鳥取県東部医師会 在宅医療介護連携推進室

第34回 東部在宅医療・介護連携研究会(多職種事例検討会)を開催しました

研究会の場を通した医療・介護にまたがる様々な情報の共有、相互の連携を深めることを目的に、多職種事例検討会を開催しています。

■ 「事例を通した医療・介護連携の情報共有・知識向上」

■ 「研究会参加による、医療・介護関係者の顔の見える関係づくり」

 

◆ 第34回 東部在宅医療・介護連携研究会 事例検討会

◆ 令和6年2月2日 19時~20時30分 ハイブリッド開催(東部医師会館・Zoom)

◆ 演 題: 小規模多機能型居宅介護事業所での末期がんの地元住民の看取り

◆ 講 師: 小規模多機能型居宅介護事業所なでしこ 竹本 真奈美 氏

智頭病院訪問看護ステーション 葉狩 詠子 氏

智頭病院 院長 足立 誠司 氏(世話人兼)

◆ 世話人: 鳥取市中央包括支援センター 所長 藤木 尚子 氏

【 概 要 】

・末期がんの居宅を含む在宅療養は様々な障壁を乗り越えなければ成立しない。

・独居高齢の末期肺癌男性が自宅で療養しながら、徐々に生活困難となり、施設の窓から自宅が見える小規模多機能型居宅介護事業所へ入所し最期まで過ごすことができた事例。

・本人家族の意向、施設の受け入れ、家族の面会制限なし、24時間体制訪問看護、訪問診療、在宅酸素療法、自己調節鎮痛機能付きモルヒネ持続皮下注射、在宅コンフォートセット、医療器材共同利用などのキーワードを振り返る。

・80代男性。独居、妻と数年前に他界。子は市内・県外在住。高血圧、間質性肺炎、心房細動で智頭病院に通院。肺がんで手術後に再発、緩和医療の方針。

講演の様子

 

医師の立場から 足立誠司先生

・安心して最期まで在宅療養するためには、できる限りの苦痛緩和、すなわち緩和ケアが重要である。

・苦痛緩和を行う上で、在宅コンフォートセット、リーフレットなどの使用で共通認識、情報共有を図ることが大切である。

・独居で最期を迎える場合、住み慣れた自宅が難しい場合、住み慣れた場所が見える地元で過ごすことも選択肢の一つ になる。今後、小規模多機能型居宅介護施設の役割は、さらに高まっていくように感じた。

 

 

 

講演の様子

小多機の立場から 竹本真奈美氏

・看取りが出来る事業所でありたいと思っていたが、今回のようなサポート体制があったことで、事業所も家族も安心して見送ることができると実感した。

・見慣れた景色の中で家族や友人とたくさんの時間を一緒に過ごしてもらうことができた。

・反省点としては、ベッドからの落下を防ぐことができなかった。最期は家族との大切な時間だからと部屋に入ることを遠慮してしまったことによる援助や介助の在り方について考えた。

・事業所の未来に繋がる貴重な経験をさせていただき心から感謝している。

 

 

 

 

講演の様子

 

訪問看護の立場から 葉狩詠子氏

・介護事業所と訪問看護師で評価に違いがあった。動画通話などで直接症状を見ることができれば良かった。経験の積み重ねにより適切な対応を行っていきたい。

・ACPノートで家族が本人の意思を確認できたが、もう少し活用していれば、本人家族が心づもりの話をする機会ができたのではないか。

・初めてのことで心配もあったが、主治医、訪問診療スタッフ、薬剤師、介護事業所スタッフ、訪問看護師が密に連携を図っていたので焦ることなく行動でき、本人が希望された自宅が見える施設での看取りをすることができた。

・鳥取市立病院の協力でPCAポンプを使用できたため、苦痛を軽減して最期まで過ごすこともできた。

・今回の経験を活かし、生活の場で最期を迎えたいと希望されている方の支援を行っていきたい。

 

◆ グループワーク

居住系施設において人生の最終段階における医療・ケアを提供するための障壁と乗り越え方を考えます。5つのテーマから各グループそれぞれ1~2つをピックアップし話合いをしました。

①揺れ動く本人、家族の意向、施設の受け入れ、急変時の対応

②症状緩和:医療用麻薬、在宅酸素、在宅コンフォートセットなど

③多施設多職種協働:施設、かかりつけ医、訪問看護師、ケアマネなどの情報共有

④福祉用具、医療器材の共同利用

⑤その他

参加者の皆さんからの意見(一部抜粋)

*PCAポンプがあると便利。持っている施設は限られており、共同使用ができたことは良かった。薬剤の交換時間が必要になるので、薬剤師との連携が必要。

*在宅コンフォートセットは先を見越した指示がされていたこと、施設のスタッフとの情報共有ができていたことでうまく機能したのではないか。医療用麻薬については不安や怖さも出てくるので、定期的な多職種での話し合いを設けることで不安緩和に繋がると思う。

*麻薬に対する今後の対応として、薬剤師の介入を増やし、先生と連携し薬の調整をしたり、担当者会議や退院前カンファレンスにも参加できれば更によくなると思う。

講演の様子 講演の様子

 

◆ 参加者:84名( 医師11名、看護師24名、薬剤師14名、事務職9名、介護支援専門員8名、理学療法士・介護職 各6名、

保健師4名、社会福祉士・MSW 各2名、歯科医師・介護福祉士・鍼灸師 各1名 )

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