研究会の場を通した医療・介護にまたがる様々な情報の共有、相互の連携を深めることを目的に、多職種事例検討会を開催しています。
■ 「事例を通した医療・介護連携の情報共有・知識向上」
■ 「研究会参加による、医療・介護関係者の顔の見える関係づくり」
◆ 第35回 東部在宅医療・介護連携研究会 事例検討会
◆ 令和6年5月10日 19時~20時30分 ハイブリッド開催(東部医師会館・Zoom)
◆ 演 題: 認知症の漢方も含めて在宅や超高齢者の漢方
◆ 講 師: とっとり在宅ケア・漢方クリニック 藤田 良介 先生(世話人兼)
◆ 事例検討テーマ:
「私はボケていないし、サービスも必要ありません。」
丁重にお断りされる支援困難ケースにご助言ください!
◆ 世話人: 居宅介護支援センター ル・サンテリオン鹿野 三橋 由希子 氏
【 講演概要 】
・超高齢者の方に漢方を使用するメリット(受入れされやすい、副作用の少なさ、不定愁訴への対応、精神薬等の減量)、デメリット(多剤服用になる、飲みにくさ、効果に時間がかかる、水分摂取量が多い)。
・漢方を使う場面について。(認知症の周辺症状:西洋薬は漢方薬との相性がよく効果も見られやすい。その他、便秘、頻尿、睡眠改善など)。
・症状に合う漢方薬の種類と特徴について。
【 事例提示 】
・90歳、女性、要介護1。変形性膝関節症、脳梗塞後遺症、認知症。長男ご夫婦と同居。必要な介護用品使用を拒否され、ご家族が食事や移動介助をされているが、本人は介護を受けていないつもり。介護保険利用を拒否されている。
・関係性を築くため何度も面談を行い、長男ご夫妻も一緒に説得を試みたが、「私はボケていないしサービスも必要ありません」と丁寧に拒否。
・サービス利用については第三者が説得し仕方なく応じていただく。受診後に通所系サービスの見学を行い、通所利用を開始。
【 グループワーク 】
サービス利用までに時間を要し、サービス調整が難しいと感じているケース。今後の支援をどのうようにすれば良いか、グループで意見交換を行いました。
*ケアマネさんが一貫して関わられていることがうまく進んでいる一番のポイントだと思う。本人さんが拒否されているのに粘り強く関り、タイミングを逃さずサービス利用に繋げたり、ケアマネさんの頑張りがあったからこそ。本人さんとご家族の調和を保つためにも、認知症カフェなどの情報提供もできると良い。
*多職種がタイミングを変えて説得を行う。お医者さんが言うなら…と思う方も一定数おられるので、主治医から説得してみても良いのでは。
*本人ともう少し話をすることで、楽しめそうな事、興味がありそうな事に繋がるヒントがあるかもしれない。
*認知症地域支援推進員も関われば、別の立場として本人ご家族へアセスメントできる。
*通所での楽しかったことを深堀りし、受入れてもらえそうなことを検討。通所スタッフさんとの信頼関係を築くことで、流れに任せての参加が増やせると思う。
様々な視点から意見を出していただきありがとうございました。本人のやる気が出るような声掛けの仕方や、結果はすぐには出ないと思いますが、継続的な関わりが大切だと思います。(藤田先生)
◆ 参加者:72名( 医師・薬剤師 各12名、介護支援専門員13名、看護師11名、保健師6名、介護福祉士5名、
認知症地域支援推進員、事務職 各3名、社会福祉士・MSW 各2名、歯科医師・施設管理者・鍼灸師 各1名 )