◆ 令和6年10月2日(水)19時~20時30分 東部医師会館・オンライン(Zoom)
◎開 会
◎協議会長挨拶
皆様こんばんは。今年度第2回目の協議会開催にあたり、皆様にはご多忙のところ、またお足元の悪いなか、ご出席いただきまして誠にありがとうございます。
昨日、私たちの医療に対する思いを伝えてきた石破氏が首相に就任されました。石破氏は、新内閣発足に伴う記者会見で、5つの「守る」を実現すると掲げ、その一つ「国民を守る」では、医療、年金、社会保障が「今の時代に合っているのか」と問いかけ、見直しに着手すると表明しました。具体的な方向性はまだ見えてきませんが、厚生労働大臣を3度務めた加藤氏をはじめ、総力結集の内閣ですので、国民を守る方向性に期待しています。
さて、診療報酬・介護報酬の同時改定から4カ月が経過いたしましたが、医療介護の連携強化に向けた取り組みはどのように進んでいるでしょうか?本日の協議会では、主に今年度の連携室を中心とした活動状況を報告していただき、現場の抱える問題点を掘り起こしながら、今後の取り組みについてご意見をいただきたいと考えております。
今年は、当協議会が発足して10年を迎えております。来年は2025年ですが、高齢化が10年早く進行している鳥取県の現状は、75歳になっても比較的元気な方の割合が多く、医療介護を支える財政基盤も何とか持ちこたえていると思われます。今や2040年問題が取りざたされていますが、可能であれば、若い人の保険料によって支えられる高齢者になりたくないのは皆同じだと思います。今日はこれからの課題について皆で考える機会となればよいと思っています。どうぞ忌憚のないご意見をお聞かせください。よろしくお願いいたします。
◎報告及び意見交換
(1)在宅医療・介護連携「相談支援」の概要報告_
・前回協議会以降の相談は4件。
(2)令和6年度の取組状況_
①多職種での研修会、多職種が集まる仕掛け
*第9回地域包括ケア専門職“絆”研修
日程、参加人数等は資料を参照。今年で9回目になるが、7月21日に開催した9-①では新規参加者も多く手ごたえを感じている。リピータ―の方にも参加の度に新しい気付きがあり満足頂いている。参加職種には偏りがあり今回は病院看護師の参加が多かった。
*東部在宅医療・介護連携研究会事例検討会
グループワークの満足度を考慮すると、集合研修の方が望ましいが、より多くの方にご参加頂きたくハイブリッド形式で実施している。オンラインでのグループワークの質に運営上の課題はあるが、今後もハイブリッド形式を継続したい。
*映画上映会
多職種が集まる仕掛けとして、昨年度に引き続き実施。「ケアニン~あなたでよかった~」という小規模多機能事業所、認知症をテーマにした映画を上映。ケアニンとは、介護・看護・医療・リハビリなど人のケアに関わり、誇りと愛情、情熱を持って働いている全ての人の事であり、今回は上映会の後「あなたがケアニンとして心掛けたいことは」をテーマに交流会や意見交換を行った。良い素材があればまた映画上映会を行ってほしいという感想を多くいただいた。
*ケアマネカフェ(県介護支援専門員連絡協議会東部支部と共催)
ケアマネの仕事のお悩みや困りごと、迷っていることなどなんでも話せる場、多職種と一緒に考える場として今年度から実施している。第1回目に推進室も参加したところ、多職種での会という事もあり、是非一緒にということで2回目からは会場を医師会館に移し、共催として実施している。当推進室としてはケアマネやその他の職種との情報共有・推進室としての情報提供の場として、またこれまで当推進事業の研修等に関わったことのない方、医師会に来られたことのない方に来ていただく機会にもしている。
*絆研修オフ会の開催
昨年度実施のワールドカフェの中で、アンオフィシャルな集いの要望が多く、また絆研修も9回目を迎え、当推進事業も来年で10周年を迎えるというタイミングも合わせ、絆研修修了生を対象に集う機会を設けようと思い実現した。絆修了生211名に通知し参加者32名で、修了生全体の15%と割合は少ないように思えるが、地域で活躍する多職種の方に集まって頂けたのではないかと思っている。
1部は「日常業務でもっとお互いを知るために1つだけ新しい習慣を取り入れるとしたら何にしますか」という明日に繋がるテーマでワールドカフェを実施。アンケートの回答からも満足したという声ばかりで企画して良かったと感じている。参加者の内訳では、若桜町、八頭町からの参加が無く、麒麟のまち圏域で活躍している多職種に広く参加して頂けるよう、今回の課題を次に繋げていきたい。
懇親会については、コロナ禍を経てこのタイミングで実施出来たことに意味があると思う。年に1回くらいはこのような会が実施できればと感じている。
*とみやすベース~多職種の気軽なつどい場~
いろいろな人・職種・事業所等とつながりたい、繋がる機会がもっと欲しい人の気軽なゆるいつどい場として、今年度より実施。テーマなしで2回実施し、想定していたより多くの参加があった。次回からはテーマに沿って集まって頂くような企画や、短編映画をネタに集まって頂けるような企画を予定している。
*出張オンライン操作研修
9月末現在の実績は、初級編、ステップアップ編ともに1事業所実施済み。オンラインのスキルアップのためにも今後も継続していきたい。
【 意見等 】
● 絆オフ会は、アットホームな感じで話しやすく良い会だった。9回目を迎えた絆研修は、毎回同じ内容とはいえ、毎回気付きと学びがある。こういった研修がこの地域にあることは素晴らしく、継続開催は推進室をはじめたくさんの皆さんのご協力によるもの。また、事例検討会などのしっかりした研修会、ゆるくオフィシャルな会のとみやすベースなど新しい企画もあり、課題を上げているが十分にされているのではないか。参加職種の偏りについては、各職能団体ももう少しメンバーへ周知できればと思う。(鳥取県医療ソーシャルワーカー協会)
● 数年前にケアマネ対象の相談場所を設けていたが、個別で相談しにくいこともあり数は少なくうやむやになっていた。もっと気軽に、会員以外の方や他職種も来ていただけるような会を、テーマを決めて今年度企画した。9月に開催した会ではデイサービスの特徴などを紹介し、予定より多くの参加があった。また、私がとみやすベースに参加した際、東部医師会館を貸していただける話になったり、研修会とは違う、気軽に話せるような場は横のつながりができると感じている。(鳥取県介護支援専門員連絡協議会)
● ケアマネカフェを知らない小多機のケアマネもいると思う。連絡会として各事業所に確認したい。多忙で研修会へ参加できない方は多いと思うが、今行われている研修会を継続いただくことで、何かの機会に参加できるのではないか。(鳥取県小規模多機能型居宅介護事業所連絡会)
● 忙しかったり遠方だったりで参加できないという意見もあり、そういった意味でウェブの活用は必要だと思う。(松浦会長)
②2040年に向けて、深化・再検討(ACP等の普及・啓発)
*住民向け研修・講演(ACP、地域共生社会・地域包括ケア等)
10月2日時点の実績回数は6回、参加実績は116名。今後の予定は11回。
*関係者・事業所向け研修(ACP、医療介護連携、地域共生・地域包括ケア等)
10月2日時点の実績回数1回、参加実績2名、今後予定2回。第17回埼玉プライマリ・ケア連合研究会で足立先生が講演予定。
*ACPノート再編集
ACPノート(2025年版)の内容を再検討し、第2章「元気なときから、皆さんに知っておいてほしいこと」としてp7~p10までの4ページを追加。
*ACP実践研修
令和7年1月26日に開催予定。
*地域共生社会の概念の周知
住民啓発WGでR5年度から地域共生社会のパンフレットを作成中。2040年に向けて、住民の方に対しても地域包括ケアシステムの深化として地域共生社会の概念を伝えるということからWGで検討中。
【 意見等 】
● ACPの啓発活動について、地区の世話をしてくださる方はどういった方か。(松浦会長)
○ ACP啓発活動で地区の世話をしてくださるのは、依頼をしてくださる小地域サロンの役員さんや会長さん。現在の啓発活動はご依頼をいただいてから伺う形式をとっている。今年度のご依頼の中には、鳥取市が出前講座として提供している一覧でACP(人生会議)のテーマに関心を持っていただきご連絡してくださる方もおられる。啓発自体の広報も検討していきたい。
● 各包括支援センターは関わりがありますか。(松浦会長)
○ 地域に出向いた際に、こういった話ができますよと紹介している。(鳥取市中央包括支援センター)
● 2040年を在宅医療介護の視点で考えると、訪問診療のニーズはまだピークを迎えず、訪問看護はピークを迎えた頃という見通し。人材不足という状況でどう進めるか。行政は、認知症サポーターやつながりサポーター、フレイルサポーターの養成を進めているが、地域でどう活躍してもらい、サポーターと医療介護従事者がいかに連携を深めていくのか。検証しづらいところであるが、地域の方の力を借りないと在宅医療介護の進展は難しく、連携を深めるための仕掛け作りが必要。バックで推進室も協力できると思う。九州では、介護職のための看取り研修を始めている。地域で看取っていけるようなまちづくり、コンパッション都市の概念も出てきている。時間的に、住民が医療介護サービスを受ける時間は5%程度で、残りは地域のサポートがなければ過ごせないと言われている。各職能団体が協力し、具体的に検討していく必要がある。(足立副会長)
● 2040年、在宅で高齢者をみる医療リソースはあるのか。老健は在宅へ帰す場所だが、家族から拒否されることが多い。夜は行かないという訪問看護事業所もある。今の制度でターミナルを看きれるのか。こういった現状について足立先生はどう思われるか。(鳥取県老人保健施設協会)
○ 在宅という言葉は自宅と居宅を含んでいる。在宅医療=自宅医療と居宅医療という概念の中で語られており、家で亡くなりたい方を支える仕組みは必要だが、家族に迷惑をかけたくない、自宅は難しいと思う方も多くいらっしゃる。その場合は生活圏に近い居宅で、ある程度最期を迎えられる仕組みを作ることが必要。自宅で亡くなりたいと思う方も一定数おられるので、その願いを叶えるための仕組みも必要。(足立副会長)
○ 東部のほとんどの訪問看護ステーションは24時間対応。連絡を受け必要と判断すれば訪問する体制をとっているが、田中委員の仰るようなステーションがあるなら支援センターへご一報いただきたい。ターミナルケアに力を入れている志高い看護師は多いが、なかなか最期を迎えるところまでには至らない。帰りたいと少しでも思ったときに訪問看護が入り悔いのない最期を迎えていただきたいという思いで行っている。(村上副会長)
③2040年に向けて、深化・再検討(2040年に向けた課題)
*研修支援WG『研修Reニューアル部会』
2040年、医療と介護の両方を必要とする人が、(希望すれば)住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるために、これからどのような多職種での研修が必要なのかを検討。
*在宅療養支援WG・急変時情報整理部会
4場面の中の在宅療養時の緊急時と看取りの際の連携について検討を重ねている。看取りについては想定しているまたは、想定できる看取りについて、また緊急時については、医療側介護側がそれぞれ感じている課題や障壁を整理し、相互理解が深まらなければ検討も進まないため、急変時の整理の仕方についてを①から③の手順で進めて行くこととした。
*他機関との共催・協働・連携(報告)
当協議会主催ではない事業についても共催、委員として参加など、医療介護の取り組みを他分野と連携しながら進めている。鳥取市と共催で認知症フォーラムを開催したり、緩和医療学会ではACPについての発表を、日本医療マネジメント学会ではシンポジストとして参加した。また、昨年より専門学校の生徒たちにACPの啓発を行っており、今年度も参加予定。職能団体、事業所、法人など多職種連携に関するイベントや研修があれば協力できるので声を掛けてほしい。
【 意見等 】
● 緩和医療学会での各県の先進的なACPの取組みについて、概要を知りたい。(鳥取市保健所)
○ 病院と介護施設を持っているところでは、それぞれの情報を共有し本人の思いをつなぐような仕組みを作っていたり、地区医師会レベルでICTを活用しながら情報共有する取組み、鳥取では麒麟のまちとして広域で取組んでいる。施設や地域によりやり方もさまざま。鳥取の場合は広域のため、具体的に地域の中で細かく引き継がれているのかが問題であり今後の課題であると感じている。(足立副会長)
● 鳥取中西部のACPの活動はどうなっているか。(鳥取県薬剤師会)
○ 西部では以前、在宅医療委員会で冊子を作られたり、米子市も終活ノートを出されたと聞いている。中部でも広告付きのノートを作成され倉吉市ホームページから閲覧できる。
● 研修会参加職種の偏りについて、病院のワーカーさんには毎回参加してほしいが、東部のほとんどのワーカーさんは受けておられ、また参加してと言いづらい現状もある。参加して欲しい職種については、スタッフやコメンテーター的な役割として声を掛けるのはどうかなと感じている。住民啓発は依頼があり希望に沿った話をしているが、こちらから出向くほうでも良いかもしれない。
各サポーターの件は、住民さんもさまざまな役割を担っておられたり、縦割りなところもあると思うので、行政や多職種だけでなく住民側にも横串をさす必要もある。行政は地域共生社会の実現に向けた取り組みを進めており、推進室も地域共生の会議に参画している。我々も共生社会の一員で、支えてもらえる側や支える側にもなるかもしれない。地域住民が地域主体で話し合える土台のあるところとないところは地域でさまざま。行政と関わりながら進めたい。
◎その他
・鳥取市公衆衛生医師に関する研修会(R6.11.9)について。魅力ある地域づくり、持続可能な地域医療提供体制の構築を図るため、地域主体の健康なまちづくりが必要である。今回はこの活動を進めておられる福井県の井階友貴先生をお迎えしお話いただく。対象は医師、医学生、医療従事者、自治体職員、地域づくりを頑張っていらっしゃる方など広く募っている。本日の話にもあった、各地域での横のつながりや活動をどのように進めるのかは今後ますます問われていくし、コミュニティを意識せざるを得ない状況にあると思っている。横串をつなげていくにはどうすれば良いかという意味でも、各自治体の方や本日お集まりの皆さんにぜひご参加いただきたい。(鳥取市保健所)
・鳥取市つながりサポーター養成研修について。麒麟のまち圏域の取り組み。地域主体での動きのきっかけのひとつにもなる。住民側に横串をさすには縦串がないことにはできないため、縦の取組みもしっかりやっていく必要がある。気づきの部分を養うためにも、専門職の皆さんにもぜひ受けていただきたい。
【 意見等 】
● 東部医師会館で成年後見について、診断書記載の方法が医学モデルから社会モデルに変更され、判断能力の判断を、支援を受けて判断できるかという言葉が入ったという内容の話をした。その際、あるドクターから、支援を受けて判断できるかは医師にはなかなか分からない、裁判所が判断すれば良いのでは?本人情報シートを見ても、支援を受けて出来る・出来ないはよく分からない、過大なことを医師に要求しているのではないか。という意見が出された。その辺りについて実際どうなのかを知りたい。裁判所と話をしたが、裁判所としては、ほぼ医師のチェックで決めているそうだ。例えば匿名アンケートなどで意見を聞くとか、医師会事務局と相談したいと思っている。(権利擁護・成年後見制度関係機関)
○ 本人が支援を受けて判断できるかどうかの本人情報シートであるように思うが、それに対する意識は医師会の先生方に聞いてみないと分からない。出来る範囲で協力できればと思っている。(松浦会長)
○ 検討したい。自分が判断しろと言われると正直できるかどうか分からない。あらためて情報収集したい。(東部医師会理事)
◎ 次回協議会は令和7年2月5日(水)19時~