研究会の場を通した医療・介護にまたがる様々な情報の共有、相互の連携を深めることを目的に、多職種事例検討会を開催しています。
■ 「事例を通した医療・介護連携の情報共有・知識向上」
■ 「研究会参加による、医療・介護関係者の顔の見える関係づくり」
◆ 第44回 東部在宅医療・介護連携研究会 事例検討会
◆ 令和8年8月7日 19時~20時30分 ハイブリッド 開催
◆ 演題⓵:「在宅医療とリハビリテーション〜総合診療医の視点から〜」
◆ 講 師: とっとり在宅ケア・漢方クリニック 大塚裕眞 副院長
◆ 演題②: 「退院直後から回復過程における特別訪問看護指示書の活用」~特別訪問看護指示書期間の集中的看護支援により、家族が在宅介護への自信を獲得して在宅療養継続につながった事例 ~
◆ 講 師: 訪問看護ステーション ナースくる 田中洋美 氏・井上恵理香 氏・西村雅人 氏
【 開会挨拶 】
皆様、こんばんは。
連日暑さが厳しく、高齢の方で体調を崩される方が多く、皆様も大変お忙しくされていることと思います。
また先週は熊本において地震が起き、多くの方がお亡くなりになり、あるいは避難生活を余儀なくされています。医療介護の現場も相当の困難を生じている様子です。一日も早い復興を願うばかりですが、私たちの業務についても、いざという時への備えを怠ってはいけないと感じているところです。
そのような中で開催いたしました第44回の事例検討会ですが、多くの方々にご参加いただきまして有難うございます。
本日は、鳥取在宅ケア・漢方クリニックの大塚先生と、“ナースくる”の皆さんに症例提示をいただき、退院後からの回復過程におけるリハビリテーションと、特別訪問看護指示に基づく訪問看護について、ともに考える会としたいと思います。司会は智頭病院の久保先生にお願いしております。それではどうぞよろしくお願いいたします。(松浦会長)

【 講演① 】
在宅医療とリハビリテーションについて、総合診療医の視点から今回の事例についてご講義いただきました。
・在宅医療の現場で、何をどう評価しどう診療していくのか
・在宅医療の現場で基本情報をもとにどう目標設定するか
・本人のやりたいことを叶えていくためのリハビリ、本人の苦痛がないように普段のケアと予防
また尿道カテーテルのバッグは食事・薬剤・脱水状態・感染などによって変化することや、爪の変化は全身の病気のサインとなることがあり、爪の主な異常と特徴・関連疾患についてもご講義いただきました。

【 講演② 】
胆嚢炎術後に著しくADLが低下した80歳代男性A氏に対し、特別訪問看護指示書を活用して退院直後から14日間毎日、訪問看護を実施。医療処置や全身状態の管理に加え、移動介助、陰部洗浄、膀胱留置カテーテル管理、ポジショニングなどを家族とともに繰り返し実践し、介護技術の習得を支援。また、福祉用具や住環境を工夫し、家族の身体的・経済的負担の軽減にも取り組んだ。その結果、主介護者である長女の不安が軽減し、介護への自己効力感と自信が高まった。さらに、デイサービスや訪問リハビリテーションなど多職種と連携することで、A氏の生活意欲やQOLの向上、家族の介護負担軽減につながり、在宅療養を継続することができた。退院直後の集中的な訪問看護は、医療的支援だけでなく、家族の介護力を高め、安心した在宅療養を支える重要な役割を担った事例をご講義いただきました
グループワークでは、特別訪問看護指示書を受け良かったことや困ったこと、また訪問看護師に求める役割について各グループでディスカッションを行いました。
~皆さまからのご意見を一部ご紹介します~
・退院前カンファレンスはとても大切だと改めて感じた
・特別訪問看護指示書は、入院前と退院後で環境が大きく変わった患者さんに対してとても有効に使える
・退院前カンファレンスの中で医師に対して、ケアマネージャーや看護師などから特別訪問看護指示書についての相談もできるので、そういった観点からも関わっていくことができたらよいなと感じた。
・退院後の方など、急な体調不良があっても再入院せず在宅で過ごすことができるのが良い点
・医療保険から介護保険に移行する際は早めの連絡がほしい
・ケアマネージャーを介さずとも、主治医は直接、訪問看護ステーションと調整できスムーズに在宅に移行できる
・胃ろうや経鼻栄養などの医療的ケアについて、看護師から知識やコツ、注意事項等を教わることができるので、在宅介護をする上で、看護師の指導は必要不可欠である
・24時間、医師と訪問看護ステーションが連携でき、情報共有という面でとてもメリットがある
・本人や家族が、何かあったらすぐに連絡できるという安心感があることは、何事にも代えがたい

~最後に松浦先生に総評をしていただきました~
大塚先生からは、CGA(高齢者総合機能評価)が大切であり、ま(周りの状況)、ご(ご希望/思い)、こ(こころ/認知機能)、ろ(老人ベース機能)の「まごころ」が必要であること、そして目標の設定が大切だというお話をしていただいた。本当に大切な事であるので、皆さんもぜひ参考にしていただいて、こういった視点で在宅の方を看ていただければと思う。特別訪問看護指示書については、毎日訪問看護をしていただき、ご家族の介護についてきめ細かく指導していただくという事が、ご家族にとっては非常に心強いことだと実感している。今後、特別訪問看護というものが重要となってくるので、“ナースくる”さんをはじめ訪問看護の方々には、今後もよろしくお願いしたい。
◆ 参加者:42名( 医師 11名 介護支援専門員 10名 看護師 7名 薬剤師 4名 医療ソーシャルワーカー、介護職、事務職 各2名 管理栄養士、孤独・孤立対策推進員、鍼灸師、行政職 各1名)