鳥取県東部医師会 在宅医療介護連携推進室

第4回 地域包括ケア専門職“絆”研修③「看取りの時期(終末期の支援)」を開催しました

仮想の事例を通して専門職の役割、多職種連携の重要性を学び、実践につなげていくことを目的に、多職種研修会の3回シリーズを今年も実施しています。今回4クール目、最後のテーマの研修③を実施いたしました。

(東部地区在宅医療介護連携推進協議会:多職種研修WG企画)

◆研修のねらい

・在宅療養を支援する多職種がつながり、研修の成果を住民に還元する

・医療介護福祉関係者が顔を突き合わせ、在宅療養の基礎、互いの職種の特徴などを学び、話し合い、連携を深めていく

◆各シリーズのテーマと実施日

①「病院から在宅へ(退院支援)」  令和元年6月16日(日)

②「在宅療養中(生活支援)」    令和元年9月29日(日)

③「看取りの時期(終末期の支援)」 令和元年12月15日(日)

 

第4回“絆”研修③「看取りの時期(終末期の支援)」を開催しました

■ 日時 令和元年12月15日(日)9:15~12:20

■ 場所 東部医師会館3階研修室

 

挨拶

東部地区在宅医療介護連携推進協議会 副会長足立医師から開会挨拶そして本研修会の全体の目的の説明があり研修が開始となりました。

今回のファシリテーター5名の自己紹介後、アイスブレーキングです。今回の研修終末期支援にあわせ「最期の晩餐」をテーマに、ペアで自己紹介後、グループ内で他己紹介を行いました。

ファシリ アイス

今回の研修メッセージとワーク①の症例経過が足立医師から説明されます。在宅療養の主人公は、食事がほとんど取れなくなり、動けなくなります。

メッセージ

◆ グループワーク①

 点滴や胃瘻などの栄養管理(行わないとも含めて)についてどのように考えますか。

 (医療スタッフ、介護スタッフそれぞれの立場で考えてみましょう)

ワーク ワーク

(発表内容の一部)

・本人、家族とその都度話し合う。延命処置しないという判断だったとしても都度変わっていくと思うので、確認が必要。

・どんな選択肢があるのか説明し、それを選択した場合はどうなっていくか説明する。

・家族の異なる意見を医療スタッフが情報提供しながらまとめていく。

・妻の負担軽減のため、相談にのる。

・栄養だけでなく誤嚥など急変時の対応が説明されていれば、ご家族の考え方も変わる。

・胃ろうは本人が望んでいないのでしない。

・脱水予防と、何かしてもらっているといった家族の安心感のために、点滴程度を医療側がタイミングを見て行う。

・肺炎予防として口腔衛生を、訪問リハでSTが嚥下訓練で関わり無理のないよう食べれる程度で継続する。

・家で看る場合、これから本人はどうなっていくのか家族に説明し不安を取り除いていくことが大切。

・ケアマネを主に横のつながりを大切にし、妻の忍びない気持ち、思いを察知していく。

・人生会議では、話し合ったことが変わることは当然ということを踏まえながら話し合う。

・裕次郎さんの生きざまを振り返ることで納得のいく話し合いも出来ると思う。

ワーク ワーク

発表後、人工的水分・栄養補給(AHN)について、AHN導入に関する意思決定、いのちについてどう考えるかなど、倫理的側面も含めレクチャーがありました。

 

ワーク②のプレゼンターは、間庭弘美ファシリテーター(看護師 鳥取市立病院)で「死が近づいた時の対応」について行われました。症例の裕次郎さんは状態が悪化しました。主治医は予後1週間以内だろうと判断し、説明した状況です。

ワーク

◆ グループワーク②

 死が近づいた時に医療介護チームとして、どのような対応や配慮をしたらよいでしょうか

 (①本人に対する医療・介護それぞれのケア)・(②家族に対する医療・介護それぞれのケア)

ワーク ワーク

◇①本人に対するケア

・最後の瞬間を美しい姿で迎えていただく。褥瘡などなく、痛みの緩和、口腔ケアも大切。

・家族にも声をかけていただくよう医療従事者が誘導する。

・苦痛を和らげるために点滴を外すことで痰が減る、呼吸もしやすくなったりする。

・ラジオや好きな音楽をかける。本人お気に入りの服を着てもらう、趣味の写真を飾るなど最後まで本人の好きだった環境でいられるように心がける。

・覚醒状態に応じて経口摂取を考える、コーヒーや汁だけなら、吸引できる訪問看護師がいる時に行う。におい、香りだけを楽しむとかもある。

・状況を知らない長男には、事前にきちっと説明することが必要。意識のあるうちに、聞こえるうちに息子の声を聞かせてあげたい。

◇②家族に対するケア

・在宅での看取りは家族の不安、疲労が大きい。フォローの言葉かけをする。

・今後の状況の説明はもちろん、聞きたくない家族もいるので、確認しながらどのような説明を受けたいか、家族としっかり話をする。

・訪問や在宅スタッフで支えていることを話し、家族に安心感を持っていただく。

・家族にできることをお知らせする。例えば直接触れるケアで、良い香りのするローションやクリームで一緒にマッサージを、スキンケアをかねて行う。部屋の空気もよい香りになる。家族も触れ合って良い思い出が出来ると思う。

・家族の思いや立場によりそう。今の状況やこれからどうなるのかをお伝えし、本人が会いたい人に合わせてあげる。

・離れて暮らす息子さんの後悔がないようにテレビ電話などの利用で声を聞かせてあげる。

・家族と一緒にアルバムや部屋に飾ってあるものなどを見てその人の人生を振り返る、こういうときこそやっていく。

・今の選択で良かったと家族に思っていただけるように、スタッフが関わる。

ワーク ワーク

全体発表後、死が近づいたときの患者さんの状況や、私たちが理解し、行動すべきことについてレクチャーがあり、“絆”研修③は終了です。

■ 参加者アンケートの結果 (PDF・311KB)

 

■■■ 今回27名の方が全3回シリーズの“絆”研修を修了されました。

全ての研修を受講された人には、修了証と缶バッジが渡されました。

受講生を代表し、岡田彩さん(鳥取市立病院)、枡田鎮さん(介護老人保健施設いなば幸朋苑)、稲脇照子さん(居宅介護支援事業所にこにこケア)がステージ上で足立医師より修了証を受けとり、感想を話していただきました。

( 感想の一部 )

・このような研修が広がり、この地域で暮らしたいと思っている方を一人でも多く支えることができればと思います。

・本日の研修で臨床倫理の原則を学びました。研修に出たり臨床で学んで一つの答えにいきつくより、一緒に悩み続けること、そういった姿勢が大切なのだと認識しました。

・高齢化社会の中で、利用者さんもどんどん亡くなっていく中、この研修を受け、自分もできていないことが多々あったなと反省しつつ、ここで学んだことはスキルアップになりました。

修了者 修了者 修了者

終了後に全過程後の人は修了証を持って全員の集合写真をとりました

全体

 

◎ 研修参加者57名(ファシリテーター、多職種研修WG委員、事務局含む)

 ( 医師4名、保健師・看護師25名、PT4名、OT2名、ケアマネ6名、MSW5名、介護職3名、栄養士1名、

福祉用具プランナー1名、認知症地域支援推進員1名、生活支援コーディネーター1名、事務・行政職4名 )

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