鳥取県東部医師会 在宅医療介護連携推進室

第25回 東部在宅医療・介護連携研究会(多職種事例検討会)を開催しました

研究会の場を通した医療・介護にまたがる様々な情報の共有、相互の連携を深めることを目的に、多職種事例検討会を開催しています。

■ 「事例を通した医療・介護連携の情報共有・知識向上」

■ 「研究会参加による、医療・介護関係者の顔の見える関係づくり」

 

◆ 第25回(令和3年11月10日)19時~20時30分

◎ 松浦会長挨拶

みなさんこんばんは。秋も深まってまいりましたが、新型コロナウイルス感染症の第5波は終息傾向がみられ、希望する方々への予防接種もほぼ完了しました。これから冬を迎えるにあたり、油断をせずに感染予防を続けて行きたいと思います。

今回は薬剤師さんに事例発表をいただきます。日頃、薬剤師さんがフットワーク良く対応してくださっているお陰でスムーズに在宅医療が行われています。本日はオピオイド持続皮下注による疼痛管理について紹介いただきます。輸液調剤全般についてもお世話になることができるということで、在宅医療の幅が広がっていくと思います。どうぞご清聴ください。

 

◆ 演 題: 在宅医療における疼痛管理の事例

◆ 講 師: 有限会社 徳吉薬局 森本 聡 氏(薬剤師)

◆ 世話人: 堀内医院 院長 堀内 正人 先生・有限会社 徳吉薬局 薬剤師 徳吉 淳一 氏

(徳吉世話人より)

皆さんこんばんは。お忙しい中ご参加いただきありがとうございます。今回世話人の私と堀内先生で進めさせていただきます。よろしくお願いします。

【 概 要 】

がん性疼痛について、痛みの種類や治療薬の説明。

事例紹介。60代男性、膀胱がんからの全身骨転移となり経口NSAIDs、オピオイド持続皮下注にて疼痛コントロール。本人の希望により自宅療養。かかりつけ医からの依頼で支援を行った事例。

普段から在宅支援は行っているが、終末期かつ持続皮下注の事例がなく不安があった。時間がなく退院時カンファレンスが開かれなかったため、病院の薬剤部へ相談し、PCAポンプ付きディスポーザブル注入ポンプの使用についてアドバイスを受ける。その後、ご家族と医療介護従事者との担当者会議で、今後の計画や注射剤の使用と管理方法について説明、確認を行った。退院後は疼痛管理で様子を見ていたが、急激な痛みが頻回に起きるようになり、6週目に他界された。

この事例のように、薬剤師は薬物治療のコーディネートも行っている。飲みやすい薬への変更や管理し易い服用方法などを提案することで役に立ちたいと思っている。信頼できる薬局、薬剤師をもつことをお勧めしたい。

シリンジポンプについてはレンタル可能な病院もあるようだ。今後増えることを期待している。今回はポンプが残ってしまい、医療材料の在庫を他で回す仕組みがあると大変助かる。

また、患者の希望を叶えるためにポンプの種類を変更したことは、病院と話ができなければ実現しなかったかもしれない。病院薬剤師さんと面識があり気軽に話ができたためスムーズに進んだ。そして在宅へすぐ復帰できたのは地域での顔の見える関係があったからだと思う。チームで動けば早い。多職種の方達はとても頼りになると実感した。この場を借りて感謝申し上げます。

輸液調剤可能な薬局は「とっとり医療情報ネット」で検索可能。東部16件。注射剤の混注や輸液などの対応は、お近くの薬局に相談いただければと思う。これからこの件数が増えていき、また在宅医療がますます発展していくことを願っている。

 講演の様子 講演の様子

【 質疑応答 】

• 配達費用はいくらになるか。

・配達費はいただいておらず、居宅療養管理指導として介護保険から点数を算定。

• シリンジポンプの貸し出しは病院から提供されていたのか。

・病院によっては貸し出しされているようだ。最初にメーカーへ話をしたところ、良い返事がいただけなかったこと、今回の事例に関しては急を要するということで、薬剤部さんの話ではディスポで行けるのではということで話が進んだ。

・どこの病院で貸し出しできるのかといった情報を東部医師会を通じて情報提供いただいたり我々で調べて情報共有し、次回からはスムーズに行える体制を整えたい。これを機会に整備して行きたい。

• 麻薬管理として、残量など記載が必要ではないか。使用後の保管方法などはどうされたのか。

・残量はほとんどなく、ディスポを回収し薬局で廃棄した。

• 注入ポンプは家族さん購入ですか?

・病院で月6本分のポンプ加算が入っていた。7本目からは処方箋に記載いただき医療保険を使った。

【 感 想 】

• 薬局内にクリーンベンチを設置されていることに感心しました。(医師)

• 大変な症例だと訪問看護師の立場から聞いていた。5日置きに交換すること、麻薬でコントロールでき自宅で過ごすことができたのは皆さんの連携や情報交換が素晴らしかったのだと感じた。外来化学療法の方の持ち帰りは前から行われているが、持続して使われているのが可能なのだと思った。もの自体は知っていたが、今回のように使うこともできることを学習した。(訪問看護師)

• 麻薬についてはこのような会で初めて聞かせていただいた。自院では麻薬の利用がなく取り扱いをやめていたが、再申請しようと思う。(医師)

• がん患者を担当することもあり、支援の方法が難しいと思うことは多々ある。薬剤師さんとの連携など勉強になった。インターネットに情報が掲載されていることも分かったので調べてみたい。(介護支援専門員)

• 大変興味深く事例を聞いた。今回は新しいデバイスで扱い方など不安もあったようですが、本人さんの「家に帰りたい」という思いを叶えるため、知識を学び対応されたことは素晴らしいと思った。これこそ連携のなせる業。お疲れさまでした。(医師)

(堀内先生より)

現在も開催されている緩和ケア研修会へ平成22年に参加した時、中央病院主催であったと思うが、2日間びっしり講義を受けた。そのころは開業医の参加が少なく、20名程度の医師のうち開業医は3~4名であとは勤務医であった。同時期に、肝臓がん40代男性の訪問診療をしており、モルヒネの滴下センサー付き持続静注を薬局さんで調合いただき大変便利に使わせていただいた思い出がある。当時は今と違いロックアウト機能もなかった。

在宅医療には輸液調剤や点滴セットなどの物品が必要で、日頃より徳吉薬局さん、森本さんにお世話になっている。多職種がこうやって集まり、新しい知識について勉強し、これからも患者さんがより良く過ごせるようになればと思います。

講演の様子

 

◆ 参加者:41名 ( 医師 12名、薬剤師 12名、看護師 6名、保健師 2名、理学療法士 1名、介護支援専門員 5名、事務職 3名 )

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