鳥取県東部医師会 在宅医療介護連携推進室

【 協議会 】平成28年度第3回 東部地区在宅医療介護連携推進協議会の協議概要

◆ 平成29年2月9日(木)19時~

◎協議会長挨拶

いよいよ地域医療構想がまとまり、地域包括ケアがどのように進んで行くのか注目が集まっているところです。皆さんのご協力により在宅医療介護連携推進事業が順調に進んでいる事に感謝しております。また、12月には中四国厚生局長が来鳥され、東部地区での在宅医療介護連携の様子について説明をしたところです。足立副会長も講演等で東部地域の活動について啓発されていると伺っています。

来年度は寸劇、多職種研修が計画され、地域住民に向けての啓発活動も本格化してきます。平成30年度には各市町で地域包括ケアの体制を作っていきましょうということでしたが、この地区におきましてはいち早く充実した活動ができていると自負しております。

本日は来年度に向けての協議を行いますので、皆さんからのご意見をいただければと思います。

◎議事(説明・意見・対応方針)

(1)各WG等の活動について

① 地域資源WG・行政WG

地域資源WGは、昨年度作成した医療介護資源マップのデータWEB化作業を進めている。現在、各事業所へ掲載情報の再確認を行っている。

行政WGについては、リハ職(PT、ST、OT)の違いやそれぞれ何が出来るか、行政とどうかかわっていくかの勉強会を開催した。リハ職には今後始まってくる地域ケア会議、サービス担当者会議にも参加いただき、みなさんに浸透させて行きたいと考えている。

②多職種研修WG・住民啓発WG

昨年開催した多職種ワールドカフェを受けて、地域包括ケア専門職“絆“研修を企画している。3回シリーズとして4月から開催予定。3月初めに案内をする予定。

住民啓発WGは、2月26日に寸劇を活用した住民啓発学習会をモデル開催する。

住民啓発、多職種研修とも、ファシリテーター研修修了者にも協力をいただく。

③切れ目のない在宅医療と在宅介護の提供体制の構築支援・医療介護関係者の情報共有の支援

事業所があるかないか(ハード)、ソフト的には多職種連携が繋げていく部分がある。

ハード部分としては資源マップを作成したことで資源も把握できてきた。在宅医療に特化したような体制の部分は、現状を抜き出しホームページへ掲載している。在宅療養支援診療所、後方支援病院、歯科医師会や薬剤師会の取り組み、訪問看護ステーションの状況等、キーになるような事業所情報を掲載中である。来年度に向けては、どこが足らなくて、どうすれば良いかの検討を始めて行かなければいけない。

ケアマネアンケート後に病院地域連携室への聞き取りや連携強化に向けた検討をした結果、連携シートと説明用紙、医療・介護側の報酬加算シートを作成した。ケアマネが看護サマリーだけでなく、退院までに情報が欲しいという意見もあり、退院・退所情報記録書の内容を病院に周知した。これから利用していく。

病院地域連携室とケアマネとの連携の取り組みを始めたが、情報共有シートの作成については、結果的に8項目の中の1つ(エ)の取り組みとなった。後の議題で出てくるICTの活用も入っているが、8項目すべて2年目で取り組みが開始されたということを報告する。

◆ 病院の地域連携室とケアマネジャーとの連携強化(介護・医療連携シート)(サイト内リンク)

④在宅医療・介護連携に関する相談支援

相談支援開始2か月で相談件数は4件。相談件数的に現職員体制で問題ないと思われるので、次年度も現状職員体制で実施する。

※当室ホームページを知らない方が多く、周知させるためにQRコード(ホームページURL)を載せた名刺を作成した。スマホ、タブレットでも閲覧可能。医療・介護に関する情報提供、WGの活動報告、研修会・講演会の案内等を掲載している。皆さんの職場への紹介、活用をお願いする。

【 意見等 】

● 希望すれば最後まで、住み慣れた自宅へ、といった地域医療構想の方向性や、切れ目のない在宅医療と介護の連携という言葉が使われているが、では希望しなければどうなるのか?施設や病院から在宅へという時、医療と介護が連携し対応できるという事は重要だが、様々な家庭環境、家族構成の方々全てを支える仕組みとして考えているのだろうか。高齢の1人暮らし、老夫婦共に認知症、高齢親と独身息子等…。在宅で常時介護できる状況であればこのような言論は非常に意義があると思うが、ここから漏れ落ちてしまう家庭環境の方も多々ある。その方々に関しては何か検討されているのか。

○ 難しい問題。高齢者独居、老々世帯、自宅だけでなく地域包括ケアの理念として住まいの項目もある。高齢者住宅、サ高住、有料との兼ね合いや、経済的な問題も出てくる。家族介護が出来ないから施設や高齢者住宅に皆が入れるかというとそうではない。自宅で独居でも、サービス+地域の力で支えて行きましょうというのが基本理念ではあるが、そこまできっちりできるかは難しい。検討するに当たってはそのような理念を持った上で、この地域でどうするかという事だが、実際には難しいところ。

● 介護医療連携シートについて。地域包括ケアシステムは本人の意向と患者家族の心構えを根幹に成り立っているが、このシートにはそういう情報がない。私達は、本人や家族の意向をもとに医療介護体制を組むが、シートの最初に医療介護の体制情報がきて、最後に本人の思い(在宅の経過要約)があることに構造的問題がでてくる。今後この地域でどのような情報を共有し運用していくかは大きなテーマだと考えている。

● 東部には小規模多機能が33か所あるが、小規模多機能施設側でも書きやすい様式にして欲しい。サービスの利用状況は小規模多機能には書き辛い内容かなと思う。

○ 継続して検討していく。

● 資源マップは、いつ頃WEB公開されるのか。また、地域の先生の専門分野や、往診可否等の情報が分かれば急性期側としては便利。

○ 遅くても5月中にという事で話を進めている。資源マップは医療と介護の共通データベースとして作成しており、病院は1ページの情報しかないため専門のドクターまで載せる事は難しい。ドクターの専門分野の冊子を東部医師会が作成しているのでそちらを参考にして欲しい。また、診療科については、東部医師会ホームページの診療所検索をご利用いただきたい。資源マップWEB公開の際には、そちらへのリンクもさせる予定である。

● 次年度もフォローアップ研修、新規ファシリテーター養成研修を行う予定で予算計上している。連携シートについては、利用状況を把握することも重要であり、ケアマネに対し活用状況の調査を行いたい。次年度の3回目の協議会までには結果を取りまとめ報告したいと考えている。

● 脳卒中連携パスとの関係はどうか。今回の連携シート作成にあたり、話し合いはあったのか。

○ 脳卒中連携パスが分かり易いということでそれを参考に作成した。話し合いはしていない。

こちらは看護師やケアマネが見えるように、これを全体で使っていこうとしているところ。

● 連携シートはホームページからダウンロードできるのか?

○ PDF、エクセルファイルの2種類を推進室ホームページに掲載している。

● ホームページの中身も充実し出したようだ。東部医師会ページからもリンクしているので、皆さん確認ご活用いただきたい。

会の様子

(2)新規検討事項

● 救急連絡シートについて(東部広域消防局より)

救急搬送件数は年々右肩上がりとなり、昨年は初めて1万件を突破した。65歳以上の伸び率は変わらないが、搬送人員は増えている。今後も高齢者の救急需要は増えて行くことが想定される。そこでまずは老人福祉施設(介護事業所)の救急搬送を円滑化するため、救急連絡シートを作成した。紙ベースでいただければ病院交渉も早くでき、救急隊も欲しい情報が瞬時に分かり時間短縮に繋がると考える。ご検討いただきたい。

■ 消防局より提案、相談を受け、協議会前に一部医療介護関係者より意見をいただいた。 類似する様式として、受診連絡票(東部地域医療連携協議会)、いのちのバトン(市社協)を参考資料として添付した。

 ◆ 救急連絡シートについて(協議会:資料-6)(PDF・1,761KB)

【 意見等 】

● 基本的には賛成。搬送件数が1万件を超えたこと、それをどうするかが今回のテーマだと思う。絶対数が増えるのは問題だが、プロポーションとして高齢者は亡くなるわけで、最後は救急車を使わないとか、法律でカットオフポイントを決めるとか、かなりのことをしなければ件数は増え続けるだろう。今問題になっている救急車の不適正使用等、そういうものを少なくする努力も必要。

  今回の話については、どこまでの介護施設を入れるのか。例えばサ高住や有料など、夜間は警備員1人いれば良く、その人がどの程度書けるのか。グループホームは職員2人体制で、1人が患者の対応をし、もう一人が他の利用者もいる中この用紙を書けるのか?私共では緊急用に既に4種類(医師の紹介、受診申込書(各病院独自のもの)、受診連絡票(東部地区統一様式)、看護サマリー)を使っている。更に1つ増えれば、緊急で作れる施設はいくつあるだろう。本当に必要な情報、出来るかどうかを考えてディスカッションすべき。また、消防局が既に作成され流通している様式があるが、整合性はどうなっているのか。

  シート運用について老健協会のドクターに聞いたところ、賛成、反対は半々であったため調整しつつ作成すればできると思う。ただ、利用しやすく、書きやすいフォーマットを作らなければ使わなくなる。

○ ごもっともなご意見。様式にこだわりはなく、皆さんが共通して使いやすいものが一番。そこに救急隊が欲しい最低限の情報を含めていただければありがたい。一部施設では以前から簡単なメモ的なものを職員さんにお渡ししており、それが使われていると思う。今回のシートが認めていただければこちらに変更してもらいたい。看護師や職員さんが救急車に同乗できないこともあるので、このような紙ベースのものがあれば時間短縮に繋がるので、ご検討をお願いしたい。

● 私達在宅(訪問看護)は救急車を呼ぶ前に主治医に連絡する。主治医と連絡がつかないことが在宅ではあり得る。私共訪問看護ステーションは、前もって救急隊に必ず聞かれる事項を初診時に書いておく。家の目印になるものも書く。このシートを見させていただいたが、救急隊は来られてからも色々と聞かれるので、救急車を待っている間に書くことが出来れば時間短縮に繋がるのかも。ただ、その人に関わりながらになるので、難しいかもしれないが。

● もう看取りという人は運ばれていないのか?

○ いざ呼吸が止まったり反応がなくなったりすると、かかりつけ医へ連絡がつかない場合、どうしたら良いか分からず119番してしまう人が多い。救急隊は要請された以上、処置をし病院へ搬送することになっている。

● 通常在宅医は、看取りとなった時息をしていない心臓が動いていない等もしもがあった場合には、連絡するよう家族には伝えているはず。親類縁者にも伝えていただくようお願いをしていると思う。もしものときは救急車を呼ばないようにと言っているはず。そのあたりを受け入れてもらっているのかどうか、それを広めて行かなければいけない。

● 私共のところは入られた時と半年に一度ずつ、そのような状況が起きた時どうするか、話をし判断をお願いしている。いざという時は20%くらい家族も含めて同意がひっくり返る。これがいけないかどうか、なかなか言える事ではない。家族もそんなに経験のある事でもないので、それはある意味で仕方のないこと。基本的には昔とは違うので、亡くなる事が医者の敗北であるとかそういう意識はないと思う。尊厳のある死を皆で作ろうという意識でやっている。できるだけ救急車は使わないようにしているが、その時の状況による。1年間の救急車を呼んだ件数は外来含めて28回。2週間に1度程度。

● イギリスでは救急車を呼んでもDNARが確認できている場合、救急車は行きませんというシステムを国として行っている。今後、DNARが確認されているのに搬送されているというケースについても、学会レベルでやっていくだろう。連携シートも本人の意向も住所録も全ての情報を個人に紐づけ、どこかで把握するような仕組みにしていかなければ解決に繋がらないと思う。情報を開示する場合は救急隊がどこまで情報を見る事ができるのか、ICTにも繋がっていく話だと思う。このような取り組みは必要。

○ ICT問題については、消防もipadを導入しICT化するような話が県を交えて出ている。将来的にはそこから患者様の情報も見る事が出来れば救急隊も活動しやすいかなと思う。

● ICTが発展しているのだからデータベースを作り情報共有をすれば良い。データは階層別にし、アクセス制限をかける必要はある。西部のICT担当者に確認をしたが、まだ動いていないそうだ。日野病院とラインができているが、見ていない、うまく機能していない。生きるデータベースの作成が重要である。

○ この件については継続的に審議が必要。ここですぐ答えは出せないため今後協議していく。

○ このような情報が欲しいというのが基本。全体での協議、検討が必要。また、中には情報を得られない施設もあるようで、住所氏名の聞き取りだけでも苦労していると消防局から聞いている。そのような問題は先行して進めていくのも良いと思う。

(3)新年度の活動方針について

● 切れ目のない在宅医療と在宅介護の提供体制の構築推進

(訪問看護師の育成についての動向報告)

今後多職種で共同して関わっていく中で急がれるのは、訪問看護師の育成。関係部署と話し合いを進める中で、国の方から認めていただけるような方向性になっている。1月31日には医師会、1市4町、他担当とされるところと協議した結果、法人取得の可能性も踏まえながら、まずは準備室の立ち上げに向けてとりかかってはどうかという話になっている。

● 医療・介護関係者の情報共有の支援

今ある情報共有ツールは入院退院時、病院中心のものである。在宅関係者間での情報共有の仕組み作りをしなければならない。ICTも活用していけば良いが、費用や東部一円で共通したものができるのかなど課題もある。来年度は本格的に協議していかなければいけない。皆さんからのご意見をいただきたい。

【 意見等 】

● ICT導入が必須ではないと書いてあるが。

○ 国の手引きではICT活用も考えたらどうか、という程度の内容となっている。

● ICTに関しては、導入したあと皆さんが便利に使えればよいが、使いこなせなければ意味がない。まだ紙ベースでの情報共有も出来ていない状況なので、急がずじっくり協議すべき。

● 始まったばかりで、課題の抽出から始めていかなければいけない。

● 絆ノートの検討会に出席した。病院を退院した後、主治医と病院との連携がとれず結局その患者は亡くなったという事例であったが、何を意味しているのか。病院と連携できていれば良い治療が続き良かったものの、そうではなかった。このシートができると、そのような事がなくなるということなのか?退院後、在宅主治医にも情報が移行し、このシートが活用し続ける事ができるということ?

  事例では絆ノートはずっと続かなかった。それに代わるようなものが続けば良いということか?このシートできちんと繋がっていくということなのか?

○ 理想的にそうなれば良いが、現実的に土壇場では意見は変わることもある。100%保障するということではない。地域の中で共有の情報として必要で、その人が移動した時に思いや情報が引き継がれ共有されていくことは必要である。

○ この件については29年度の課題とする。

○ 地域資源WGはWEB化も進み、検討事項がひと段落したので終わりにしようかという話も出てくると思う。新規WGも考えているのでWG委員の依頼をさせていただく際はご協力をお願いしたい。

(4)その他

● 3月12日に口腔ケア・食支援研究会を開催する。今年度開催した5日間の食支援研修会も、次年度も開催予定。ぜひご参加ください。(東部歯科医師会)

● 2月3日に薬剤師だけのワールドカフェを開催し36名が参加。(県薬剤師会東部支部)

● 昨年9月にケアマネ協と共催で研修会を開催し、150名が参加。3月にも研修会を予定。案内をするのでご参加いただきたい。(在宅リハビリ・ケア研究会)

● 2月24日、薬剤師会より講師を招き研修会を開催する。前回の協議会で「ケアプランで保険薬局と関わりがある場合に連携が必要」という意見があり、連携の仕組みを学びたい。(県ケアマネ協東部支部)

● 昨年起こった中部地震の時、翌日から避難所支援として役所や避難所を行き来した。その時に感じた事は、このような場で決め事をしても災害になると全く活かされていないという事。役所と避難所の温度差はあるし、情報共有が一切できていない。この協議会は皆さん色々なところから集まっているのだから、正常時の生活だけでなく、いざという時のことを話し合う事も大切だと思う。連携シートについても、災害時でも活かされるような仕組みを作って欲しい。(県介護福祉士会)

◎ 次回協議会は、平成29年6月7日(水)19時~

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