鳥取県東部医師会 在宅医療介護連携推進室

第26回 東部在宅医療・介護連携研究会(多職種事例検討会)を開催しました

研究会の場を通した医療・介護にまたがる様々な情報の共有、相互の連携を深めることを目的に、多職種事例検討会を開催しています。

■ 「事例を通した医療・介護連携の情報共有・知識向上」

■ 「研究会参加による、医療・介護関係者の顔の見える関係づくり」

 

◆ 第26回(令和4年2月4日)19時~20時30分

◎ 松浦会長挨拶

みなさんこんばんは。本日はご多忙の中、第 26 回事例検討会にご参加いただきありがとうございます。

新型コロナウイルスオミクロン株が猛威を振るう中、皆様方におかれましては日々、地域住民のために大変なご努力をしながら活動されていることと思います。

本日の事例は独居高齢者の方で、多くの疾病に対して治療を受け、入退院を繰り返しながらも生活を維持しておられます。在宅酸素療法も行い、多職種が連携して様々な方面から利用者さんの思いにできる限り沿った援助を行っておられるようです。本日は、皆様の明日からの診療、介護に役立つ事例検討となると思われますのでどうぞご清聴ください。

 

◆ 演 題: 入退院を繰り返している、COPDの独居利用者の支援について

◆ 講 師: ケアプランセンター鳥取北 山根 樹美 氏(介護支援専門員)

◆ 世話人: 鳥取生協病院 院長 皆木 真一 先生

(皆木世話人より)

皆さんこんばんは。本日は司会を務めさせていただきます、よろしくお願いいたします。

【 概 要 】

88歳男性、肺気腫、慢性呼吸不全、狭心症、腰部脊柱管狭窄症。心不全の悪化により入退院を繰り返している。独居者。

身の回りのことはできる限り自分で行いたい、自宅での生活が無理なく送れるようにしたいという希望があるものの、軽度の労作で息切れや呼吸苦となる。体力や体調を整え、住環境も整備し安全に日常生活が送れるよう支援を行っている事例。

昨年末に再入院し、春の退院を目標にしている。今後、在宅復帰された際の支援について検討したい。

 講演の様子

【 意見交換(一部抜粋) 】

• 調理について、キッチンばさみや電気圧力鍋など簡単に利用できる調理道具の工夫、在宅で利用できる補助食を活用してはどうか。(管理栄養士)

• どんな料理を作りたいのか、どんな動作が必要か、COPDだと瓶のふたを開けるだけでも大変な動作になる。包丁の使い方など、その人がより簡単にできる動作を細かくリハビリで評価し、本人さんにもお伝えし別の方法を提案する。(理学療法士)

• 日常生活の中でどのような動作をしたときにどのくらい酸素が下がるのか、どのような息遣いをすれば比較的楽に生活できるのか、動きを一つ一つ確認し、生活動作を一緒に練習していく。(理学療法士)

• しっかりしている方と関わる時の難しさを感じている。自分で出来てきたという自負が強い方ほど、徐々にできなくなってくると、それから目を背けてしまう、障害受容ができにくいのかなと感じることがある。どのように寄り添い関わっていけばよいのか悩むことがある。(訪問看護師)

• こちら側からみると、毎日誰かが訪問したほうが良いと思い、ヘルパーさん週4回など提案しているが、本人さんからするとあまり来てもらいたくないとう思いもあり、その辺りは難しいと思う。(皆木先生)

• 家で生活を続けるためにはこんな症状が出たら一旦入院しないとダメだよ、とあらかじめ線引きを医療側から伝えることで、意外とすんなり話が進む。本人さんがどんな生活をしたいのか、それを続けるためにはこうしましょうね。という話の進め方をしている。(理学療法士)

• 独居高齢者には不安を持たれている方は多い。相談したい、相談相手がほしいと言われたとき、弁護士の立場でいくと、ホームロイヤーとして関わっている方は何名かいる。鳥取県弁護士会で無料電話相談や、高齢者障がい者委員会に相談いただいてもよい。(弁護士)

• 一番話を聞きやすいのはケアマネだと思う。今度退院して帰られたとき、急なことが起こるかもしれない、誰に何を伝えておきたい?とサラっと言ってみるのもACPのスタートかなと。亡くなることを前提に話すのではなく、急な時どうしたいか伝わっていないとみんなも困るから、少しずつでよいからノートに書き留めておいたらどうですか?とか、こんなノートがあるから使ってみませんか?と紹介してみても良いかもれない。(介護支援専門員)

• 過去に同じようなケース(県外の親族が週 1 で帰省)に関わったときは、薬局が薬の管理という目的で入り、何かあれば報告していた。そういった方法もある。毎週帰ることは負担が大きいので、そういう意味でも保険薬局、薬剤師を使っていただければと思う。在宅酸素で通院もされているようなので、薬局の待ち時間が気になるようであれば在宅の服薬管理指導も使われてはどうか。在宅に出向き、患者さんの状況や適切なアドバイスもできる。(薬剤師)

• 心不全は症状を繰り返しながら悪化することが多い。本人によく理解いただくことが大事。ある程度認知機能が保たれている間はパルスオキシメーターを使い体調を把握することも有効ではないか。(医師)

(皆木先生より)

いろいろなご発言をいただきありがとうございました。今回の事例はCOPDと心不全をお持ちのしっかりなさった方でした。入退院を繰り返しながらも在宅生活、料理をエンジョイしながら暮らしておられます。あとどれくらい続くかは分からないけれど、できる限りサポートするための話し合いをさせていただきました。自己管理をきちんとしていくこと、少し悪くなったときのレスパイトを多職種で見落とさず早い連携で繋いで行くことを話し合えたのかなと感じています。

医療と介護を結ぶ、患者さんの在宅主治医はケアマネさんという言い方をしたりしますが、本当にその通りだなと感じました。努力しこの方を支えていただいていることに敬意を表したいと思います。たくさんのケアマネさんにも参加いただき、皆さん方にもあらためて敬意を表します。皆さんありがとうございました。楽しい時間となりました。御礼申し上げます。

(講師 山根さんより)

たくさんのご意見ありがとうございました。ご本人さんの希望する生活の実現のためには体調や体力を細かく診ていくことの大切さ、ご家族のお気持ちや負担感を軽減することの大切さを再認識しました。今後、急変時どうしたいかの気持ちも聞いておきたいです。事業所スタッフにも今日の話について伝え、明日からのケアマネとしての仕事、役割をきちんとしていきたいと感じました。

講演の様子

講演の様子

 

◆ 参加者:42名 ( 医師 9名、薬剤師 3名、看護師 3名、保健師 2名、理学療法士 3名、介護支援専門員 6名、

管理栄養士・歯科衛生士・弁護士・MSW 各1名、事務職 3名 )

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