならない。今後はタスクシェアしながら患者さんを中心に置いて仕事をしていきたい。

講演の様子

 

◆ 質疑応答

*残薬チェックは大切だと思う。患者本人が主治医に言いづらいことも理解していなければならない。不必要な薬を処方することはお金の無駄遣いになると説明すると、理解して話をしてくれる患者もいる。

・以前処方薬を服用していない患者に対し、薬剤師単独の判断で、経緯や背景も理解していないまま内服するよう指示したところ低血圧症状で倒れてしまった事例があった。その方は主治医には内服していると話しており、主治医は処方薬の効果がないと判断し用量を増やして処方していた。急に服用したことにより、薬剤が害となっった。多職種連携が大切だと実感した事例だった。

*在宅業務になかなか関われていない状況で他からの依頼もない中、今後どのようにしていけばいいのかと考えている。薬剤師の方から訪問し課題を見つけて医師に提案するという話の中で、どのタイミングで訪問が出来るのか教えてほしい。

・きっかけとしては他職種からの提案「残薬があるようですけど」や相談があることが一番多い。連絡を受けて終わりではなく実際に訪問して確かめてみることが大切。他は、薬局の窓口で薬剤の説明や日頃の状況の聞き取りをしている際に服薬管理ができていない可能性があると感じた時に、どの職種が関わっていてどのようなサービスを利用しているのかを知り、ケアマネがいれば訪問の際に確認してもらうように依頼することもある。

*先日、外来の患者様が栄養剤を持って帰れないからとのことで、配達をした際に不在で電話にも応じて頂けない方があった。その時にケアマネが連携をしてつながった事例があった。薬剤師だけでは他の対応もあり難しかった為大変ありがたかった。

*普段の関りの仕方が難しい。情報共有をどのようにしていった良いのか教えてほしい。

・サービス担当者会議での情報共有をすることが多い。参加したいと言って参加し、多職種で集まるところに積極的に出ていくという気持ちが大事。在宅に出入りする職種で共有して出来ることも多い。

*担当者会議は他の職種に出会えるチャンスで治療目標を共有する際でも大切な場ではあるが、(医師は)ほとんど声がかからない。薬剤師との同行訪問を利用したことはないが気軽にお願いしてもいいものか。

・都会では多いが、鳥取では事例件数としては多くはない。主治医が専門外の薬については分からない場合もあるため薬剤師が同行する例もある。

・一緒に行くと気が付かないことや新しい提案もしてもらえるかもしれない。

 

講演の様子

 

 

◆ 参加者:71名 ( 医師4名、薬剤師48名、介護支援専門員6名、保健師3名、看護師2名、

MSW・理学療法士・ 栄養士・鍼灸師・介護福祉士・事務職 各1名、行政職2名 )

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