鳥取県東部医師会 在宅医療介護連携推進室

第23回 東部在宅医療・介護連携研究会(多職種事例検討会)を開催しました

研究会の場を通した医療・介護にまたがる様々な情報の共有、相互の連携を深めることを目的に、多職種事例検討会を開催しています。

■ 「事例を通した医療・介護連携の情報共有・知識向上」

■ 「研究会参加による、医療・介護関係者の顔の見える関係づくり」

 

◆ 第23回(令和3年5月7日)19時~20時30分

 

◎ 松浦会長挨拶

みなさんこんばんは。お忙しい中、ご参加いただきありがとうございます。

新型コロナウイルス感染症の第4波が続く中、医療介護の維持継続に日々努力を重ねておられることと思います。今月下旬からは高齢者と介護職員の皆さんのワクチン接種が始まります。もうしばらく辛抱を重ねていただくことになると考えております。

この事例検討会はオンラインで継続してまいりました。本日は世話人の橋本先生と訪問看護ステーションかけはし内田さんで研修を計画いただきました。

訪問看護ステーションかけはしさんは医療と介護の連携、施設と在宅を繋ぐことを考えながら活動されていると伺っております。この事例検討会に相応しい内容になることと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

◆ 演題: 医療と介護のかけはしとして ~うちげぇに帰したい~

◆ 講師: 訪問看護ステーションかけはし 主任 近藤 高寛 氏(理学療法士)

◆ 講師: 訪問看護ステーションかけはし 管理者 内田 千公 氏(看護師)

◆ 座長・世話人: 橋本外科医院 院長 橋本 篤徳 先生

本日は訪問看護ステーションかけはし 近藤高寛さんより「医療と介護のかけはしとして~うちげぇに帰りたい~」をタイトルにお話いただきます。その後、管理者 内田千公さんから事例をお話いただきます。(座長 橋本先生)

【 講演概要 】

・365日24時間対応をどう運用しているか、どのような支援を行っているかの紹介

・退院直後から看取りまで、絆研修でのモデル症例「うちげぇに帰りたい」と同様の流れで支援することが実際に多々あり、退院から看取りまでどのような流れでたどり着いているのかの紹介

・訪問リハビリと訪問看護でのリハビリの違いについて

当ステーションの思いは、(か)覚悟して(け)献身的に(は)配慮しながらケアをすることで(し)信頼につながる。そう信じて、入院中にも負けないクオリティのケアを、その人のために自分に何ができるのかを考えながら、時にはおせっかい集団で向かいながらケアをしている。

私たちが頑張ることで力になれる方が待っていてくれるから、私たちが訪問することで安心して在宅生活を送ることができる方がおられるから頑張れる。看取りを終えたご家族が後悔なくすっきりと、その後の生活を送る姿を見られるから頑張っている。また、スタッフ同士でも配慮し合い助け合いながらケアをしている。私たちが頑張り続けることで、鳥取東部の在宅支援が強化されると信じている。

今日参加されている皆さん、残念ながら共有できなかった皆さん全員で在宅支援を支えるチーム作りをしていくことが本当の地域包括ケアシステム構築につながるのではないかと、かけはしスタッフ一同頑張っていきますので、皆様今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

【 事例紹介 】

①末期がんで緩和ケアへ移行、身辺整理をしたいという希望で一週間程度を目安に一時退院となったご本人と、看取りの気持ちはなく病院で最期をという気持ちのご家族との3日間という短い期間での関わりについて。

②同居家族がコロナになってしまい急に独居となった要支援者の症例。訪問看護で入浴介助ができないかという依頼で介入。訪問時やご本人のプライバシーに配慮しながら行った事例。

この一年駆けて走ってまいりましたが、一番大変なことは、やはりコロナ。コロナウィルスにより退院前カンファレンスが開催されてもご本人に会えない。ご家族もご本人に会えず不安、私たちも家に帰って初めてご本人にお会いすることが多い。

ご本人に会わなければ何も始まらず、会いに行くことが大事だと考えているので、退院の時間に合わせてスタッフで駆けつけている。ご家族に介護経験がない場合は、ケアの一環として見て触って知っていただくようにしている。①はそういった中での症例。

②について、こういったケースは今後も高齢者だけでなく小児も含め出てくるのではないかと感じた。コロナ禍のこのときだからこそ、私たちにできることがあるのだなと強く感じた症例であった。

講演の様子  講演の様子

【 質疑応答 】

• 訪問時、栄養面が足りないのではないか?と思われる場合、訪問する栄養士さんは少ないと思うが、どこに相談されているのか。また、訪問看護ステーションかけはしさんの経営母体は薬局ということで、他の訪問看護ステーションより在宅での薬剤師さんとの連携があるのではと思うが、好事例などがあれば教えてほしい。(事務局)

・栄養面に関しては、退院後に食欲が増す方もいらっしゃれば、ご家族としては足りていると思われる場合もあったり、そこの判断は難しい。入院前の生活との差をみていかなければいけない。

医療では、食事が心配な方へ、退院時に食形態や食事に関する指導を行っている。入院中は食品の補助食やゼリー、ジュースタイプを摂取いただき、帰ってからは先生からの処方で薬剤として活用いただく。(病院 管理栄養士)

• かけはしさんでは栄養面の評価や対応はされていますか?(橋本先生)

・一番困るのは心不全の患者さんの水分摂取量。病院ではしっかり管理されているが、家に帰ると我流になる。私たちが介入するのは一日のうち30分~1時間程度で、その方の食事や水分をみることはできない。心不全があるので毎日体重を測るが、毎日体重は増えていく。病院で栄養指導をしてくれているのでは?と思いながら、どんなものを食べているか見させてもらうと、水分量が多そうな鍋などがあったり。入院中の水分制限はどのくらいでしたか?と聞いたり病院のサマリーを見るが、本人は守れているつもり。でも、家に帰ると守れていないと私たちは評価する。主治医に報告するが、長年の生活習慣で改善は難しいと思うよと言われることもある。でも私たちは心配なので、来ていただける栄養士さんに栄養指導をしていただけないのかなと。非常に悩ましい。

私たちは看護師なので浅く広くというか、気づくことはできるが専門的な知識はない。当事業所の母体は薬局のため薬剤師にはすぐ相談でき連携しやすいが、栄養指導はすごく難しい。日々本を読み返し考えながら対応している。相談をさせてもらえる公の機関はあるのでしょうか。(内田講師)

・前回の事例検討会でも紹介しましたが、鳥取県栄養士会、徳吉薬局、さんびるで栄養ケアステーションを立ち上げたので在宅訪問できる栄養士は東部に出てきている。訪問などの取り組みは、にしまち幸朋苑さんがされると聞いている。(病院 管理栄養士)

・にしまち幸朋苑に併設の、にしまち診療所悠々で訪問栄養指導を行っている。居宅に関しては4月の介護報酬改定に伴い栄養の加算が増えてきているが、にしまち幸朋苑については主治医がどこでも訪問できるので、声をかけていただければ。訪問に関しては介護保険上の兼ね合いや対象者のこともあるのでご相談ください。在宅でも、デイサービスやデイケアに通われている方に対し、栄養アセスメント加算が始まっている。事業所に来られている方全員に対して栄養アセスメントを行っているので、そういったサービスを利用されている方であれば相談してみてください。

福祉に関しても加算の動きが出てきている。今後、栄養士が関わっていく機会も増えていくと思う。(居宅系 管理栄養士)

• いろいろできるようになってきているということですね。時間にもなりましたので、本日の会は終了いたします。皆さんありがとうございました。(橋本先生)

講演の様子
講演の様子

 

◇ 参加者:52名 ( 医師 5名、薬剤師 7名、看護師 9名、保健師 3名、MSW 5名、管理栄養士 4名、介護支援専門員 11名、

理学療法士・社会福祉士・地域活動 各1名、事務職 5名 )

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